外食業界の特徴
外食業界全体の市場規模は、約30兆円。
ファストフード、ファミリーレストラン、居酒屋などに加えて、最近では社員食堂や、学校給食を運営する企業も増え、業態も多様化しました。経営規模も、1店舗から1000店舗を超える大企業まで、幅のある業界といえます。
そんな外食業界の物流で取り扱う品目は、およそ500から2000品目と言われ、食器や包材などの『資材類』と、店舗で調理する『食材類』の大きく2つに分けられます。
食材類の輸配送は、さらに冷凍・冷蔵・常温と3つの配送温度ごとに分けられていますが、店舗での調理効率の向上や、廃棄ロスの低減などのメリットから、冷凍品の割合が高いようです。
中・小規模企業の配送現場
ポイント1 卸が直接配送
中小規模の外食の主に店舗への配送は、業務用食材の卸売り企業が、店舗や食堂に直接納品を行っています。その場合、食材卸は『食材』を、資材卸は『資材』を、製パン業は『パン』をという形で、いくつもの企業が同じ店舗に出入りする仕組みになっています。
ポイント2 配送日は隔日
店舗や食堂への輸配送は基本的に毎日行われていますが1日当たりの出荷量が少ないために非効率な物流になりがちです。そのため、1日おきに輸配送を行う『隔日配送』を採用する企業も多いようです。
隔日配送とは2日分の物量をまとめて配送することで配送効率を上げる方法です。ただし、どの店舗でもこの配送方法を利用できるわけではなく、繁忙期を考慮し、最低でも3日分の食材や包材を保管できる、バックヤードや冷蔵庫を設置できることが前提になります。
ポイント3 配送時間帯
中・小規模の外食店舗への輸配送時間帯の特徴は、交通量と来客数が少ない夜間から朝方の時間帯に集中している点です。なお、24時間稼働ではない店舗については、店舗の鍵とセキュリティカードを物流企業に預けることでその時間の納品を可能にしています。
ポイント4 中・小規模の企業も物流センターを利用へ
最近では中・小規模の企業であっても物流センターを利用する企業が増えてきました。ただ、1社当たりの配送量には限りがあるため、在庫をもつ卸企業が中間に立ち、外食企業数者の納品をまとめて配送ルートを考えるなど、卸企業との協力体制が必要になります。
センターを利用できれば配送効率が上がり、結果的に外食企業、卸企業双方のコスト削減につながります。
大規模外食チェーンの配送現場
ポイント1 配送は自社物流センター
外食チェーンなど規模の大きな企業は、自社の物流センターを設けて一括物流を行っています。資材卸や業務用食品卸の企業からセンターへ一括納品してもらい、店舗ごとにすべての品目をまとめて輸配送しています。
センター化のメリットはいろいろありますが、一括仕入れによるコストダウンや在庫管理の一元化、店舗での納品作業の簡素化や、繁忙時間帯を避けた輸配送計画によって、店舗におけるアルバイトやパートの効率的な活用を実現しています。
また、センター化が進むもうひとつの理由として、セントラルキッチンがあります。セントラルキッチンとは自社で使用する食材を、原料から加工・調理する施設で、例えばファミリーレストランの場合、ハンバーグやピザ、パスタなどを店舗で調理する前段階まで加工しています。
セントラルキッチンは品質の一定化や店舗での調理の効率化に素晴らしい効果がありますが、限られた加工品の輸送しか必要としておらず、物流費の面ではコスト高となってしまう傾向があるようです。そこで、センターの機能を活かして業務用食品卸や資材卸などから仕入れた原料と自社の加工品を一緒に輸送するなどの工夫が必要になってきます。
ポイント2 共同配送システムの利用
一方で、物流企業の運営する共同配送システムサービスが充実してきたことから、これらを利用した物流戦略を立てる企業も増えてきました。近年、茨城乳配にもこのような依頼が増えてきていますが、各企業に商・物分離の考え方が普及し、同じ業態のライバル会社と混載して配送することにこだわらない企業が増えたことがその理由と考えられます。
配送施設をできる限り持たないことで、そのコストを削減し、本業部分に資源を集中できるメリットがあります。
近年は外食業界の売上が低迷しており、各企業とも惣菜や弁当の宅配市場などへの参入が続いています。また、企業によってはこれまで業務用で使用してきた野菜や調味料を自社ブランド化して、一般向けに販売するケースもあるようです。そのようなBtoC事業の取り込みにどのような対応するか、また例えばセンターからの直送に対応するなど、新たなサービスに対応できるかが、今後の外食業界の物流における課題と言えそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。