売上ゼロから再出発した『こてっちゃん』が、味付け牛もつ加工品の売上トップに復活するまで~こてっちゃん(エスフーズ)

卸・メーカー2018.01.29

売上ゼロから再出発した『こてっちゃん』が、味付け牛もつ加工品の売上トップに復活するまで~こてっちゃん(エスフーズ)

2018.01.29

「スーパーで買うのは主婦の方たちです。ホルモンやモツだと手にとるのは恥ずかしいというイメージがこの頃はまだありました。そこで、朝鮮半島から伝わったとされる焼肉のメニュー用語で牛の大腸を“テッチャン”と呼んでいたことから、小腸は小さいテッチャン、“こてっちゃん”と名づけたんです」

親しみやすく、洒落の効いた商品名の認知度をあげるため、初期のテレビコマーシャルは「こてっちゃん」を連呼するものだった。また、こてっちゃんの売れ行きを後押ししたのが、家庭での電気ホットプレートの普及である。これまで店に行かないと食べることができなかった焼肉料理が、家庭の味になったのだ。

「コマーシャルや店頭プロモーションで当時のこてっちゃんがアピールしたのは、家族で食卓を囲み、焼肉を楽しめる点でした。こてっちゃんの味付けも“やきにく用”と名づけていました」

こてっちゃんの登場は、バラエティミートを身近な食材へと変えた。1992年には、当時のもつ鍋ブームを反映し、こてっちゃんは「牛もつ鍋」シリーズも展開させる。消費者の間ではエスフーズという企業名よりも、こてっちゃんの商品名の方が浸透し、ファンを増やしていった。

順調なヒットで発売から20年。降りかかった最大の危機

エスフーズの本社がある兵庫県の地方紙、神戸新聞によると、90年代半ばのこてっちゃんは推定で年間約1.2万トンを販売し100億円を売り上げている。その頃、日本が輸入していた冷凍の牛腸(大腸含む)は約1.4万トン、その9割近くがアメリカ産だ。つまり殆どのアメリカ牛の小腸は、日本でこてっちゃんになるために海を渡っていたのである。

だが順調にヒット商品となり、誕生から20周年を迎えたこてっちゃんに大きな試練が降りかかる。2000年初頭に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題だ。2003年にアメリカでBSEに感染した牛が確認され、同国の牛肉・牛肉製品の輸入が一切禁止された。こてっちゃんは原料の供給がとまり、販売休止に追い込まれてしまったのだ。


BtoBプラットフォーム受発注

注目のキーワード

すべてのキーワード

業界

トピックス

地域