コロナ禍・人手不足の外食企業に向けた、店舗運営の効率化ツール
串カツ田中 坂本壽男社長は、アプリ開発の背景として飲食業界が抱える現状の課題を説明した。
串カツ田中 坂本「飲食業界はコロナ禍に直面したことで人材が他の業界に流出し、採用をかけても集まりません。人手不足によりおもてなしがしにくい、営業時間を延ばせない、新規出店ができない状況が続いています」
また、店長の働き方が変わらないことも指摘した。
串カツ田中 坂本「アルバイト従業員に指示を出すため、1店舗に社員の店長が一人いる必要があります。さらにチェーン店では本部主導のキャンペーン、メニュー変更、レシピ変更、衛生管理など、店長が実施すべき業務は営業以外にも多く、長時間労働になりやすい状況です」
店長の生産性が上がらないことで、他業界と比較して低賃金の傾向になっているという。その他にも、為替やウクライナ情勢などの影響による原材料高騰も続き、飲食業界は収益構造が改善しにくい。
串カツ田中 坂本「この課題を解決するには、少しずつの改善ではなく抜本的に変える必要があります。そこで、インフォマートさんに相談し『V-Manage』を開発しました。
我々がやりたいのは、店舗運営の可視化と自走化です。アルバイトさんだけで運営できる店舗をつくりたい。『V-Manage』を使えば、店長の指示を仰ぐことなく、アルバイトさんはいつ何をすべきかが分かります。
これが実現できれば、2、3店舗に1人の店長がいればいいことになります。生産性が上がることで店長の給料も上がりやすくなります。このアプリが普及することで、当社だけでなく外食産業の未来のために業界に人材が戻ってくる、よい人材が入ってくることを狙っています」
インフォマートの中島は、自社が外食産業ユーザーの利便性の向上を図る、新たな仕組みの構築を目指していることと、串カツ田中の収益構造の転換を図ることが必須の状況であるという考えが合致したと語る。
インフォマート 中島「串カツ田中さんは、当社の受発注システムを以前からご利用いただいているヘビーユーザー様です。実はコロナ禍の前から、一緒に組んで新しいことができないかと話していました。当社がここまでユーザーと組むことは初の試みです。
串カツ田中さんからは自分たちが使うだけでなく、世の中の外食企業に広がるためにはどうすべきかのニーズを考えて意見を出していただきました」
両社の合弁会社Restartz(リスターツ)代表取締役 箱崎はアプリの概要を説明した。
Restartz 箱崎「『V-Manage』は飲食店の開店前、営業中、閉店後のタスクを可視化して、人の手を減らしながらサービスレベルを維持した店舗運用を目的としたサービスです。
新人でも自分が店舗に入った際に何をすべきかをシステムが教えます」
普段のルーチン業務以外にも、キャンペーンや新商品告知などのタスクも、店舗はどうすべきか把握できるという。
Restartz 箱崎「エリアマネージャーが店舗に臨時タスクを通知すると、店舗のタブレット画面に表示されます。スタッフが確認し、必要あれば実施後の写真を添付して返信することで、エリアマネージャーは店舗に行かずに状況確認できます。店長が常に店舗に張り付いていなくても、マネージャーが店舗の状況を把握できる。その結果、省人化しながら複数の飲食店管理ができるツールを目指しています」
『V-Manage』は2022年6月下旬から串カツ田中3店舗が導入し、実証実験を行った。1ヶ月後にはアルバイトは店長の指示がなくとも『V-Manage』をみて業務を行えるようになった。2ヶ月後には社員不在のアルバイトのみの営業で問題がなかったことを確認したという。
串カツ田中による『V-Manage』導入の実証実験効果
『V-Manage』はアプリ版とブラウザ版があり、直営店やFC店、複数ブランドの展開などに対応する。開発と運営はRestartz、販売、サポートなどはインフォマートが行う。2023年中に70社1,100店舗の導入を目指す。
初期費用:個別見積予定
月額費用:1店舗5,000円(税別)、登録できる従業員数に制限なし