2014年5月21日、一般社団法人日本惣菜協会(東京都千代田区)は「2014年版惣菜白書」を発表した。それによると、2012年の惣菜市場規模は8兆5136億6800万円(前年比1.9%増)、2013年予測も8兆7142億4200万円(同2.4%)と堅調な推移を見込んでいる。業態別ではコンビニが同5.0%増(2012年)、同4.9%(2013年予測)と大きく伸び、専門店、スーパーなども前年比を上回った。業態別のシェアを見ると、2012年は専門店他が33.2%、コンビニが27.5%で、2013年はコンビニがさらに0.7%伸ばし唯一シェアを拡大する見込みだ。
また、今回初の実施となった2012年の袋物惣菜市場規模調査においても、全体で1995億7500万円のうちコンビニが1205億7200万円と約6割を占めていることがわかった。
一方、市場調査・分析及び調査データを基にしたコンサルティングサービスを展開するGMOリサーチ株式会社(東京都渋谷区)は、「惣菜・中食に関する調査」を2014年3月に日本と中国で実施。惣菜・中食の利用経験がある人の割合は日本で84.8%、中国で97.7%と両国の食生活に惣菜・中食が浸透していることが明らかになった。
惣菜・中食を夕食に利用しているのは、日本で61.4%、中国で35.4%。一方、「朝食として利用する」と回答したのは、日本ではわずか1.7%だったのに対し中国では約17倍の29.7%にも上っている。利用目的については、日本では「自分用の食事を作る手間を省くため」が41.6%で最も高く、中国では「食事にもう1~2品目追加するため」が49.5%約半数を占めた。
購入の際に何を重視するかという問への回答は、両国ともに「美味しいこと」(日本64.7%、中国69.2%)が最も高いが、日本では「価格が安いこと」(57.1%)が重視されるのに対し、中国では「生産者や販売者の信頼性」(72.0%)や「素材が新鮮であること」(65.3%)が重要となっている。
このように、調査項目の結果分析から日本と中国における食文化や惣菜・中食に対する考え方の違いが見えてきている。
日本の惣菜・中食分野におけるコンビニの躍進は前述の通りだが、中国においても急速に発展が進んでいる。上海市では、現地資本の「好徳・可的」が約1500店、「聯華快客(QUIK)」が1200店に対して、ファミリーマートが700店舗超、ローソンが約300店舗、セブンイレブンが約100店舗と、惣菜・中食に強い日系チェーンが猛追する形だ。弁当、おにぎり、おでんなどが若者や家族客に人気で、店舗内のイートインスペースは日本にはない賑わいを見せているという。
今後もさらに進化と発展を続けるであろう惣菜・中食。今回紹介したデータは、あくまでも単純集計の結果であり統計学的な有意差を検証するには至っていないため、単純に比較分析することはできないかもしれない。しかし、日中両国における中食・惣菜市場の現状と消費者の動向を把握するには意味のあるものだといえよう。