卸・メーカー2014.07.16

業界別の物流事情 食品スーパー編

2014.07.16

吉川 国之(茨城乳配株式会社)画像が見つからない

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こんにちは。茨城乳配の吉川です。

前回の外食業界に続いて、今回は食品スーパーの物流についてお話いたします。

スーパーマーケットは一般的に幅広い品目の商品を取り揃えていますが、その中でも特に食品の売上げが全体の60~70%以上で、売り場面積が250平方メートル以上の店を、『食品スーパー』と呼びます。

食品スーパーの商圏は、一般的に自動車で10分以内の範囲(店舗の半径2~3Km)。この狭いエリア内に複数の店舗があるのが特徴です。市場規模は約13兆円。新規出店が増加している反面、業界全体としての売上高は前年割れが10年以上続く、競争が激しい業界です。

  • bnr_tanomu_300.png 売り手
  • bnr_aiocr_300.png(売り手)

こんにちは。茨城乳配の吉川です。

前回の外食業界に続いて、今回は食品スーパーの物流についてお話いたします。

スーパーマーケットは一般的に幅広い品目の商品を取り揃えていますが、その中でも特に食品の売上げが全体の60~70%以上で、売り場面積が250平方メートル以上の店を、『食品スーパー』と呼びます。

食品スーパーの商圏は、一般的に自動車で10分以内の範囲(店舗の半径2~3Km)。この狭いエリア内に複数の店舗があるのが特徴です。市場規模は約13兆円。新規出店が増加している反面、業界全体としての売上高は前年割れが10年以上続く、競争が激しい業界です。

目次

食品スーパーの物流に求められるもの

食品スーパーは、家庭の食卓を支えているため100円前後の商品が多く、利益率は低いといえます。一方で消費者のニーズは、充実した商品ラインナップや鮮度の良い商品など、コストアップに繋がるものが多く、そのニーズに応えるため、物流には高品質・高効率でありながらローコスト。というオペレーションが常に求められています。

物流センターを活用してローコストを実現する方法

品質を維持しながらコストを抑える方法のひとつが、物流センターの活用です。物流センターのメリットは、規模を生かした一括仕入れの他、自社用の効率的な輸配送ルートの設定や、トラック利用の効率化、物流効率の向上などによってコストダウンを実現できることです。

ポイント1 トラック利用の効率化

例えば、夜間から早朝にかけて1便目はドライ食品、2便目はチルド食品、3便目は生鮮品というように配送品目を分け、同じ車両を使って配送することで、トラックの利用台数を減らします。また、最初の便が配送している間に次の積み込みの荷揃え(ピッキング)を行うことで効率が向上します。

ポイント2 配送の効率化

配送の効率を上げる手段としては、物流センター内でカゴ台車に仕分けされた 商品をそのまま4トンや10トントラックに積み込む方法があります。積み込み時に検品を行わず、店舗でもカゴ台車ごと納品することで納品時間を短縮します。またエレベータ機能があるトラックを使うことで、さらにスムーズな積み込み・荷降ろしが可能になります。

物流センターの種類

物流センターは、自社でセンターを運営するケースと卸会社のセンターを利用するケースがあります。

大規模のチェーンでは、日配品を扱うチルドセンター、加工食品や菓子を扱うドライセンター、青果・鮮魚・精肉を扱う生鮮センターや冷凍食品を扱う冷凍センターなどを自社で運営しています。

中規模のチェーンでは、いくつかの商品のセンターを自社で運営することもありますが、仕入れが難しい生鮮品や、設備に莫大なコストが掛かる冷凍食品や冷菓商品などは、専門の卸会社のセンターを利用することが多いようです。また本業に集中するために、すべて卸会社のセンターに委託するケースも増えてきています。

食品スーパーの物流が抱える課題

食品スーパー物流の特徴的な課題は『特売』への対応です。特売がある日は通常に対して1.5倍から2倍の輸配送車両が必要になることも珍しくありません。さらに売り上げに対して何%という通貨フィーで運賃を契約しているケースでは、特売時の車両数増加に物流費がついてこないというケースも見受けられます。センター内の作業についても、物量に比例して時間や工数が掛かる為に、人員の確保が難しい現在では特売時の対応が大きな課題になっています。

この課題については、今すぐに解決する方法はありません。
強いていうなら、物量の平準化を図ることが解決策ですが、競争の激しい食品スーパー業界でそれを実現するは難しいといえるでしょう。

現状ではレギュラー便を請け負っている輸配送企業が特売日前の数日間に特別配送を増便して対応することもあるようです。

ただし、輸配送企業も1社の特売対応のためだけに、車両や人員を過剰に抱えておくことはできないため、実際には輸配送企業が協力関係にある物流企業と情報を交換しながら、食品スーパーの特売の状況に応じて人員や車両を調整しています。

事前納品は、食品スーパー側にとっては納品日付管理がしづらく、バックヤードの容量を超えた納品が届いてしまう等、これから解決すべき課題も残っています。

食品スーパー物流の今後について

現在、イオンやセブン&アイに代表される大手チェーンでは、グループ内の異業種の共同配送(例えば、コンビニとドラッグストアとスーパーで共同配送を行うなど)を目玉の戦略として進めています。また、小規模のチェーンでは自社内の物流の効率化がすでに頭打ちになっているため、全日食やCGCといった共同仕入れが可能なグループに加盟して仕入れ力の補強や物流の効率化など、スケールメリットを出すための施策を検討する企業が増えていくと考えられます。

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