コロナ禍で見えた飲食業界の課題を官民連携で考える~ロイヤルHD菊地会長・日本維新の会馬場代表

セミナー・イベントレポート2022.12.21

コロナ禍で見えた飲食業界の課題を官民連携で考える~ロイヤルHD菊地会長・日本維新の会馬場代表

2022.12.21

コロナ禍で見えた飲食業界の課題を官民連携で考える~ロイヤルHD菊地会長・日本維新の会馬場代表

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一般社団法人日本飲食業経営審議会(高橋英樹代表理事)は、11月28日に「飲食業界と行政~今こそ立ち上がる時!未来の飲食業の為に~」を開催した。会場ではロイヤルHD会長の菊地唯夫氏と、日本維新の会党代表の馬場伸幸氏が「飲食業界と行政」をテーマにトークセッションし、コロナ禍で見えた飲食業界の課題や食品の高騰に対する対策などで意見を交わした。

目次

コロナ禍で行政と飲食業界の関係性に変化が生じた

日本飲食業経営審議会は、2021年11月にコロナ禍で飲食店が苦境に立たされた際、普段は個々に活動している飲食店が団結し自らの意思や思いを政治行政や関連産業に届けようと発足した。現在は1000社以上が参加する。今回の全国総会の冒頭では各地方審議会代表たちが各地の飲食店が抱える課題を報告した。菊地会長は日本飲食業経営審議会の発足に当たり、コロナ禍によって行政と飲食店の関係性に変化が生じたと説明した。

菊地会長「外食産業は許認可で縛られている産業ではなく、行政との強い関係はありませんでした。自立した産業ともいえますが、コロナ禍でこのままでは大変なことになるから、自己防衛反応からこうした組織が生まれたのではと思います。ショックによって機運が高まっているので、これからが大事です」

軽減税率の対象から外された外食産業

続いてロイヤルHD菊地会長と日本維新の会馬場代表が「飲食業界と行政」をテーマにトークセッションを行った。外食産業は政治との関わりが希薄だったため、2019年に消費税率の引き上げで軽減税率の対象にならなかったのではという問題があがった。

菊地会長「税には公平、中立、簡素の三原則があります。ですが、軽減税率制度は公平でも中立でも簡素でもなく、どれも満たしていません。『食に線引きするのはおかしい』と反対しましたが、制度は導入されました。その後、コロナ禍によって外食と中食と内食の垣根がどんどんなくなってきました。外食もテイクアウトやデリバリーがあるほか、中食ではイートインスペースが増えています。食べ方によって税に差があるというのは、変えていかないといけません。業界にとっての大きなissue(イシュー)と認識しています」

馬場代表「人間は食べないと生きていけませんから、税の三原則から考えても飲食は消費税ゼロでいいと思います。日本経済の6割が個人の飲食費ですから、消費にお金を使っていただくために消費税をゼロにすれば、飲食業界のみならず、日本の経済も膨れ上がると思います」

日本では新規に飲食店を開業する障壁が低いことから、世界の飲食店を評価するミシュランガイドの星の数を世界一保有している。一方で、競争の激化や経営疲弊を引き起こしているという問題が生じている。

馬場代表「例えば、コロナ禍を受けて店を閉めないといけない人がいますが、借金は残っている場合があります。次に再チャレンジしようと思っても資金がないから、なす術がありません。飲食のみならず、日本社会で失敗しても何度も再チャレンジできるという仕組みを作っていくことが大事です。特に資金面でサポートし、やる気ある人に成功への道が断たれない仕組み作りが必要です」

コロナ禍で産業構造改革のタイミングが遅れた

続いて両者は、飲食業界のDX化についても知見を述べた。

馬場代表「産業構造改革をしないと低い利益率のまま、疲弊した状態が続いていくと思います。2020年4月からのコロナ禍で外食産業が産業改革を真剣にやっていかないといけない状況に置かれると同時に、家賃保証や協力金などでたくさんの飲食店が救われる形になりました。その分、産業構造改革のタイミングを遅らせてしまったのではと個人的には感じています」

菊地会長「第1~3次の産業革命は、蒸気機関や電気によるオートメーション化など、どちらかというと人の手作業を機械に代替するものでした。一方で、今、世の中で進んでいる第4四次産業革命は、人が本来する仕事をテクノロジーの力によってサポートしています。第4次産業革命はサービス産業でいろんな形で活用できるし、今後もデジタルの進化が生まれていくと思います。

デジタルと人とをどのように結びつけていくか、当社では既存事業を今の延長線上ではなく、10年後の飲食の世界から逆算して、実験店みたいなものを作っていこうと準備しています」

また、ロシアによるウクライナ侵略を受け、石油や天然ガスなど資源や小麦や大豆などの食材が世界的に値上がりしている状況が続いていることにも触れた。

馬場代表「飲食業会の目指すべき方向性について、もう一度メイドインジャパンを考えて、国内回帰を皆さんの頭に置いてアクションしていただきたいです。現段階では、農家以外は農地が売買できない制度になっています。自由に農地売買できるように法律を改正して、企業がどんどん農業に参画できる仕組みを作る必要性があります」

菊地会長「地域単位のエコシステムを作って地産地消を進めていけば、鮮度が高いまま消費者に食材が行き届くだけでなく、運送コストや排出ガスの削減につながり、環境にも配慮できます。東京で税金を集めてサポートする上意下達のような長年の形から、地域の自立をサポートして予算投下していく方向に変えていかないと、真のサポートにはなりません」

政治に対する関心を向上させることが第一歩

最後に今後の飲食業界と政治のあり方について、両者は以下のように話した。

菊地会長「高度成長期にはヒエラルキー型がうまくいきましたが、今は通用しません。今度はネットワーク型でないといけません。各地域単位で政治家の方々と社会をより良くするためには、我々はどう連携していくべきなのかコミュニケーションを取り、政治に対する関心を持って選挙に行ってということを積み上げるしかないと思います」

馬場代表「政治家は皆さんの手足になって働く存在ですから、どんどん使っていただかないといけません。自分のクリエイションしていく中で政治がお手伝いできることはたくさんあると思うんです。ただ、政治や行政は声を上げているところにしか光を当てません。こういう形で皆さんがお集まりになって具体的な提案をしていくことは、地道なようですが一歩ずつの前進になると思いますし、政治側も変わらないといけないと思います。自由な開かれた社会を作っていく。多様性を認めていく。そういうところに飛び込んでくる皆さんをサポートし、何度もチャレンジできる環境を作っていくことがこれからの時代に大事なことだと思います」

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