飲食店の人手不足対策。解決のカギはフロント業務・バックヤード業務の省人化

最新ニュース2022.03.08更新:2022.12.23

飲食店の人手不足対策。解決のカギはフロント業務・バックヤード業務の省人化

2022.03.08更新:2022.12.23

飲食店の人手不足対策。解決のカギはフロント業務・バックヤード業務の省人化

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コロナ禍による市場の低迷や働き方改革への要望、慢性的な人材不足により、飲食店はビジネスモデルの見直しを求められている。様々な業態を持つ飲食店の中でも共通の課題が、いかに少ないスタッフで高品質なサービスを提供できるかだろう。

店舗のDXや業務効率化につながる管理システム導入など、解決の糸口はいくつかある。今回は、飲食店のフロント業務・バックヤード業務の省人化にテーマを置いて解説する。

目次

フロント業務の省人化事例

ウェイティング、シーティングをロボット案内

ワタミグループ

全国に居酒屋を出店しているワタミでは、東京都および埼玉県に出店する3店舗にスマート案内機能搭載ロボット「KettyBot」を導入した。

KettyBotは業界初のスマート案内機能を搭載。来店客を席まで誘導し、着席後は大画面の広告ディスプレイを使った店舗説明とファーストオーダー業務まで対応する。席への案内から店舗・食事コース紹介までロボットが引き受けることで、スタッフの接客回数が減少し業務効率化に繋がる。

タッチパネル/スマホによるセルフオーダー

俺の株式会社

イタリアン、フレンチ、居酒屋など、様々な業態を手掛ける俺のでは、店舗DXの一貫として2020年からセルフオーダーシステム「O:der Table(オーダーテーブル)」を導入している。

O:der Tableは、顧客が自身のスマホで商品を注文できるシステムだ。卓上のQRコードを読み込んで、ホールスタッフを呼ぶことなく注文できる。同社はシステム導入前と比べ、店舗運営の効率化と食の安心・安全の両立が実現できた。

顧客の満足度向上と店舗側の負担軽減を同時にできるO:der Tableは、特に「顧客のスマホを利用できる」という点が飲食店側にとってメリットになる。飲食店が新たにスマホやタブレット端末を用意する必要がないため、デジタルオーダーシステムの中でも低コストで実現可能だ。

セルフレジ会計

株式会社CRISP

都内でサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」を展開する同社は、店舗のDXを積極的に推進している。会計ではキャッシュレス決済システムのアプリを導入しており、キャッシュレス比率は98%にまでなっている。

キャッシュレス決済は店舗側の業務負担軽減はもちろんのこと、アプリ決済を通して顧客の名前、年齢、購買履歴などの情報を自動的に入手し、効果的なマーケティングに繋げられるという点がメリットだ。同社では顧客ニーズの分析により、週2回から購入頻度を選べるサブスクリプションアプリを自社開発。客単価を大幅に引き上げることに成功した。

ロボット配膳

株式会社スープストックトーキョー

2021年3月、ファミリーレストラン「100本のスプーン」を経営するスープストックトーキョーは、立川店に配膳ロボット「Servi(サービィ)」を導入した。 

Serviはソフトバンクロボティクスが提供する配膳ロボットだ。配膳・下膳をServiが担うことで店舗全体の業務がスピーディーに進み、スタッフの労働環境改善や顧客の満足度向上などが期待できる。

スタッフの負担が軽減することで、その分接客の品質が向上。導入3ヶ月で充分な効果が実感できたため、今後はServiの導入を前提とし、動線を意識した新店オープンを検討しているという。

バックヤード業務の省人化事例

店舗オペレーション管理

株式会社串カツ田中ホールディングス

串カツ田中はインフォマートと合弁会社Restartzを設立し、省人化を図りながら店舗オペレーションを管理するアプリ『V-Manage』を開発、11月4日にリリースした。2023年中に70社1100店舗の導入を目指す。串カツ田中は同アプリにより社員不在でアルバイトのみによる店舗運営の構築を進める。『V-Manage』はアプリ版とブラウザ版があり、直営店やFC店、複数ブランドの展開などに対応する。開発と運営はRestartz、販売、サポートなどはインフォマートが行う。2023年中に70社1,100店舗の導入を目指す。

調理システム、セントラルキッチン

株式会社Globridge(グロブリッジ)

デリバリー専門店「東京唐揚げ専門店 あげたて」を運営するGlobridge(グロブリッジ)は、コロナ禍においてUberEartsを活用し、累計出店数123店舗を展開している。 

複数のオンラインブランドで受けた注文をひとつの店舗のキッチンでまかなう「バーチャルレストラン」という手法で多店舗展開をしている。これにより初期投資を抑えることに成功した。さらにイートイン店舗のアイドルタイムも活用することで、利益に無駄がないシステムを構築している。

勤怠管理システム

株式会社もっけだのフードサービス

山形県庄内地方でラーメン店を展開する同社は、現在直営店を含め8店舗を運営している。コロナ禍に突入したことで人材確保が難しくなると予想した同社は、発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入。

従来は各店がFAXで食材を発注していたため、コスト集計に時間がかかっていたが、システム化したことで仕入れ金額が即座にわかるようになった。これにより社員に対する賞与査定スピードが向上。貢献度の高い社員には売上に応じてボーナスで報いるなどの判断が迅速にできるようになった。能力ごとにシフトを自動化するアプリも活用し、人材を適材適所に配置している。

調理マニュアル共有システムで従業員教育

株式会社スパイスワークス

2006年設立以来、鉄板焼きやビストロなど様々な業態を展開するスパイスワークスでは、本部から店舗に調理マニュアルをクラウド共有できるITツールを導入している。

以前はレシピをExcelにまとめていたものの、レシピ数があまりに膨大なため目的のデータを見つけ出せないばかりか、スタッフの入れ替わり時にデータを紛失してしまうというトラブルがあった。

システムのメニュー管理機能を利用することでレシピの管理体制が整っただけでなく、店舗の調理スタッフがメニューを効率よく学習できるようになったという。使用食材の確認もクリック一つで簡単にできるため、料理人と調理スタッフの意見交換も活発化した。

受発注システムで仕入れ・請求管理

株式会社かに道楽

大阪を代表する飲食店のひとつであるかに道楽。カニ専門店の単一業態展開で高級食材を扱うからこそ徹底的なコスト管理が求められる。

2009年、食材の発注を効率化するため『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入した。かつては月末に紙の請求書を集め、1週間~10日かけて手作業による集計をしていたが、システム化したことで状況が一変。 

すべての取引データがシステム上に反映されるため、月末締めの2~3日後には数字を確定できるようになった。商品原価率の算出も容易になり、各店舗の経営にも役立っているという。

店舗のDXにつながるIT導入

ロボットによる配膳・接客やキャッシュレス決済、仕入れ・経理管理システムなどの導入は、従業員の負担軽減と業務効率の向上を実現する。手作業でなく仕組み化することで、省人化しつつも高い顧客満足度を獲得し、ビジネスの成長に繋げることが期待できるだろう。人手不足の問題を抱えている外食企業は、他社のDX事例を参考に自店舗でできることを考えてほしい。


仕入れ金額の計算を自動化する発注システム
 

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