合同会社Office asoT(本社:高知県高知市、代表:松本貴也)は、LPWAを利用した水位通知システムを高知工科大学(高知県香美市、学長:磯部雅彦)、株式会社シティネット(本社:高知県南国市、代表:渡邊基文)と共同開発し、実証実験を行いました。
■背景と課題
少子高齢化や人口減少の影響により、中山間地域では地域インフラの管理問題が深刻化しています。ある中山間地域に於いては、農業用水が貯水槽から給水槽へ自動でポンプで汲み上げ られ利用されています。しかし、何らかのトラブルが発生した際、利用者は水槽が枯渇するまで 気付くことができない状況にありました。水槽の水位低下時には警告ブザーが鳴りますが、貯水槽、給水槽ともに民家から離れていることや、各水槽が急な斜面に面していることから、特に高齢者が確認するには困難な状況が続いていました。そのような状況で、少ない負担で水槽の状況を確認できる仕組みが求められていました。
■実証実験の内容
IoT技術と従来よりも低い周波数帯のLPWAを用いて各水槽の水位を常時監視し、離れた場所 でも渇水の危険がある時にはリアルタイムで通知するサービスの実証実験を行いました。
【ポイント】
1. 電源が存在しない場所でも使用可能でLPWAの通信費が不要
2. 到達性、回折性に優れた電波(LPWA 429MHz帯)を用いて長距離通信が行える
3. 水位の情報や警告をLINEやメールで素早くスマホに送信できる
LPWA(※)により、給水槽や貯水槽に設置した水位センサーのデータを地域の生産者の圃場に設置した受信機まで送信します。受信機は生産者が圃場で利用するインターネット回線にも繋がれており、水位の状況をLINEやメールで知らせる仕組みです。 ソーラーパネルとバッテリー、水位センサーを組み合わせたLPWA送信機を製作し、電源のない給水槽でも水位データが送信可能です。また、各水槽からの通信は3GやLTE回線を使わない構成をとっているため通信費が不要です。特に電波の回折性に優れた429MHz帯のLPWAを用いることで、消費電力を抑えつつ長距離通信での安定性を確保しました。電源供給が困難な場所において、梅雨の時期など曇天が続く場合も長期稼働できる点や、渇水間近になるとLINEやメールで通知されることで水位の状況に合わせた対応が行えるようになった点など、利用者に とっての負担を軽減できる水位通知システムとなっています。
※ LPWA(Low Power Wide Area):長距離の通信を低消費電力で実現できる無線通信技術の総称
■今後の展望
電源供給が難しい場所や遠隔地の水位管理について、同様の課題を抱えている水田の水位監視についても実証実験を行う予定です。また、センサーを変更することで離れた場所の水位だけでなく鳥獣害の被害や罠の状況、土砂崩れや濁水などといった様々な状況の遠隔監視や通知が可能となります。今後は、特に中山間地方が抱えている課題について本システムの有用性を確かめる実験を行っていく予定です。
【お問い合わせ先】
合同会社Office asoT 代表社員 松本 貴也
〒781-8134 高知県高知市一宮中町1-20-20
Tel: 050-3628-6227 mail: info@office-asot.com
https://office-asot.com
【共同研究組織】
■高知工科大学 香美キャンパス https://www.kochi-tech.ac.jp
■株式会社シティネット https://www.city-net.jp