飲食店がインスタ集客をすべき理由
インスタグラム(Instagram)は、一言でまとめると写真や画像を投稿してユーザー同士がコミュニケーションを図るSNSである。視覚的な情報が大部分を占めており、ぱっと見でどんな投稿内容かわかりやすいのが特徴だ。
雰囲気が良いお店でも、あるいはどんなに料理がおいしいお店でも、その魅力を知ってもらわないとお客様は足を運ぶことはない。写真や動画で視覚的にアピールできるインスタグラムは、その飲食店の雰囲気や提供しているメニューが一目で分かる点で非常にマッチしている。
さらにインスタグラムは、多くのユーザーに利用されていることも集客に向いている点だ。令和3年度の各種ソーシャルメディア利用率では、LINEやYouTubeに次いでインスタグラムの利用率は48.5%と3番目に高く、若年層や女性ユーザーが多いことが伺える。
参考:総務省「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P69 第5章 各種サービス(ソーシャルメディア系サービス/アプリ、ニュースサービス等)の利用率等
また令和4年1月時点の調査では、世界の主要SNSの中でもインスタグラムは月間アクティブユーザー数が約14億人であり、日本でも主流で利用されている「Tik Tok」や「X(旧Twitter)」を抑えて4番目に位置している。写真などによる視覚的な情報発信が後押しして、言語の異なる海外の観光客のインバウンド集客にも活用しやすいだろう。
参考:総務省「第6節 国内外におけるサービス・アプリケーションの動向」
他のSNSとの比較
インスタグラムの他にも、写真や動画投稿できるSNSは数多く存在する。インスタグラムと他のSNSの特徴や違いについて見ていこう。
【各種SNS比較】
SNS | 基本機能 | メリット・デメリット |
---|---|---|
インスタグラム (Instagram) | 写真と動画がメインコンテンツ。ストーリーズやリールなど、投稿内容にアクセントをつけた発信が可能 | 写真や画像が一覧で表示されるので、見栄えが良く印象の強い投稿がユーザーに見られやすい。ハッシュタグを使うことで特定のターゲットに向けて情報発信しやすい |
X (旧Twitter) | テキスト主体の投稿。画像や動画の添付も可能。有料プランで長文の投稿やアカウントの認証を行える | おすすめや、いいね・リポストでフォロー外からの投稿も見やすく拡散力が高い。その分、投稿が炎上するリスクもあるため発信内容に注意を払う必要がある |
画像や動画、長いテキストやリンクシェアなどの投稿形態がある | 実名登録が原則なので、プライベートや仕事関係のコミュニケーションが活発。世界中でユーザー数が多く、海外展開やインバウンド顧客に向けて発信しやすい | |
TikTok | ショートムービーの投稿がメイン。動画の撮影から加工まで一括で行える | おすすめフィードなどでフォロー外の投稿が表示される。コミカルでユニークな投稿が多く、エンタメとして利用されやすい。認知度アップには繋げやすいが、商品の販促には向いていない |
どのSNSでもテキストや画像、動画などを投稿できることは変わらないが、それぞれに強みを持っており、自社の目的に応じたプラットフォームの活用が求められる。
インスタ集客のメリット
インスタグラムでの集客は、他の宣伝方法にはない強みがある。まずはどんなメリットがあるのか把握しておこう。
店舗の魅力をわかりやすく伝えられる
インスタグラムは、写真や画像などのビジュアル面に特化しており、そのお店の料理や店内の雰囲気を伝えるのに向いている外食する際には、WebサイトやSNSで検索することもあるだろう。そんな時に美味しそうな料理やおしゃれな雰囲気の写真が掲載された飲食店だと、「行ってみようかな」と興味を持ってもらいやすいはずだ。
特にインスタグラムは写真や画像がメインコンテンツなので、文章を考えるのが苦手な人でも簡単に投稿ができる。
最近ではスマホのカメラ機能も高性能なので、手持ちの機材で十分に映える写真を取ることができる気軽さも大きなメリットと言える。
低コストで始められる
街頭広告やWeb広告などの広告出稿をする場合、それなりの外注コストがかかる。また投じた費用に応じた効果が出るとも限らない。
インスタグラムなら、広告出稿に最低で1日あたり約100円の費用でスタートできる。少額だと期待する効果を得ることは難しいため、約1,000円~2,000円と目標に合わせて設定しても月額3万~6万円ほどと低コストだ。
参考:Meta「最小予算のベストプラクティス」
また企業向けのプロアカウント(ビジネスアカウント)作成や投稿自体は無料で行えるだけでなくインプレッションやリーチ数、フォロワーの属性などの分析機能を備えており、連絡先や住所を登録できる連絡オプションなどもあるため、集客を行う上での機能も充実している。
【ビジネスアカウントで可能なこと】
・アカウントのカテゴリ選択
・連絡オプション
・インサイトの利用
・ショッピング機能
・広告出稿
お客様とのコミュニケーションを図ることができる
インスタグラムでは飲食店の投稿に対し、ユーザーから「いいね」やコメントを受けることが可能だ。必要に応じてダイレクトメッセージでお客様からの質問に答えることも可能だ。
ハッシュタグをつけて料理の写真を投稿してもらうことにより拡散され集客やリピーターの獲得にも繋げられるだろう。またポジティブな言葉をもらうことで、店舗運営のモチベーションアップになるはずだ。
インスタ集客で注意すべき点
せっかくインスタグラムを活用していても、間違った方向性で発信し続けていても店舗の集客にはなかなか繋がらない。ではどういった点に気を付けるべきなのかを解説していく。
ユーザーに不快感を与える投稿をしない
投稿内容があまりに露骨な宣伝だと、一般のユーザーからは嫌われやすい傾向にある。日常生活でも、スマホアプリでSNSの閲覧中に広告が差し込まれると、鬱陶しいと思うことも多いはずだ。そうした宣伝と同じ印象を持たれると、ユーザーからは敬遠されてしまう。
例えば、以下のようなものが挙げられる。
・自店舗のWebサイトや口コミサイトへのしつこい誘導
・どこの広告でもよく目にするようなセールストーク
・やたら料金の割引やお得感をアピールする投稿
しかし店舗運営をしている側からすると、ビジネス色を出さない投稿は意外と難しい。店舗で働くアルバイトやパートの方にどんな写真を取ればいいのか相談するのも1つの手である。よりお客様側に近い視点でお店の魅力を見つけてくれるかもしれないからだ。
競合との差別化・運用コンセプトをぶらさない
同じ業態の飲食店がたくさんある中で、自店舗の運営するお店が選ばれるには競合とどう差別化を図るべきだろうか。
そこでしっかりとターゲット層に刺さるような戦略を立て、フォロワーを獲得する道筋を作ることが重要と言える。例えば、広めのテーブル席が多く活気のある店内が売りなら、「子供連れのファミリー層が入りやすいこと」「大人数での打ち上げに最適」などをアピールし、ターゲットとなるお客様と、自店舗のブランディングを明確にして運用することで、発信する投稿内容がぶれなくなる。
また実際に来店したお客様に対して、直接インスタグラムへ誘導するのも手段の1つだ。その際には、店舗アカウントのフォローやハッシュタグ付けの投稿を行ったお客様へ割引サービスを提供し、前向きにフォローしてくれるよう促すことも大切になる。
定期的な更新、継続的な運用
インスタグラムは写真や動画がメインのSNSであるため、写真や動画といったコンテンツを用意できることが重要だ。加えてイベントなどの情報発信やコメントへのリアクションなどコミュニケーションをこまめに行うなど、SNSの更新を継続的で定期的に行うことがフォロワー獲得のための大きなカギとなる。
インスタ集客のコツ
インスタグラムへの定期的な投稿を行う際には、ちょっとした工夫やアプリの機能を有効に活用することで集客に繋げやすくなる。では具体的にどんな手段があるのか紹介していこう。
有益な情報やお得なキャンペーンを「ストーリーズ」で発信
ストーリーズとは、投稿された内容が24時間で自動的に削除される機能だ。期間限定や時限サービスなどのリアルタイムな情報発信に向いている。
また、わざわざ削除する手間がかからないことに加え、フォロワーのタイムラインを圧迫しない点も高評価だ。例えば、イベントやキャンペーンの開催告知などで投稿頻度が増えると、中には鬱陶しいと感じるユーザーも出てくる。「ストーリーズ」はそうしたユーザーに不快感を与えず、かつ積極的に情報発信できる機能として有効活用しやすいのだ。
ターゲット層にマッチした内容にする
インスタでフォロワーを増やすには、自店舗へ興味を持ってくれる潜在的なユーザーへ情報を届けることが重要だ。そこで考える必要が出てくるのが「ハッシュタグ(#)」である。
ハッシュタグは、写真などの投稿内容に添える主なキーワードのこと。料理のジャンルや立地などの特定のワードを記載することで、自店舗に興味のあるユーザーの検索に引っかかる可能性が高まる。
例えば、「お店の名前+場所+料理のジャンル」などでハッシュタグをつけることで、近場にいるユーザーやその料理を食べたい方に検索されやすくなる。他にも、店舗の特徴や利用シーンに応じて適切なハッシュタグを付けておきたい。
【ハッシュタグ例】
内容 | キーワードの一例 |
---|---|
・料理のジャンル・メニュー | 「#和食」「#イタリアン」「#焼肉」「#カフェ」 |
・場所や地名 | 「#東京」「#渋谷」「#○○駅前」 |
・利用シーン | 「#家族連れ」「#テイクアウト」「#クリスマスディナー」 |
・店舗独自のタグ | 「#店名+地名」「#店名+ジャンル」 |
インサイトによるデータ分析で改善を図る
インスタでは、企業向けのプロアカウントに切り替えることで、データ分析に役立つ「インサイト」機能を使うことが可能だ。確認できる事項の一例として、以下のようなものが挙げられる。
・インプレッション数
・リーチ数
・プロフィールへのアクセス数
・いいね・シェア数
・フォロワー数とフォロワーの属性など
これらのデータは、「どの投稿が注目されたか」「いつの時間帯なら投稿が見られやすいか」「どんな層のユーザーから支持されているか」などの現状把握に役立つ。特にフォロワーが増えている投稿などには注目し、ユーザーの興味を引いている要因が何なのかをしっかりと分析することが重要だ。
インスタから直接予約や来店に繋げる
店舗の来店や予約に繋がる動線作りは、インスタグラムにおいて必要不可欠と言える。「どこにお店があるのか」「どのサイトから予約すればいいのか」などが分からないと、いくらユーザーの興味を引いても来店に繋がらないからだ。
インスタグラムに訪問すれば、お店の基本情報からメニューや雰囲気、予約サイトまでの情報がすべて集約されている状態にすることで、お店のHPを作成せずとも情報の発信ができ、お店を探している一般顧客も欲しい情報を得ることができる。
インスタグラムでは連絡先や住所の登録はもちろんのこと、他のサイトとの連携もできる。例えばグルメサイトの「ぐるなび」のネット予約が可能な飲食店であれば、インスタグラムと紐づけて、席の予約をインスタ内で完結することが可能だ。Uber Eatsを実施している飲食店は、インスタグラムのプロフィールとストーリーズに食事の注文ボタンを設置することができる。インスタグラムでお店を探し、気に入ったらそのまま直接デリバリー注文ができ、顧客の利用機会を逃さない仕組みづくりができる。
参考:
ぐるなびPRO「「Instagram」のアプリから、「ぐるなび」のレストラン予約が可能に」
Uber Eats「店舗のトップ ページに Instagram を連携」
長期的な運用を視野に入れてインスタ集客を行う
インスタグラムによる集客は、写真やハッシュタグで気軽に投稿できるため、一見すると簡単に運用することが可能だ。しかし、シンプルだからこそ写真1つでインパクトを与える難しさがあり、フォロワーを伸ばすためにも継続的な運用でビジネスアカウントを育てていくことが大切だ。自店舗のコンセプトや強みを改めて明確にし、本記事で述べた集客を行う際の注意点や運用のポイントを参考にしながらインスタグラムを効率的に運用しよう。