－●メニューはどのように考案されているのですか？
基本的には私と料理長で考案しています。ただ、お客様は九州の方がほとんどなので、九州産の食材にこだわるというよりは、普段はなかなか口にできない珍しい食材や、旬の食材を全国各地から取り寄せ、メニューに使用しています。

そのため、今ブームだからこのメニューにしようというよりは、素晴らしい食材と出会ったら、最大限その食材の魅力を表現できるメニューは何かを考え、どのソースを合わせるか、そして盛り付けるお皿はどれにするかといった順番で、新メニューを開発しています。

－●この時期、一番の人気メニューは何ですか？
やはり、冬シーズンは「ずわい蟹のしゃぶしゃぶ」と、「たらば蟹のせいろ蒸し」がコースに入っている「たらば蟹と特選贅沢づくしコース」が大人気です。10月23日～12月26日までの二ヶ月限定のコースですが、昼・夜限らず、たくさんのお客様からご注文いただいています。

また、各コースについているデザートも、一から料理人が手作りしています。冬のデザートとして、「林檎グラタン」と「さつまいものチーズパンナコッタ」をご用意していますが、女性のお客様からご好評いただいています。

－●食材の仕入れについてもお聞かせください。
野菜は地元福岡で収穫されたばかりの新鮮なものを仕入れるようにしています。魚介については、水揚げ状況で仕入れ先も変更になるので、つねに全国の仕入れ先とつながることのできる、インフォマートのASP商談システムを活用しています。

オープンしたばかりの頃は、面白いメニューは思いつくのに、使用したい食材をどこで手に入れたらいいのか、わからず困っていました。しかし、商談システムを活用するようになってからは、全国の旬の食材を一度に見比べられるので、仕入先探しがずっと楽になりましたね。同時に、お客様に豊富な種類の料理を提供できるようにもなりました。最近では、あわびや白甘鯛のフィレなどを仕入れています。

食材そのものの本来の味を引き出す料理を提供したい

－●お料理やお皿だけでなく、店内の演出にもこだわられていますね？
先ほどもお話したとおり、私は昔建築を勉強していたので、店内の柱や床の材木も徹底的にこだわり、理想とする店舗を作りました。床は全て花梨の木で、柱も木目の美しい三つ目桜を使用しています。また客室の壁も、昔ながらの土壁に仕上げることで、温もりの感じられる空間ができあがりました。その他にも、江戸古材をリメイクして、トイレの扉や店内にあるバーカウンターで利用したりなど、随所に私の好きな要素を散りばめています。

－●店内にはバーも併設されているのですか？
はい。学生時代にバーテンのアルバイトをしていたこともあり、自分の店を持ったらカウンターバーを作り、お客様に腕前を披露するのが夢でした。今でもときどき、バーに立ってお客様とお話をしながらカクテルを作ることがあります。お客様とコミュニケーションをとれる貴重な時間として大切にしています。また、当店オリジナルカクテルの「沙羅の木」は、私が考案しました。ラムベースにライチを使用することで、さっぱりと仕上げているので、お食事後のお口直しにもおすすめの逸品です。

－●今後の展望についてお聞かせください。
鍋と炊き込みご飯のセットや、年末にはおせちなど、九州のデパートとタッグを組んでさまざまなギフト商品作りに取り組んでいます。飲食店を始めたきっかけも、ものづくりをしたいという思いからのスタートだったので、正直なところ、一から作り上げる商品開発がおもしろくて仕方ないです。今後は、ギフト商品で新たなお客様を獲得しながら、地元のお客様も大切にして、店舗をしっかりと守ってきたいです。