メニュー作りのポイントは、トレンドよりもお店らしさ
専門店の新規オープンとともに増加する、異業態店のメニュー導入。そんな流れの中で今年の傾向として目立つのが、洋菓子系のかき氷だという。
「去年あたりからフレンチのシェフや洋菓子のパティシエによるかき氷が目立ち始め、今年に入ってグッと増えてきました。テレビに出演されている著名な方々も、かき氷に関心を寄せているようです。また、街の小さなケーキ屋さんなどでも、かき氷を扱うお店が増えていますね」
洋菓子のエッセンスを取り入れた独創的なかき氷が今年のトレンドだという小池さん。しかし、安易にトレンドを追うのは危険だと注意を促す。
「例えば和菓子屋さんなら和菓子屋さんの色に合ったものを出すのが一番です。和菓子屋さんが無理をして洋菓子風のかき氷を出す必要はないでしょうし、お客様もそれを求めていないと思います。地元に愛されているお店は、地元の人たちに喜んでいただけるものを出さなければお客様が離れていくので本末顛倒になってしまいます。流行にのって変わり種を出して話題になろうという考えはよく分かるのですが、それほど甘くはないですよね」
また、専門店として出店する場合は、かき氷以外のメニュー構成も重要だという。
「かき氷は今でこそ夏だけの商材ではなくなりましたが、やはり需要のピークは夏場です。いくら専門店とはいえ、かき氷だけでは冬場は耐えられません。冬場の商材を考えないと専門店として成立させるのは難しいでしょう」
では、既存の飲食店が導入することによって成功している事例はあるのだろうか。
「アイドルタイムを利用して提供するスタイルで、収益を1.5~2倍に伸ばしているお店は多いですね。また、焼肉業態での導入も増えています。焼肉を食べた後の口直しといえばアイスクリームやシャーベットが定番でしたが、さらにさっぱり感のあるかき氷をメニューに加える焼肉屋さんが多くなってきました」
人気ラーメン店から読み取る、かき氷導入のヒント
では、実際にメニューとして導入している店の状況はどうなのか。ラーメンとかき氷の2枚看板で人気を集める、東京都北区のラーメン店「麺屋KABOちゃん」の店主・窪川剛史さんにお話を伺った。
「元々かき氷が大好きでよく食べ歩いていたこともあり、2013年のオープン時から店のメニューとして出しています。当初は夏場限定だったのですが、2014年の3月からは年間を通して出すようになりました」
動物系と魚介系のダブルスープが評判の中華そばはもちろん、今では旬のフルーツを使った本格的なかき氷を目当てに訪れるファンが引きも切らない人気ぶりだ。特に女性客の割合が増え、なかにはかき氷だけを2~3杯食べる人もいるという。価格帯はラーメンが750~850円、かき氷が650~700円。ラーメンとかき氷を1杯ずつ注文すれば1,300~1,500円となり、客単価の底上げにも役立っている。