帝国データバンクは、「ステーキ店」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
ステーキ店の倒産、過去最多 円安で苦境 米国産、5年で価格1.4倍に サラダ野菜の高値も響く
集計期間:2024年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は下記ホームページにも掲載予定
https://www.tdb.co.jp/report/index.html
大手ステーキチェーンでも相次ぐ値上げ 「リーズナブル」なステーキ店に正念場
2023年度に判明したステーキ店の倒産は10件で、前年度の5倍にのぼり、2010年度以降で初めて2桁となり過去最多を更新した。
ステーキ店の倒産が増加した背景には、円安の影響などで輸入牛肉の仕入れ価格が急上昇するなど、経営環境の急激な悪化が挙げられる。財務省の貿易統計によると、ステーキ店などで使用が多いサーロインなどの米国産牛肉(ロイン)価格は、2023年度平均で100グラムあたり200円を超え5年間で1.4倍に、米国産より安価な豪州産も5年間で1.3倍と急上昇した。米国産では、ウクライナ紛争や干ばつなど異常気象の影響で飼料となる穀物や乾牧草の高騰により生産コストが急騰した。
加えて国内流通では、1年間で20円近く進んだ円安で膨らんだ輸入コスト、輸送費の上昇も上乗せされる。セットメニューで提供されるサラダでも、ニンジンなどは平年比で一時9割高となるなど、生鮮野菜が高値で推移している。ただ、ステーキ価格は他の外食メニューに比べ割高で、客離れの懸念から値上げが容易でない店舗も多い。そのため、低価格を売りとしたステーキ店や小規模店では急激な仕入れ価格の上昇ペースに耐えられないケースも少なくない。
足元では、ステーキチェーン店でも原材料などのコストアップから価格改定が相次ぐほか、豪州産や肩ロースなど安価な生産国・部位への切り替え、サラダバーの種類変更など対応に追われている。これまでリーズナブルな価格で楽しめたステーキ店に試練が訪れている。