食品通販物流の特徴
通常の食品物流と違い、消費者に直接商品を配送することが大きな特徴です。個人宅に向けた物流ということから、たくさんの種類を少量で出荷する多品種小ロット管理が求められることに加え、賞味期限や衛生面の管理が重要になります。季節による物量の変動や、バレンタインデー・お中元・お歳暮に代表されるイベントごとに急激に物量が増加することもあるため、在庫管理の煩雑さへの対応やフレキシブルな倉庫ロケーションが求められます。
また、即日・翌日配送に対応するため、受注から発送までの間の物流行程がよりコンパクトになるように注力しています。例えば、受注業務~出荷までの基本的な物流業務を行う同じ施設の中に、Webサイト用の写真撮影スタジオやコールセンターを設けるような企業も増えてきました。
さらに、コンパクト化の一環として、最近では、贈り主に代わって手書きのメッセージカードを作成したり、ラッピング、アソート作業(詰め合わせ作業)やラベルの作成をしたりするなど、本来通販企業が請負うような、流通加工の業務も物流部門が一括して請け負うこともあるようです。
食品通販物流の現状
個人宅からの注文が大半を占めることから、配送はヤマト運輸や佐川急便といった大手の宅配企業の利用が主流になっています。
しかし、内食や中食を販売する業態でCoopのように自前の物流で対応する企業や、牛乳販売店や新聞販売店が持つような、個人宅向けのインフラを利用して独自の配送網を構築する企業も出てきました。
このような業態では、自治体からの要請で高齢者の安否確認業務の委託を受けながら配送を行うケースもあり、社会問題への一つの対策として認知されているものもあります。
今後の課題
通信販売の受注の傾向として、インターネット経由の注文は21時から24時までの夜間が40%を占めるのに対し、受け取り希望時間は9時から21時と、広い時間帯に散っています。電話・FAXによる注文は9時から17時の昼間に集中していて、受け取り希望時間は12時から17時頃が半数を占めています。
このような発注時間と納品時間のニーズに対応するのと同時に通販企業各社がこぞって即日配送サービスに力を入れているため、商品のリードタイムは短くなる一方です。
食品の特性である衛生管理や賞味期限などの制約をクリアしつつ、どのようにして時間的なニーズを満たし、付加サービスに対応していくかが大きな課題となっています。加えて、物流業界全体の課題でもある人財不足と燃料高騰の影響は、通販物流も例外ではありません。物流コストは今後上がる一方ですが、送料無料サービスのニーズは依然として高く、この環境下でどのようにコストを圧縮していくかが課題となっていくでしょう。
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