カフェを開業・起業するには何が必要?失敗しないコツと成功の秘訣

飲食・宿泊2023.08.28

カフェを開業・起業するには何が必要?失敗しないコツと成功の秘訣

2023.08.28

カフェの開業で重要なコンセプト設計

カフェ・喫茶店の店舗数は、以前と比べて減少しているとはいえ、2017年度時点で20万件とかなり多い。単純計算で1つの都道府県に4,000以上もの店舗があることになり、自店舗に足を運んでもらうためには工夫や努力も求められる。

特に様々な形態のカフェがある現在では、他の店舗にはない独自性を追求することがお店の魅力につながってくるだろう。そしてどんなお店にするかを決める際に重要になってくるのがコンセプト設計だ。

コンセプトを決める際に重要な3点を解説する。

ターゲットの客層をどうするか

カフェを利用する人のすべてをターゲットとすると、お店オリジナルのコンセプトが定まらず幅が広くなりすぎてかえって集客が難しくなってしまう。そのため、ターゲット層を先に絞りこむことで特定の顧客に魅力的なお店づくりを実現できる。

例えば、中高齢者を呼び込むなら本格的なコーヒー作りに力を入れたり、家族連れを狙うなら子供向けメニューを充実させたりと、ターゲットのペルソナを具体的にすることでコンセプトを決めやすくなる。

どんな機会に来店してもらうのか

店舗に来店してもらうためには、何かしらの理由が必要となる。例えば、「自宅やオフィスから近くてすぐに利用できる」「友達とゆっくり喋れる場所を探している」「仕事帰りにひと息つきたい」など理由は様々だ。

都会のオフィス街ならランチ利用を狙ったアプローチ、静かな住宅街の店舗ならお一人様でも来店しやすい内装にするといったように、「場所」「時間帯」「利用人数」「来店する目的」などを意識してコンセプトを決めると良いだろう。

どういったサービスを提供するのか

飲食店の提供するサービスは、メニューだけでなく店内の雰囲気や接客方法なども含まれる。このお店でしか味わえない料理やコーヒー、おしゃれな内装やBGMで店内の雰囲気を楽しむなど、消費者が行きたいと思うような強みがあると集客につながりやすくなる。

また、「客層」や「来店機会」とマッチしたサービスを意識することで、自ずとお店のイメージも明確になってくる。

コンセプトシートでさらに細分化する

ある程度どんなお店にするかを考えたら、コンセプトシートなどでより明確なイメージを作ることも大切だ。

コンセプトシートは、思いついた事柄を文字にして書いていき、方向性や考え方をまとめる企画書のようなもの。基本的には5W2Hの項目で、お店の具体的なイメージを作り上げていこう。

【5W2Hの書き方】

When(いつ):営業時間例)10:00~20:00、ランチとディナータイムを分けるなど
Where(どこで):立地例)都道府県や市町村、最寄り駅やオフィス街、繁華街、住宅街なのかなど
Who(誰に): ターゲット層例)20代女子大学生、30代男性サラリーマン、40代以降の中高齢層など
What(何を): 提供メニュー例)オムライス、コーヒー、旬の野菜、デザート類、夜限定でアルコール類など
Why(なぜ):創業目的例)友達やママ友などと気軽に来店できるお店を作りたい、地産地消の原材料を使ったメニューで地域を盛り上げたいなど
How(どのように): サービスの提供方法例)丁寧な接客、コンセプトにマッチした内装とBGMで空間作り、客席数10人程度の小ぢんまりとしたカフェなど
How much(いくら): 価格例)ランチの客単価が1000円、ティータイムの客単価が1,400円など

 

これらの項目を明確にしておくことで、軸のぶれないコンセプト設計が可能だ。例えば、静かな空間を作りたいなら、元気な「いらっしゃいませ!」という挨拶より落ち着いた接客を心がけるなどの方針もかたまる。

お客様にとって居心地の良い空間になれば、リピート客の定着にもつながるだろう。

カフェの開業に必要な資金

カフェの開業にかかる資金は、必要となる物件の広さや設備、宣伝方法などで大きく異なる。10坪程度のテナントであれば、およそ100万円~1,000万ほどとなる。自己資金のみでまかなえない場合は銀行などから借り入れる方法もある。

何にどの程度の費用がかかるのか、10坪程度の店舗を例としたものが以下となる。

【10坪程度の店舗例】

項目相場備考
物件取得費120万~130万円以上敷金・礼金、保証金、仲介手数料など
内装40万~150万円以上設計・施工・解体工事、電気・ガス・水道工事、空調・換気・防災工事など
厨房設備50万~300万円以上オーブン付きレンジやフライヤー、冷凍冷蔵庫、食洗機など
備品30万円~テーブルや椅子、食器やチェスト、POSレジや注文システムなど
宣伝費10万円~チラシやポスター、看板広告、WebやSNS広告
運転資金100万円~材料仕入れ、水道光熱費、家賃、人件費、消耗品の補充など

 

カフェの開業費用を抑える方法

カフェの開業にはもちろんお金がかかるものではあるが、費用を抑えられる部分は工夫をしたいところだ。いくつか例を挙げる。

物件費用を抑える

もともと飲食店として使われていた物件(居抜き物件)は、以前のテナントの設備や家具などがそのまま残っている。

開業する自店舗の雰囲気やオペレーションに合致したつくりの物件を選ぶことで、建物の骨組みだけあるスケルトン物件や新築の物件から設計するよりも内装や設備にかかる費用を抑えることができるだろう。

また内装や家具のDIYを行うことで、労力はかかるがその分こだわりのあるオリジナルの空間ができあがる。

経営にかかる費用を下げる

毎月様々な経費や人件費などがかかる。店舗運営オペレーションの環境を整えることで年間でかなりの削減につながる。具体的には、以下のようなものだ。

レジや注文端末のセルフ化

お客様自身が注文や会計を行うことで、ホールスタッフの人員を削減することが可能だ。最近では配膳ロボットなども注目されつつあり、試験的に導入する企業も出てきている。

発注システムの導入

仕入れや在庫管理などの業務を効率化することで、事務作業に割く時間を減らせる。その分、他の業務に注力できるため、結果的に人件費を抑えられる。

複数業態、複数店舗を経営するほど、メニュー数が増え食材発注の種類も多くなったり、店舗ごとに異なる取引先を持ったりするだろう。発注方法や請求書のフォーマットがバラバラになると、管理や経理業務も煩雑になるため、結果、事務作業が増えてしまう。

システムの導入・管理にすることで発注フローを組織で一元化でき、発注から管理、請求処理までの工程がスムーズになるなど、導入効果も大きいだろう。すでにカフェ以外を経営しており、新しくカフェを開業する場合には、より効果を得られるため検討しよう。

Web広告やSNSによる宣伝

チラシやポスター、看板などのアナログ広告の方法だけでなく、Web広告を用いた宣伝はインターネットを活用している層に対して有効だ。

またX(旧Twitter)やTik Tokなどで公式アカウントの運用をすることでSNSを通じて気軽に情報発信などを行える。自店舗のコンセプトに合わせて活用しよう。

補助金や助成金を活用する

助成金と補助金は、国や地方公共団体から支給、借りることができるお金のこと。その中には、事業をはじめる方や新しい取り組みに挑戦する企業をサポートするための制度も作られている。

条件を満たせば支給されるものから、審査に合格しなければならないものまで条件も様々だ。カフェを開業する際に使用できる制度としては、以下のような例が挙げられる。

制度内容
IT導入補助金セルフオーダー用の端末やPOSレジ、一部発注システムなどのITツールを導入した際の費用を補助
創業補助金独創的なサービスや商品を新たに提供する方を支援する制度、店舗賃借料や設備、人件費や宣伝費などを補助
小規模事業者持続化補助金小規模事業者を対象とした制度、創業枠としてカフェ開業時の経費を補助
新規開業賃料補助金カフェ開業時の家賃を補助、地方自治体によって制度が異なる
受動喫煙防止対策助成金喫煙室や換気装置の設置などにかかる費用の一部を補助

 

補助金・助成金の申請方法や受給までの流れについては、以下の記事を参照してほしい。

魅力的なカフェを開業するためにもコンセプトを突き詰める

カフェを開業するためには、特にコンセプト設計をしっかりと深掘りし、「どんなお店を作りたいか」を明確にしておくことで、軸のブレない魅力的なお店作りにつながるはずだ。

また「自分の実現したいお店」と「顧客が喜ぶ・楽しめるお店」を結びつけることも大切。カフェのコンセプトが決まったら、周囲の知人や仕事仲間から客観的に評価してもらうのも1つの方法だ。カフェ経営を成功に導くためにも万全の状態でのスタートしよう。


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