アルコール飲料、調理済食品の市場を調査
―2021年見込(2020年比)/2026年予測(2020年比)―
●レモンサワー市場 1,849億円(17.1%増)/2,560億円(62.1%増)
専用ブランドのヒット、商品バリエーションの増加により拡大
■アルコール飲料市場 3兆3,639億円(2.1%減)/3兆6,520億円(6.3%増)
2021年は業務用が落ち込むも、市販用はRTDや糖質ゼロ・プリン体ゼロ商品好調
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、業務用は苦戦しているが市販用では付加価値商品が好調な調理済食品、糖質ゼロ・プリン体ゼロ商品が好調なアルコール飲料の国内市場を調査した。その結果を「2022年 食品マーケティング便覧 No.2」にまとめた。
「2022年 食品マーケティング便覧」では、27カテゴリー408品目の加工食品市場を6回に分けて調査・分析する。
◆注目市場
●冷凍ハンバーグ、冷凍からあげ【冷凍調理済食品】
| 2021年見込 | 2020年比 | 2026年予測 | 2020年比 |
冷凍ハンバーグ | 798億円 | 102.8% | 838億円 | 108.0% |
冷凍からあげ | 843億円 | 104.9% | 896億円 | 111.4% |
冷凍ハンバーグは、ハンバーグとハンバーガー用のパティ、冷凍からあげは鶏のからあげや竜田あげ、鶏の一枚揚げなどの冷凍加工品を対象とする。共に、2020年は市販用が好調だったものの、ボリュームゾーンである業務用が減少したことで、市場が縮小した。
冷凍ハンバーグは、2021年に市販用の食卓向け商品が引き続き好調で、業務用も回復に向かっていることから、市場は拡大するとみられる。今後も食卓向けで外食店を意識した味やチーズインタイプなど付加価値商品の広がりにより伸びるとみられる。また、健康意識の高まりによって、近年大豆ミートなど植物由来原料商品の注目度が高まっており需要開拓が進んでいることから、今後の市場拡大への寄与が期待される。
冷凍からあげは、2021年に業務用、市販用ともにからあげ専門店を意識した商品や監修商品など付加価値商品の展開が進んでおり、市場が拡大するとみられる。しかし、最需要期となる冬期に、多くの商品を生産しているタイでの新型コロナの感染拡大により供給量の減少や原料価格の高騰が懸念され、メーカーによる一部商品の販売休止や出荷制限、値上げなどによる、市場への影響が懸念される。
●レモンサワー【アルコール飲料】
2021年見込 | 2020年比 | 2026年予測 | 2020年比 |
1,849億円 | 117.1% | 2,560億円 | 162.1% |
アルコール度数10%未満でそのまま割らずに飲用できる設計のRTDのうち、レモンサワー専用ブランド、レモンフレーバーのチューハイを対象とする。
2019年に「こだわり酒場のレモンサワー」(サントリースピリッツ)、「檸檬堂」(コカ・コーラシステム)などレモンサワー専用ブランドがヒットし、2020年は家飲み需要の増加、チューハイブランドからのレモンフレーバー商品の拡充などにより市場が急成長した。
2021年も料飲店の休業や時短営業により家飲み需要の増加が続いていることや、市販用商品でも居酒屋メニューのように無糖、塩レモン、はちみつレモン、ドライといったフレーバーやレモン濃度、アルコール度数が異なる商品など、バリエーションが増えていることから、市場は拡大を続けるとみられる。
●ノンアルコールビール【アルコール飲料】
2021年見込 | 2020年比 | 2026年予測 | 2020年比 |
818億円 | 112.8% | 958億円 | 132.1% |
日本の酒税法で酒として扱われない、アルコール度数1%未満のビール風味の発泡飲料を対象とする。
2020年は、コロナ禍の巣ごもり需要の増加と健康志向の高まりが追い風となり、市場が大きく拡大した。
2021年は、外食店でアルコール提供が控えられたことから、ノンアルコールビールの採用が増加したほか、市販用も前年に引き続き好調を維持している。また、アルコール度数0.5%の「アサヒ ビアリー」(アサヒビール)、アルコール度数0.7%の「サッポロ The DRAFTY」(サッポロビール)など微アルコールタイプの商品の投入が相次いでおり、市場は二桁増が見込まれる。
“微アル"については今後も他社の追随が期待され、ビール離れで取り込めていなかった若年層を中心とした新規ユーザーの獲得も期待される。
◆調査結果の概要
| 2021年見込 | 2020年比 | 2026年予測 | 2020年比 |
冷凍調理済食品 | 6,770億円 | 103.1% | 7,057億円 | 107.5% |
チルド調理済食品 | 1,602億円 | 100.9% | 1,650億円 | 104.0% |
その他調理済食品 | 1,519億円 | 100.9% | 1,532億円 | 101.7% |
アルコール飲料 | 3兆3,639億円 | 97.9% | 3兆6,520億円 | 106.3% |
冷凍調理済食品は、業務用では外食向け、市販用では弁当向けなど、外出自粛などの影響から一部で需要が落ち込んでいる。業務用の中でも好調な中食向けは、揚げ物でバラ売りからパック売りに対応したサイズ感や経時劣化の少ない高品質商品の引き合いが高まっており、市販用でも外食代替需要が増えたことでボリューム感や味覚面にこだわった付加価値商品の拡充が進められていることから、市場拡大が期待される。
チルド調理済食品は、付加価値商品の展開が好調なチルドハンバーグが市場をけん引しており、家庭内での喫食頻度が高まっているチルドミートボールやチルドギョーザ、チルドシューマイが夕食需要やおつまみ需要を開拓していることから、今後も拡大するとみられる。
その他調理済食品は、卵豆腐類は苦戦が続いているが、卵焼き類が需要回復に向かっていることとテイクアウトメニューでの新規採用により好調である。また、ほかの品目でも各社が新規需要獲得に向けた提案を進めていることから、市場は堅調な拡大が予想される。
アルコール飲料は、市販用でコロナ禍の巣ごもり需要によりRTDが好調なほか、健康志向の高まりを背景に紙パックタイプのワイン、糖質ゼロ・プリン体ゼロの清酒やビール類が好調なほか、長引く巣ごもり生活の中での“プチ贅沢"需要としてプレミアムビールやクラフトビールなど付加価値商品が伸びている。一方、業務用は外食店でアルコール提供が控えられたことで大きく落ち込んでいる。2022年以降は市場拡大が期待されるものの、コロナ禍で廃業した外食店分の需要消失、イベントの小規模化などにより、コロナ禍以前の規模の回復は難しいとみられる。
◆調査対象
冷凍調理済食品 |
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・冷凍ハンバーグ | ・冷凍ギョーザ | ・冷凍たこ焼き | ・冷凍えび・いか・かき |
・冷凍肉だんご・ミート | ・冷凍水ギョーザ | ・その他冷凍スナック | フライ |
ボール | ・冷凍シューマイ | ・冷凍コロッケ | ・その他冷凍水産フライ |
・冷凍からあげ | ・冷凍春巻 | ・冷凍カツ | ・自然解凍冷凍食品 |
・冷凍フライドチキン | ・冷凍天ぷら | ・畜肉系カツ | ・冷凍和惣菜 |
・冷凍グラタン類 | ・冷凍お好み焼き | ・水産系カツ |
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チルド調理済食品 |
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・チルドハンバーグ | ・チルドグラタン類 | ・チルドシューマイ |
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・チルドミートボール | ・チルドギョーザ | ・チルド茶わんむし |
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その他調理済食品 |
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・ワンタン | ・卵豆腐類 | ・アメリカンドッグ |
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・卵焼き類 | ・うなぎの蒲焼き |
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アルコール飲料 |
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・清酒 | ・水割り洋酒・ハイボール | ・国産発泡酒 | ・輸入ワイン |
・生酒 | ・レモンサワー | ・国産新ジャンルビール | ・酸化防止剤無添加ワイン |
・合成酒 | ・高アルコールRTD | 風味アルコール飲料 | ・スパークリングワイン |
・焼酎甲類 | ・ノンアルコールドリンク | ・輸入ビール類 | ・梅酒 |
・焼酎乙類 | ・ウイスキー | ・クラフトビール | ・リキュール類 |
・甲乙混和焼酎 | ・ブランデー | ・機能型ビール類 | ・マッコリ |
・韓国焼酎 | ・ビール類 | ・ノンアルコールビール | ・レモンサワーの素 |
・RTD | ・国産ビール | ・スピリッツ |
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・チューハイ | ・プレミアムビール | ・国産ワイン |
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2021/12/07
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