人材を定着させる4つのサイクル
体系的な教育体制づくりにおいて基本となるのが、「グローイング・サイクル」だ。人材が辞めずに定着する組織として必要なアクションが、4つのステップに集約されている。
1.基準を示す
まず行うべきことは、「基準を示す」。組織に所属するさまざまな役割や立場の人たちに対し、経営者が求めていることは何かを提示する。つまり、その人にとってのゴールはどこかを、明確に示してあげることが大切だ。
2.教える
「教える」は、初期教育や研修、OJTなどを通じて、示したゴールに向かうために必要な知識やスキルを教える段階となる。ここで重要なのは、「成長意欲のない人はいない」という前提に立つことだ。一見モチベーションが低い人でも、潜在的な成長意欲を引き出してあげれば大きな戦力となることを忘れてはいけない。
3.要求する
教えて終わりではなく、教えたことをきちんと実践するように要求することも必要である。飲食店でよく聞かれる「レシピやマニュアルを用意して教えたのに、その通りにやってくれない」という悩みは、責任者が都度チェックしていないことが原因だ。この問題は、スタッフ本人ではなく組織にあると捉えることが大切である。
4.評価する
ゴールを示し、知識やスキルを教え、要求したことが行われているかどうかを検証する段階だ。ただし、検証だけで終わらず、その結果を客観的に評価し、良し悪しをフィードバックしてあげることが職場への定着に繋がる。評価については、次項でも詳しく解説しよう。
評価制度の目的は、査定ではなく育成
一連のサイクルの中で、「評価」は経営者とスタッフで最も認識が合わない項目である。事実、スタッフからは「評価制度はあるのにまったく機能していない」という声も多い。これは、評価の目的を経営者が単に給与査定のためと捉えているからだ。
しかし、このサイクルにおける「評価」の目的は、人材を成長させることにある。より明確にいうと、頑張りを認め、承認欲求を満たしてあげることで、辞めないアルバイトスタッフを育てることが目的なのだ。
たとえ、しっかり教育を行い実践させていたとしても、認められなければ人材は離れてゆく。成果をねぎらい、改善点とともに明確に伝えることが大切だ。
問題解消に欠かせない、積極的な外国人雇用
前述した通り、日本人の働く人口は減少の一途で、この先も増える見込みはない。一方、日本で働く外国人は、右肩上がりに増えている。
厚生労働省によると、外国人雇用状況は2013年の72万人から2018年には146万人となり、5年で2倍に増えている。
今や、日本で枯渇状態にある労働力を補うには、外国人の採用が不可欠だ。しかも、相当なスピード感で積極的な外国人採用に舵を切るべき状況にあると言っていいだろう。