「現金のみ対応」は、機会損失になっている
日本クレジットカード協会(JCCA)が発表した調査結果によると、消費者はキャッシュレス決済できる店舗を選択する傾向にあるという。その割合は約4割となった。
また、海外に目を向けると、キャッシュレス化はアジア各国や欧米で積極的に進められている。日本における決済比率が約20%であるのに対し、最も高い韓国では約9割、他の国も40~60%台といったところだ。
■各国のキャッシュレス決済比率の状況
丸山氏によると、「キャッシュレスが浸透した海外の都市部では、すでに支払に現金を使うのはイレギュラーになりつつある」という。
「日本は“やはり現金が安心”“現金でないと何にどれだけ使ったか実感がわかず、使いすぎが怖い”という声もあります。それは、キャッシュレスの主体が長らくクレジットカードだったためでしょう。
しかし今、広まっている新たな決済手段は、電子マネーやデビットカード、あるいはスマートフォンとQRコードやバーコードを利用するコード決済などです。
多くは使ったその場で金額がわかり、支払情報はスマホで確認できます。使いすぎ防止のアラートを出すといった設定もでき、家計簿アプリなどで、現金よりも簡単かつ厳密な管理が可能なのです」
丸山氏は、高速道路のETCレーンを例にあげる。登場した当初はもの珍しく、『危ないんじゃないか』という声もあったが、今ではETCの利用率は9割以上となり、有人レーンで現金払いする方が稀だ。同様のことが個人の買い物での決済でも広がっていくという。
「ETCだけでなく、Suicaなどの電子マネーも、もはや日常的です。給料も、現金支給より、銀行振込が圧倒的ではないでしょうか。ECサイトの利用増など、対面以外のキャッシュレス化も進んでいます。そして便利だと感じた消費者は、もう以前の状況には戻りません。現在は、“現金だからこその良さ”よりも、“キャッシュレスの良さ”がまさる状況にさしかかっているかと思います」
世界的なキャッシュレスの波に、飲食店は乗りきれていない
キャッシュレスが主流になると、サービス業の現場でもっとも大きく変わるのがレジ業務だろう。事業者は不便さに気付いていないかもしれないが、実は現金を取り扱うレジまわりは、生産性を圧迫する課題が少なくない。