クチコミサイトで外国人観光客を集客~飲食店のインバウンド対策(前編)

飲食・宿泊2019.08.07

クチコミサイトで外国人観光客を集客~飲食店のインバウンド対策(前編)

2019.08.07

株式会社船井総合研究所 フード支援部 部長 上席コンサルタント 二杉明宏

株式会社船井総合研究所 フード支援部 部長 上席コンサルタント 二杉明宏

集客~ 外国人が利用する クチコミサイトを攻略

外国人観光客にとって、SNSをはじめとするクチコミサイトは、日本をより楽しむための情報を得る重要なツールとなっている。同時に、旅の思い出を写真や動画で公開し、日本での楽しい体験を広める情報発信のツールでもある。実際に、外国人観光客のSNSは、観光地を巡り、食事などを楽しむ写真や動画であふれている。

どんな料理や体験を楽しんでいるか、傾向などからヒントが得られるかもしれない。SNSの投稿をチェックして、傾向を探るのもいいだろう。それぞれの国ごとに観光情報サイトはあるが、ファーストステップとして、「大衆点評」と「トリップアドバイザー」への対策を優先したい。この他に、「Googleマイビジネス」に店舗情報を登録しておくとよいだろう。各サービスの詳細は表の通りだ。

大衆点評中国最大のクチコミサイト。登録ユーザーは約6億人。全世界のグルメ情報をメインとした観光情報を掲載。クチコミ投稿のほか、店舗の予約や決済サービスも提供。日本を訪れる中国人旅行者の45%が、旅行前に大衆点評のレビューを参考にしているという。飲食店はアカウントを登録後、クチコミ数によって地域ごとにランキング化される。日本の「食べログ」のイメージに近い。影響力は大きく、中国人観光客のほとんどが利用している。
トリップアドバイザー世界最大の旅行クチコミサイト。世界49の国と地域、28言語でサービスを展開し、毎月4億9,000万人が利用する。ホテルや飲食店など、旅行に関するクチコミ・価格比較を中心とする情報を提供。世界中の旅行に関する約830万軒の施設が登録され、クチコミ情報は7憶6,000万件を超え、地域や業態などでランキング化される。
GoogleマイビジネスGoogle検索やGoogleマップなど、様々なGoogleサービス上に飲食店などの紹介文や写真などを表示し、ユーザーに向けて情報発信できる無料ツール。利用者のスマートフォンなどの言語に合わせて、店舗住所やクチコミなどが自動的に翻訳される。多言語に対応しているため、Googleマップを使った外国人観光客の需要が見込める。ユーザーは地名や業態で店舗を検索し、クチコミを投稿する。店舗側はクチコミへ返信できる。
ぐるなび外国語版日本在住の外国人や、外国人旅行者のためのレストランガイド。翻訳が難しかった日本語メニューを簡単に多言語表記できるサービスを提供。飲食店がぐるなびの管理画面を通じ、日本語で食材、調味料や調理方法を日本語で登録・編集すると、自店の外国語版ページに自動で4言語(英語・繁体字中国語・簡体字中国語・韓国語)に変換される。

国内外問わず、クチコミサイトでの評価は集客に影響を与える。では、外国人観光客のクチコミを集客に利用するには、どうすればいいのだろうか。

まずは、それぞれのサイトに自店舗のアカウントを開設しよう。店側からのおすすめ料理や価格、店舗の内装、決済方法といった基本的な情報を確実に掲載することから始まる。つまり、外国人に向けて、ウェブ上に店舗の顔を作るということだ。

見映えの良い料理写真を掲載

アカウントを開設したら、見映えの良い料理写真をぜひ掲載してほしい。フォトジェニック、ムービージェニックな料理は、SNS好きな外国人が、自ら撮影して投稿するために店へ行きたい、という動機に直結する。

たとえば、近年の焼肉業態に多く見られる〝階段盛り〟や、金のお皿、金箔を使った料理、さらにドライアイスを演出に使った刺身の盛り付けなどは中国人に人気が高い。派手な演出の料理や盛り付けは、日本人であれば敬遠しがちでも、国が変われば高評価の対象となる。サイトの写真は、クチコミのきっかけとして大いに利用したい。

クチコミへの返信は現地語で

また、クチコミへの返信は、サイトの重要なメンテナンスになる。外国語での書き込みに対しては、日本語ではなく、書き込まれた言語で返信することをおすすめしたい。

利用客の投稿が良い評価でも悪い評価でも、母国の言語で返すことで「この店は、たとえ観光客だとしても、顧客の声にきちんと向き合っている」と受け取られることで、結果として自店舗の評価が上がるのだ。

都市圏だけではない。市場は全国どのエリアにも

現在、東京はもとより、大阪や福岡といった大都市圏には急激な伸びを示す大きなインバウンド市場がある。一方で、その他の地域はどうだろう。現時点ではインバウンドの実感がわかないエリアでも、市場がないわけではない。

たとえば、静岡県の浜松は、東京と大阪・京都エリアの中間にある。そのため、近年は一泊する動機で訪れる外国人観光客が増え、浜松駅前の繁華街にはインバウンド需要が生まれている。これから30年に向け、現在の2倍近い外国人が来日すると考えれば、恩恵を受けているエリア以外にも、外国人観光客は確実に流れていくだろう。つまり、今後は日本全国どこでも市場は広がっていくと考えられる。クチコミサイトなどを活用して集客を成功させ、新規の客層をぜひ取り込みたい。

後編では、集客した訪日観光客を店舗内でどう接客すべきかを紹介する。


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