CNIEL(フランス全国酪農経済センター)は、2025年度の活動実績と今後のフランス酪農業界の方向性についてまとめた年次レポート「Rapport annuel du CNIEL 2025」を発表しました。2025年、欧州の酪農業界は、地政学的緊張、国際市場の変動、家畜疾病の発生、気候変動への対応など、多くの課題に直面しました。その一方でCNIELは、2030年を見据えた新たな戦略計画を策定し、「レジリエンス(Resilience)」「競争力(Competitivite)」「魅力向上(Attractivite)」を3本柱に据えた業界の将来像を発表しました。

Rapport annuel du CNIEL 2025
1.【レジリエンス戦略】疫病対策・気候変動への対応を強化
2025年、フランス酪農業界は、初めて国内で確認された牛の伝染性結節性皮膚炎(DNC)や気候変動による生産環境の不安定化など、酪農経営を脅かすさまざまなリスクに直面しました。CNIELは行政・研究機関・生産者団体との連携を強化し、疾病発生時の情報共有体制や危機管理体制の構築、ワクチン接種や防疫対策の推進など、業界横断で対応を実施しました。こうした経験を踏まえCNIELは、2026-2028年戦略計画において「レジリエンス」を最重要テーマの一つに位置付け、疾病対策に加え、脱炭素化、水資源管理、気候変動への適応、生物多様性保全などへの取り組みを強化する方針を示しています。フランス産チーズの豊かな多様性と安定供給を支えるためにも、環境・衛生・生産の各側面から持続可能性を高める取り組みが加速しています。2. 【競争力の強化】フランス酪農業界、データ活用と消費者理解を軸に新戦略を推進
フランス酪農業界は、2025年において世界的な乳生産量の増加や価格変動の激化、地政学リスクによる輸出環境の不確実性の高まりといった課題に直面しました。一方で、生乳集荷量は前年比2.2%増の235億リットルを記録し、乳価も1,000リットル当たり497ユーロと過去最高水準に達しました。こうした市場環境を受け、CNIELは約1年にわたりサプライチェーン全体の競争力を分析した結果、今後は価格競争だけでなく、「品質」「産地」「ノウハウ」「製品の多様性」といったフランス酪農業界の強みに加え、データ活用や消費者理解を通じた価値創造が競争力の鍵になると提言しました。これを踏まえ、2026-2028年戦略計画では、データ活用の強化、消費者動向の分析、乳製品の魅力向上を重点施策として位置付け、変化の激しい国際市場においても、フランス産チーズをはじめとする乳製品の付加価値を高めることで、中長期的な競争力強化を目指しています。3.【魅力の向上】酪農業界の次世代を担う人材確保と女性活躍を推進
2025年の報告書では、酪農・乳業産業の持続的な発展に向けた最大の課題の一つとして、人材確保と世代交代への対応が挙げられています。技術革新が進む一方で、生産現場では後継者不足や人材不足への懸念が高まっていることを受け、CNIELでは戦略計画にて「魅力向上」を3つの柱の一つに設定し、若手人材の獲得、女性活躍の推進、業界イメージ改革、キャリア形成支援、新規就農支援を重点施策として挙げています。フランスの酪農・乳業分野には60以上の職種が存在し、近年はロボット技術やAI、データ分析など新しいスキルも求められるようになっています。また、女性の業界参入促進も重点課題としており、固定観念の払拭や働きやすい環境整備などに取り組んでいます。CNIELは、技術や伝統の継承だけでなく、将来のフランス産チーズ文化を支える人材育成そのものが産業の持続可能性に直結すると位置付けています。
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(フランス語)Rapport annuel du Cniel 2025
【CNIELについて】
CNIEL (フランス全国酪農経済センター) は、国内の酪農家、酪農協同組合、製造業者、および流通関係者からなる非営利団体であり、国内外で以下の活動を行っています。
1. 酪農業界の経済動向、および乳製品が健康に与える影響に関するリサーチ
2. チーズを中心としたフランス乳業製品の良質なイメージの促進と消費拡大のための広報活動
3. 国際規格ISO26 000「社会的責任」の創設原則を尊重した社会活動「フランス・テール・ド・レ」









