対策3. 成長市場6分野への参入
1 | BtoC-EC |
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2 | BtoB-EC |
3 | ふるさと納税 |
4 | 宅配 |
5 | 海外輸出 |
6 | BtoE |
人口減少社会において、以前と同じ商売を続けていれば売上が減るのは当然です。だからこそ、成長市場に目を向けて戦略を立てることが重要になります。食品業界における成長市場は、大きく6つに分類できます(左図)。
BtoEとは、企業が従業員向けに提供する福利厚生商品の市場で、急成長しています。従業員の定着率を高めるために、企業が従業員向けのギフトを提供する流れが強まっているのです。例えば、ある企業では、200円で購入・持ち帰り可能な食品を社内の冷蔵庫に常備し、従業員だけでなくそのご家族の満足度を向上させ、定着率の向上につなげています。これら6つの成長市場のいずれかに参入し、ビジネスモデルを変革していくことが、企業の持続的成長に不可欠といえるでしょう。
対策4. ITによる効率化の仕組みづくり
従業員一人当たりの生産性向上も、食品業界の給与水準を上げる鍵となります。企業の労働分配率には限界があるため、単純に売上を伸ばすだけでは根本的な解決にはなりません。そこで、業務のIT化を進め、少ない人数でより多くの付加価値を生み出す仕組みを構築することが重要です。
先述した鳥取県の酒類卸売業は、EC事業を強化したことで、売上の7割をオンライン販売が占めるようになりました。これにより、従来の生産性が低い業務を削減し、より少ない人員で高い利益率を実現しています。また、長野県の酒蔵では、電話やFAX主体の注文からインターネット注文に移行したことで、担当者一人当たりの注文処理件数が増加しました。少ない人員で多くの注文を処理することで、生産性の向上を実現しています。
営業方法の改革によって生産性を向上させることも可能です。あるBtoB企業では、営業担当者が個別に管理していた小口取引案件を、すべてインターネットで販促案内する仕組みを導入しました。これにより、営業担当者は大口案件やミシュラン掲載店などへの営業に専念できるようになったのです。
対策5. 離職者を防ぎ、優秀な人材を確保する
離職を防ぎ人材の定着を図ることも重要です。その一例として、自社の価値観を明確に打ち出し、共感する人材を集める「カルチャーフィット採用」があります。大阪の中央卸売市場にある企業では、社内で企業理念の勉強会を実施し、社員同士が価値観を共有する機会を設けています。こうした取り組みで組織の一体感を高めているのです。
また、テレワークや時短勤務、産休・育休制度の充実を図ることで、ライフステージの変化による離職への対応や、キャリアプランの見直しによる長期的な成長を促す企業も増えています。企業が優秀な人材を定着させるには、給与水準の改善、企業文化に共感する人材の採用、ライフステージに応じた働き方の選択肢の提供といった取り組みが求められるのです。
次世代へ価値をつないでいく
食品業界には、食に興味がある求職者が多くいます。しかし、給与や待遇を理由に、優秀な人材が他業界へ流出しているのが現状です。この課題を解決することが、食品業界全体の成長につながります。
食品メーカーや卸売事業者、小売業といった食品業界の企業には、長い歴史を持つ企業が多く、100年以上続く企業も珍しくありません。これらの企業は、長い歴史の中で幾度もの危機を乗り越えてきました。また、創業時と同じ事業を続けている企業は少なく、先代から引き継いだ事業をそのまま継続するだけでは、生き残れない時代となっています。
現在の日本は、人口減少や経済の停滞といった顕著な変化が見られる転換期にあります。その中で、食品業界は食文化を支えるという重要な役割を担っています。だからこそ、単なる事業継続にとどまらず、次世代へ価値をつなげるための変革が必要なのです。
リライズコンサルティング株式会社
本社所在地:大阪府大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング10F
創立:2015年5月15日
代表者:代表取締役社⾧ 中山 裕介
公式Webサイト:https://rerise-consulting.com/