取り組み概要
本事業では、ヤンマーアグリ、ヤンマーフィリピン、フェイガーの3社で協力し、現地水田でのメタン排出・削減量、カーボンクレジット創出による農家の収益シミュレーションなどを、実証試験を通して検証します。
ヤンマーアグリおよびヤンマーフィリピンの農業機械の販売で培ったフィリピン全土の生産者や農業関係者とのネットワークと、フェイガーのカーボンクレジットのノウハウを生かしながら、生産者と協力してカーボンクレジットを創出することを目指します。また、ヤンマーグループでは、本取り組みにより創出されたクレジットを用いてカーボンオフセットに取り組みます。これにより、環境負荷低減と生産者の収益拡大を両立した持続可能な農業の発展に貢献してまいります。
仕組み図
■「Alternate Wetting and Drying(AWD)」について
AWDとは、水稲栽培において潅水制御を繰り返す水管理技術の一つです。フィリピンでは通常、水田は連続的に湛水状態であり、土壌中のメタン生成菌がメタンを発生させます。AWDでは、一定期間水田を乾燥させ、土中に酸素を供給することでメタン生成菌の活動を抑制し、常時湛水と比べてメタン排出量を低減※3するとされています。また、通常の水稲栽培では、湛水状態を保つために大量の水を使用する必要があり、水資源が十分でない地域においては、水資源の浪費が課題の一つになっています。AWDでは水田を一時的に乾燥させることで、水の使用量を大幅に削減できるだけでなく、ポンプを利用する際の燃料消費量の低減が見込まれるとされており※4、温室効果ガス削減の観点からも注目されている手法です。
フィリピンでの田植えの様子
温室効果ガス測定の様子
※1 CLIMATE WATCHにて取得したデータを基に当社調べ。
※2 MRV Measurement, Reporting and Verification の略。「(温室効果ガス排出量の)測定、報告及び検証」を指す。
※3 農研機構「東南アジアの潅漑水田における節水型水管理AWDによるメタン排出削減」より
https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2017/niaes17_s12.html
※4 Rice Science for Decision-Makers Vol.11
https://www.philrice.gov.ph/wp-content/uploads/2022/10/RS4DM-Alternate-Wetting-Drying-Technology-Vol.-11.pdf
<フェイガーについて>
日本ではまだ数少ない、カーボンクレジットの生成から販売までを一貫して取り組むことが可能な企業であるフェイガー。「脱炭素に取り組む生産者の顔が見えるクレジット」として企業に提供し、カーボンオフセットだけではなくP Rも含めた価値を提供しています。また、クレジット化のサポートから買取までを行うことで農業者の皆様に収益をもたらし、農業におけるCO2の排出量削減活動を推進しています。
URL:https://faeger.company/<注記>
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ヤンマーホールディングス株式会社
1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーです。「大地」「海」「都市」のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開。環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指し、顧客価値を創造するソリューションを提供しています。未来を育むヤンマーの価値観「HANASAKA」を基盤に、ブランドステートメントとして掲げる“A SUSTAINABLE FUTURE”を実現します。