平均点を目指すのではなく、とことん振り切る
坂本さんを筆頭にした女性開発スタッフがそのメインに据えたのは、レモン風味という今までにない「味」だった。
「濃い味付けやイカ独特の香り、油のボリューム感などこれまでイカ天のウリだったものが、今の女性に受け入れられにくい弱点になっていると捉えたのです。レモンの酸味と風味を加えることで油っこさを中和し、イカ天の良さを残しながら女性が食べやすいさっぱりした味に変えました。さらに、期間限定時に苦戦したレモン風味の塩梅については、ちょっとやり過ぎかなと思うレベルに強めました(笑)。中途半端なレモン風味では、パンチが弱いと思ったのです」
味だけでなく、パッケージにもとことんこだわった。
「イカ天だけでなくおつまみ全般に言えることですが、男性目線のガッツリイメージでデザインされた袋をレジに持っていくのは、女性にとって結構恥ずかしいんです。実際に、お土産屋さんからもそういう話は聞いていましたし…。そこで、若い女性デザイナーにお願いして、女性の目に留まりやすいパステルカラーをベースに可愛らしいパッケージデザインを作りました」
女性に訴求するパッケージづくりは、デザインだけに留まらない。一般的なイカ天の袋より12%サイズダウンし、開け口には弱い力でもまっすぐ切れる技術を採用。一度に食べきれなくても保存できるように、密閉チャックも付けた。