(2)リードタイムの延長
納品先である飲食店や小売店との取引慣行も、大きな転換期を迎えている。農林水産省などのガイドラインでは、特にリードタイムの延長が強く推奨されている。これまでは発注の翌日に納品する翌日配送(D+1)が主流だったが、加工食品を中心に発注の翌々日に納品する(D+2)体制への移行が進んでいる。
配送頻度についても、毎日の納品から週3回程度への集約を求める交渉が現場レベルで始まっている。また、ドライバーが店舗で行う棚入れや検品といった付帯作業についても、作業時間の削減が厳格に求められるようになった。政府が掲げる目標では、1回あたりの荷待ち・荷役時間を合計2時間以内と定めており、これを達成できない場合は納品条件の見直しや運賃への上乗せが避けられない状況となっている。
(3)エリアの共同配送
トラックの積載率向上は、物流効率化法の改正において早急に対応しなければならない事態の1つだ。そこで同じ地域の食品企業が連携し、納品業者や配送トラックを一緒に利用する共同配送が有効な手段となる。
大手の企業間では、すでに実施している例もある。例えば、日清食品とサッポロが即席麺とビールを組み合わせた共同配送を2022年3月から開始した。これによりトラック使用台数の約20%減少や、CO2排出量を年間約10トン削減するなどの成果を出している。
[参考]日清グループ「日清食品の "即席麺" とサッポロの "ビール" を組み合わせた共同輸送を開始」
特に自社のみでトラックの積載率を高めるのが難しい中小企業は、同一エリア内の他社と小規模な連携で始めることを検討してはいかがだろうか。双方の利益につながる施策なので、時には競合他社と協力することも視野に入れることが重要だ。
(4)物流デジタルの活用
物流業界では、トラックの待機時間や混雑などの課題を解消するためにバース予約システムというものがある。バース予約システムとは、荷降ろし場所を事前に時間指定予約できる仕組みで、これにより到着車両が集中せず待機時間の削減につながる。具体的には、ドライバーや運送会社が事前にアプリなどを通じて到着予定時刻を予約し、施設や店舗側が適切な時間に割り当てるというものだ。食品流通においても、以前から農林水産省が推し進めている取り組みとして挙げられている。
また、AIを活用した配送ルートの最適化も方法の1つだ。GPSによる位置情報や車両追跡データを利用し、AIによる高精度な予測で最適なルートを割り出す仕組みとなる。
特に納品する店舗が多い運送では、その日の交通状況や距離を加味した最短ルートを人力で導き出すことは難しい。AIを活用することで、経験の浅く土地勘のないドライバーでも時短につながりやすいため、汎用的な物流効率化の施策として期待できる。
他にも、飲食店の経営側としても、受発注方法をFAX・電話から双方が受発注システムを使うことで、デジタル伝票の採用するなど、物流側の効率化に協力する体制が安定した仕入れを継続するための重要な条件となりつつある。
物流2026年問題への対応で企業の競争力を高める
物流2026年問題は、食品卸にとって自社の商習慣と収益構造を見直すいい機会となる。単なる法令遵守ではなく、2024年からの課題である荷待ちや荷役時間の短縮から、トラックの積載率を向上するなど、食品流通における多くの改善計画を実行に移せるはずだ。
また食品卸にとっては、法改正により運送と荷役を明確に分けられる理由ができたことで、今まで請け負っていた棚入れや付帯作業などの有料化や取引先との作業分担を交渉できるチャンスでもある。
物流の効率化をただのコスト削減と捉えるのではなく、営業力にすることで飲食店などの得意先との関係性も改善させることが大切だ。持続可能な企業として成長するためにも、早急な対応で先手を取っておくことが重要といえるだろう。
[出典]
物流効率化法 理解促進ポータルサイト(国土交通省・経済産業省・農林水産省)
物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン(経済産業省・農林水産省・国土交通省)
物流2024年問題と卸売市場の今後について(公益財団法人 流通経済研究所)
日清食品の即席麺とサッポロのビールを組み合わせた共同輸送を開始(日清食品ホールディングス株式会社)
食品流通の合理化に向けた取組について(農林水産省)










