卸・メーカー2014.04.25

食品物流の特異性

2014.04.25

吉川 国之(茨城乳配株式会社)画像が見つからない

吉川 国之(茨城乳配株式会社)画像が見つからない

皆様、はじめまして。

関東1都6県で食品に特化した物流を提供させていただいている茨城乳配株式会社の吉川国之と申します。このたび食品物流についてコラムを寄稿させていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、第一回目の今回は『食品物流の特異性』についてお話したいと思います。

物流といっても、業種・業態によってまったく違うスキルやシステムを求められるのが物流業界の特徴です。中小企業から大企業まで何万という物流会社が、得意分野が多種多様にあることで同じ業界で共存できているわけですが、特に食品物流業界は「一般物」と呼ばれる貨物と比べて人が摂取する物を動かすという点で様々な違いを見ることができます。

  • bnr_tanomu_300.png 売り手
  • bnr_aiocr_300.png(売り手)

皆様、はじめまして。

関東1都6県で食品に特化した物流を提供させていただいている茨城乳配株式会社の吉川国之と申します。このたび食品物流についてコラムを寄稿させていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、第一回目の今回は『食品物流の特異性』についてお話したいと思います。

物流といっても、業種・業態によってまったく違うスキルやシステムを求められるのが物流業界の特徴です。中小企業から大企業まで何万という物流会社が、得意分野が多種多様にあることで同じ業界で共存できているわけですが、特に食品物流業界は「一般物」と呼ばれる貨物と比べて人が摂取する物を動かすという点で様々な違いを見ることができます。

目次

【ポイント1:温度管理】鮮度や品質を保持するために

一般の物流と食品物流の大きな違いとは何か。これを考えた時に、1つ目に挙げられることは『温度管理』が必要なものが多いことでしょう。

生鮮・青果物もその鮮度を維持するために最適な温度で輸配送・保管をする必要があり、チルド食品などは食品の劣化を防ぐためにも温度管理はなくてはならないものになっています。

もちろん、冷凍食品や冷菓商品になれば管理を怠ることで商品としての体を保つことすらできません。常温管理以外に、管理温度帯にはおよそ7段階のレベルがありますが代表的なものは下記の5つになります。

  • 15℃程度  ワインやチョコレート菓子など
  • 0℃~5℃  チルド食品(牛乳や和日配品など)
  • -18℃以下  冷凍食品
  • -30℃以下  アイスクリームなど
  • -50℃以下  冷凍マグロなど

車両や倉庫についても製品に合った温度で管理され、メーカーからエンドユーザーまでが同じ温度域で管理される「コールドチェーン」と呼ばれる物流が特徴です。我々茨城乳配でも、常温、チルド、フローズンの保管倉庫を保有し、協力会社との連携をしながらコールドチェーンを活用したサービスを提供しています。

【ポイント2:日付管理】より新鮮なものを消費者へ

2つ目に挙げられるのは、“日付管理の必要性”です。

工業製品と違い、食品は長短の差こそあれほとんどの製品に賞味期限、消費期限が設定されています。小売店などで商品を購入する際に奥の方から商品を取っている方が多いのは、できるだけ新しいものを購入したいという気持ちの表れです。

ご存知のとおり、概ね5日以内に品質面で著しい品質低下が認められる食品や食材は「消費期限」、5日を超えて長期の保存が可能な食品については、食品衛生法・JAS法で「賞味期限」と いう表記がされます。弁当や総菜などは日付より更に踏み込んだ時間まで表記されているものもあるわけですが、、期限が切れたものが混入してしまったり、期 限内であってもいくつもの日付が混ざってしまうことは顧客がそのお店を敬遠するきっかけになってしまうことに繋がるため日付の管理はとても大切なことと言 えるでしょう。

また、3分の1ルールという食品業界特有のルールが存在します。これは常温食品などに多く見られるルールで、製造日から賞 味期限までの3分の1を経過する前にメーカー・卸売業が小売業の店舗に納品する商習慣です。残りの3分の2の半分ずつを小売店の販売期間と消費者の消費期 間が分け合う考え方です。このルールでは、日付によってメーカー・問屋・小売店のどこが責任を持つのかが変わってしまうため、日付管理がとても重要な位置 付けになります。

上記2点に加えて、メーカーの生産計画、卸売り企業や小売り企業の発注計画などにも“日付管理”は大きな影響を与えることを付け加えておきます。

【ポイント3:時間管理】売上げ拡大やコスト削減に影響

3番目に挙げられるのは、“時間管理”です。

前段の日付管理にも関連することですが、食品物流は時間との勝負と言っても過言ではありません。Day0(デーゼロ)と呼ばれる、その日作ったものを小売店の店頭に並べることも当たり前に行われており、製造から販売までを限りなく短時間に結ぶ努力が求められます。

納 品先のピーク販売時間までに商品を納品しなければ販売機会の喪失に繋がるため、ピンポイントタイムでの納品を求められることも珍しくありません。また、 スーパーの物流センターなどでは、パートタイマーの人件費削減などの狙いから、決まった時間でしか納品が許されないケースも多く見られます。

【ポイント4:コスト管理】単価の安い商品が多いからこそ・・・

そして、最後は“コスト管理”です。

一般物流でもコスト管理は当然必要ですが、食品物流の場合は食品が毎日消費される性格のものであるがゆえ、単価が安いものが非常に多いのです。安価な商品であれば、当然物流費も限られてきます。

し かしながら、日持ちのしない商品や1日に売れる数が限られている商品は、少量を多頻度に配送することや必要なタイミングで配送するなど物流コストのアップ に繋がる要求も多くあります。また常温食品については、特売や季節特需、CMの反響などによる出荷量の波動が大きいために在庫管理と車両手配の難易度が高 く、対応の仕方によっては大きな損出に繋がってしまうことが考えられます。

そのため、食品物流でお客様のニーズに応えながらコストをおさえるには、的確な輸送手段の提供や各業態や製品の特性に合わせた物流提案など、物流会社に多くのノウハウが必要になってくるのです。

他にも食品物流ならではの特徴はたくさんあるのですが、今日は代表的なものを挙げさせていただきました。今回お話させていただいた内容については、また機会があれば更に掘り下げてお話させていただきたいと思います。

それでは、また次回お会いしましょう。

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