【Q】2014年にサバ料理専門店「SABAR」をオープンされています。商材を特化することで良かった点はどこでしょう?
一番はPR力ですね。「SABAR」は、動物性タンパク質はサバしか扱わないサバ料理専門店です。“サバ法”という社内ルールがあって、野菜はOKなのですが、魚卵も扱えないことになっています。一度、メニューにイクラを使うことを提案したことがあるのですが、料理長に「イクラは鮭の卵だから“サバ法”に違反しています!」と止められるくらいです(笑)。
ここまでサバに特化すると、PRしやすくなります。飲食店にとっては、「この場所にこの店がある」と知ってもらうのは、なかなか難しい。ですが、「サバしかないお店」となれば、説明もしやすいし、説明されたほうも理解しやすいですから。
【Q】料理以外にもさまざまな工夫をされていますね。
弊社では“サバ”の語呂合わせから“38”という数字を大事にしています。「SABAR」は全店38席で、フードメニューは38品。「イイサバ」の午前11時38分に開店し、午後11時38分に閉店します。店内では、テーブルマットでサバについて説明し、メニューボードにはサバ博士検定がある。トイレの表示は「お姫サバ」と「お殿サバ」。店内は、言わば“サバーランド”なんですよ(笑)。
「しょせんサバでしょ…」。期待値の低さはプラスになる
【Q】サバに特化しつつも、店舗によってコンセプトは違いますね。
「SABAR」は“金太郎飴”みたいな店にしたくないという思いがあって、全店舗で看板メニューやコンセプトを変えて運営しています。
1号店の福島店(大阪)では「世界のサバ」にチャレンジしました。天満店では「サバの一匹売り」として大きなサバを1グラム3.8円で量り売りして、その場で調理して提供しています。3店舗目の京都は町屋を改装した「京都サバ屋敷」で、6種類のサバ鍋が食べられます。恵比寿店の売りはサバの氷温刺身、ルイベですね。店舗コンセプトは「隠れ家」にしました。