業界ニュース2014.11.13

森永乳業、リパッケージングで新市場開拓を探る。使い切りタイプのれん乳を開発

2014.11.13
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目次

一般ユーザーの声を反映した商品開発

加糖れん乳「森永ミルク」は、1919 年に金属缶入りで発売を開始。1986年にはより使いやすいチューブ入りを開発し、現在ではれん乳市場の約6割を占める定番商品となっている(2014 年9月時点の数量・金額ベース、森永乳業調べ)。

同社では、そんなロングセラー商品の使用実態を調査。その結果、約60%の人が1年以内にれん乳を使っていないことが分かり、「使う機会が減った」「使い切れずに余らせてしまう」などれん乳離れの理由も浮き彫りになったという(2013年12月森永乳業調べ、n=5119)。それを受け、使い方の訴求や小容量容器の提案によって市場の拡大が可能であると考えテコ入れに着手。イチゴ約10粒、食パン1枚での使用量に相当する15g入りの使い切りパックとして商品化に至った。

使用実態から新商品の受容性に関することまで、市場調査の項目は多岐にわたった。また、れん乳が大好きなブロガーを「れん乳アンバサダー」として招き、直接対話して商品開発をするプロジェクトを実施。1年間にわたり、現行品の問題点をはじめ同社の新しいアイデアについての率直な意見を吸い上げ、新商品の設計に反映したのである。

2014年10月の同社ニュースリリース発表の後には、アンバサダーとして開発に携わったブロガーが「これを待っていた!」「使い方の大革命!」などと自身のブログで発信し、SNSなどで拡散。発売前から口コミレベルで広まりをみせたようだ。

使いきり容器が広げる多彩な用途

れん乳のパイオニアである同社が、満を持して導入した新容器。イチゴやかき氷にかける従来の使用法だけでなく、パンに塗る、コーヒーなどの飲料に入れる、弁当のフルーツ用、登山時の携帯用など、多彩な用途を提案することで市場の拡大を狙う。前述のアンバサダーたちも、縁日でのかき氷やコンビニスイーツへのトッピング、スポーツ時のエネルギー補給など、「れん乳の携帯」という新たな用途を自身のブログで提案している。

同社ではまた、単身世帯や少人数家族といったれん乳を買わなくなった層の再トライアルによる使用機会の増加も見込んでいるようだ。

今回取り上げたれん乳の他にも、ディスペンパックやポーション型など使いきりタイプパッケージの様々な商品が市場を賑わせている。ディスペンパックではドレッシング、マヨネーズ、ジャム、マーガリンといった既にお馴染みの食品をはじめ、鍋スープの素、パスタソースも登場。ポーションタイプではかき氷のシロップ、焼き肉のタレ、オリーブオイルなども発売された。

高齢者などの単身世帯や少人数家族など、使いたいけれど余らせてしまうことがネックで購入を躊躇する層の掘り起こしにも効果が見込まれる。一から新商品を開発するのではなく、リパッケージングで既存の商品に新たな価値を加えるという手法は、今後もさらに広がりを見せそうだ。

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