東南アジア諸国では現在も、大手回転寿司チェーン店から個店まで幅広く採用されており、「ハラル対応の酢は、単なる醸造酢、調味酢以外のレパートリーとして、メニューの可能性が広がる」と現場で評価されている。
ハラル対応でムスリムの選択肢をひろげる
しかし、酢はメニューを構成するひとつの要素にすぎない。厳密にハラルに対応するためには調理場も専用の調理スペースを確保するなどの細やかな配慮が必要になる。酢だけ変えてもハラルとはいえないのではないだろうか。
「海外の寿司店では和泉からはじまって、海苔や醤油なども徐々に変え、より厳格にハラル対応していくケースもありました。しかし完全に対応するとなると、日本の一般的な飲食店では難しいでしょう。そのため、ハラル対応の料理を提供できる飲食店は限られているのが現状です。
しかし、ムスリムと一口で言っても、国や地域、さらに個人によっても違いがあります。戒律を厳格に守る方もいれば、さほどでもない方もいて、食べられるかどうかの選択は自分たちで行います。そういった方に向け、和泉を使っていると情報開示することで、選べる料理を増やすことができるんです」
和泉を使っている飲食店によっては、ハラル対応のマークを店頭や店内メニューで示していることもある。それを見てムスリム自身が食べられるかどうかを判断できるようになる。訪日ムスリムからも実際に「せっかく日本に来ても食事を楽しめないのが悩みだったが、ハラル対応のお寿司があって、より日本を楽しめるようになった」という声が届いたという。
「オリンピックの開催を控え、インバウンド需要は年々も高まっていくでしょう。今後は和泉をより広めて、日本を訪れるムスリムの方々が安心して召し上がっていただける寿司店を1店舗でも多く増やしていきたいです。外国の方々にお寿司の良さ、和食の伝統を伝えていくことで、飲食店がよりいっそう活性化していければと思っています」
タマノイ酢株式会社
住所:〒590-0940 大阪府堺市堺区車之町西1-1-32 電話:072-238-1021
事業内容:醸造酢、粉末酢、各種調味料、レトルト食品および菓子・健康飲料などの製造・販売
お話:大阪支店 海外事業部 丸山鉄平氏
公式HP:http://www.tamanoi.co.jp/