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かるしお(R)とは
「かるしお(R)」とは、国立循環器病研究センター(国循)が推奨する「塩をかるく使って美味しさを引き出す」減塩の新しい考え方。同センターの基準を満たした商品には、「かるしお(R)認定マーク」の表示が認められます。株式会社たこ八様は、昨年自社の冷凍お好み焼きでこの認定を取得されています。しかし、この考えが思ったように広がっていかないことに副社長の垣内氏はジレンマを感じておられました。
エフェクチュエーションの導入
そこで、当社(株式会社スナックレモネード)より、「海外ではエフェクチュエーションを使った料理ワークがあるらしいです。日本でもやってみたいから、たこ八様の『かるしお(R)』認定商品を使ってできないでしょうか」とご相談いたしました。
エフェクチュエーションは、既存のリソースを最大限に活用し、不確実な状況に柔軟に対応するアプローチです。2001年にアメリカで発見され、2015年に神戸大学の吉田満梨准教授らによって日本に紹介されました。株式会社スナックレモネード代表の谷口と垣内氏は、ともに吉田准教授のティーチング・アシスタントとしても活動し、エフェクチュエーションの講演などは協力して行う間柄でした。
ワークショップの開催
こうした背景から、「かるしお(R)」認定商品と「エフェクチュエーション」を組み合わせたワークショップの開催が着想され、半年間の準備期間を経て、6月26日に開催されました。会場を提供してくださったのは、第3回の「かるしお(R)サミット」の舞台にもなったエア・ウォーター健都様。「かるしお(R)認定商品を広めたい」という垣内氏の呼びかけに賛同する形で提供してくださいました。
「エア・ウォーター健都」様
材料も同様に垣内氏の呼びかけに応じる形で「かるしお(R)」PJに参加するベル食品工業株式会社様、手造りひろた食品株式会社様、ナッツミー株式会社様がご協力くださいました。広島に本社を置くオタフクソース様も「当社も減塩に相当な力を入れているし、たこ八さんの呼びかけなら」と参加者全員に行き渡るようソースを協賛してくださいました。
エフェクチュエーションとエフェクチュアルクッキング
谷口(左)と参加企業へのお声かけや場の調整を行ってくださった垣内副社長(右)
こうして始まった今回のワークショップは、海外で開かれているエフェクチュアルクッキングの要素も取り入れつつ、「かるしお(R)」認定商品にスポットを当てたオリジナルのものです。30人の参加者を15人ずつの2チームに分け、3人1組で15分ずつリレー形式で料理を行うというスタイルにしました。最初のチームが作りかけの料理を次のチームが引き継ぎ、5回転するころには思いがけない料理が完成するという構成です。
思っていたより美味しく見た目も良いものが出来上がりました。
ルールは、企画段階から積極的に関わってくださったエア・ウォーター健都様のアイディアから生まれました。「これほど創造的なエフェクチュアルクッキングは日本初」(神戸大学大学院・吉田満梨准教授)とのことです。
好きな食材を選び調理に入る。右端の女性が「エフェクチュエーション」研究の第一人者、吉田准教授。ハッピ姿がたこ八垣内副社長。
調理は2チームの対抗戦。限られた時間でどれだけ独創的な料理ができるか。
料理イベントながら経営学に由来するワークのため男性経営者も多く参加。「とてもおもしろいですね。気づきも多い」と話すのは、大阪市でコンピュータ会社を経営する松井佑介氏。
アカデミアからの応援
海外では、アントレプレナーシップ研究でポピュラーになりつつあるエフェクチュエーションですが、日本ではまだまだ浸透していません。当社でも、ソニー株式会社様など革新的な企業の研修を行っておりますが、一般の人にとっては、「エフェクチュエーションってなに?」という状況です。今回「料理」という切り口でエフェクチュエーションを伝えることができたことはよい機会であり、関西学院大学大学院の佐藤善信名誉教授、神戸大学大学院の吉田満梨准教授もオブザーバーとして参加してくださいました。また、海外でエフェクチュアルクッキングを経験し、国内でもすでに実践されたことがある名古屋商科大学の澤谷由里子教授と金井伸郎先生にもご参加いただきました。先生方には全体の観察・講評役をお願いし、イベントに学術的な色合いを加えていただけました。
東京から駆けつけてくださった澤谷教授。
エフェクチュアルカンパニー
エフェクチュエーションに関心を持つ企業として知られるヤッホー・ブルーイング(長野県軽井沢町)の井手直行社長(てんちょ)をゲストに招き、料理の楽しみを増やすビールを試飲してもらう場面を提供しました。
垣内氏、田口さん、谷口、井手てんちょ、吉田満梨准教授。
井手てんちょを招聘したのは、「てんちょがエフェクチュエーションに興味を持っていることを知っていたから」(谷口)。楽天大学の仲山進也学長より学んだそうです。佐藤名誉教授や吉田准教授も同社を「エフェクチュアルな会社」として研究されています。「癒やしと好奇心を大切にし、仲間作りに情熱を傾けるヤッホー・ブルーイングの組織文化は、当社が目指しているものに通じます。」(谷口)
出来上がった料理の講評をする井手てんちょと吉田准教授。
参加者の声
「ビジネススキルと健康的な食生活の両方を同時に学べる機会で素晴らしかった」
「気になっていたエフェクチュエーションが体験できる素晴らしいイベント」
「国立循環器病研究センターの『かるしお(R)』認定商品の健康効果について理解を深め、日常生活における健康管理の重要性を再認識しました。」
「素直に『かるしお(R)』認定商品が美味しい。これから見かけたら購入したい」
「『かるしお(R)』認定商品を使ったらヘルシーで美味しくなる。今日の料理は、低塩分ながら風味豊かで、家庭でも簡単に再現できるものばかり」
「時間制限のあるゲームだったため、教授や社長といった立場のある人にもどんどん指示を出せた。立場を超えて関係性を作る最適なツールかも」
「制限がある中で、皆のために料理を作らなければならないという場面設定は、チームビルディングの要素もありビジネスのワークとしても活用してみたいと思った」
「減塩商品なのにこんなに美味しいぽん酢があるなんて感動した」
「米粉のたこ焼きがすごく美味しかった」
今後の展望(株式会社スナックレモネード/谷口)
当社では、エフェクチュエーションを学ぶ講座を開講していますが、今回のワークショップの成功を受け、レギュラーコンテンツとして追加する検討に入りました。次回講座では、「エフェクチュエーション」の共著者の中村龍太氏、京都大学大学院客員教授の竹林一氏、京都華頂大学准教授の積高之氏、楽天大学の仲山進也氏、サニーサイドアップ創業者の高橋恵氏、FIREしたビジネス書作家の寺澤伸洋氏などを講師として招聘することになっています。佐藤教授、吉田准教授には引き続きご指導を仰いでまいります。
今後の展望(株式会社/垣内氏)
引き続き国立循環器病研究センターと連携しながら、「かるしお(R)」を推進しています。7月20日には、国立循環器病研究センターで行われる「D&I科学研究会(RADISH)第10回学術集会」に登壇し、「減塩をテーマにした社会実装への取り組み」について話す予定です。また、今後は米粉を使用したたこ焼きの開発なども行い、当社が提供する大阪の味を広く楽しめるよう努めていきます。株式会社たこ八 https://www.takohachi.jp/
D&I科学研究会(RADISH)第10回学術集会
https://www.radish-japan.org/files/RADISH10_poster_v3.pdf問い合わせ先
株式会社スナックレモネード
谷口千鶴https://co.snack-lemonade.com/