お店によって中身が違うので、いつも東京の恵比寿店を使われているお客様が、出張で大阪に来られると、福島店にも天満店にも寄ってくださったりします。そして東京に帰ると、また恵比寿の店に。という感じで、お客様が回遊してくださるんですよ。ぐるぐるぐるぐる。まるでサバのように(笑)。
【Q】逆にサバ一本に絞ることのデメリットはあると思うのですが。
確かにサバはリスクがある魚です。寄生虫のアニサキスがいますし、ヒスタミンが増殖しやすいので「足が早い」というイメージを持たれがちです。でも温度管理をきちんとしておけば、基本的に食あたりすることはありません。
それでも「あたりやすい」というイメージを持たれていることは事実だし、大衆魚という「安い」イメージもあります。「食あたりする魚」とか、「しょせんサバでしょ」とか、一般的なサバのイメージは非常に低い位置にあると思います。そのサバへの期待値が低いことは、私たちにはプラスでもあるんです。
低い期待値をいい意味で裏切ることができれば、お客様の満足度に変わり、リピートもしていただけます。これがマグロや牛肉のお店だったら、お客様は期待値が高い状態で来店されるので、それを上回るのはとても難しい。マイナス要素がある分、有り余るプラスがあると思っています。
【Q】その低い期待を裏切れている手応えは感じますか?
「SABAR」ができてからかどうか分からないですが、この1年でサバブームが加熱してきている実感はあります。「SABARに出会って、実はサバが好きだったとカミングアウトする人が多くなっている」と言われたことがあるんです。今までは、わざわざ「サバが好き」と言う人はいなかったですからね。