「イーガーコーテル(餃子一人前)」など王将でお馴染みのオーダー用語もそのまま。オシャレな雰囲気の店のイメージを損なってしまうかと思いきや、女性のお客様からは『一度聞いてみたかった』と喜ばれているそうだ。
「女性をターゲットにした業態を“ゼロ”から作り上げるのではなく、“王将に行きたくても行きづらかった女性”に来ていただくためにどうすればいいか、を常に考えました。店で提供している料理も約8割は既存の王将メニューで構成されています。既存店と同じメニューを注文できる点に、高い評価をいただいています」
もちろん女性の心を掴むための工夫も凝らされている。代表的なものが、少しずつ色々なものを食べたいというニーズに合わせ、通常よりボリュームと価格を下げて提供する「ジャストサイズメニュー」の訴求だ。
「既存の王将でも展開しているジャストサイズメニューを、さらに強く打ち出しました。メニューブックの各ページには、レギュラーサイズとジャストサイズを併記し、グループでシェアする料理はレギュラーで頼んでいただくというスタイルも、徐々に浸透してきています」
また、ジャストサイズメニューは、女性だけでなく酒のツマミにちょっと食べたいという男性のニーズにも合致し、注文数を伸ばしているという。
滞在時間を伸ばし、客単価をアップする
既存ブランドの強みを上手く活かす一方、全く異なるアプローチも見て取れる。店内の様子を眺めていると気付くのが、スタッフの接客時間の長さだ。また時間を気にせず楽しめるように、烏丸御池店ではフリーWi-Fiや充電用コンセントといったハード面の整備も充実させ、食事だけでなくカフェ利用や打ち合わせでの利用など、これまでになかったニーズを掘り起こした。その結果、滞在時間は平均2時間程度にまで伸び、「餃子の王将」では900円だった客単価も1,200~1,300円ほどに上昇したという。