卸・メーカー2014.03.04

「福島の生産者を支えたい」と奮闘する卸会社~株式会社笹重 笹島重美社長

2014.03.04

今年から福島県産を県外に売り込み

-●どんなものを売り込みたいですか?
まずはやっぱりコメ。私自身、原発の問題が起きて福島のものが食 べられなくなってはじめて、「福島のコメよりおいしいコメはない」ということに気付かされました。実際、県内には米・食味分析鑑定コンクールで5年連続金 賞を獲得した岩瀬郡天栄村など、米どころがたくさんあります。

また、福島は農産県ですから、やはり農産物ですね。現在、トマト、コメ、 キュウリ、キャベツ、銀杏、白菜、大根の農家さんとのつながりがあり、現在加工業者さんと商談を進めています。今後、全国の飲食店さんやスーパーさんにも 福島県の農産品を納品できるよう、ほかの野菜や果物農家さんとのつながりも作っていきます。「こういうものがないか」とご相談いただけたら、即座に対応で きるようにしていきます。また、福島の農産品を使った加工食品もそろえていきたいです。

-●震災後、生産者さんの様子はどうでしょうか。
も ともと福島県は全国の中でも兼業農家が多い県で、専業の方はほんのひとにぎりです。そもそも福島県は盆地が多く、専業農家でも生産がそれほど大きくないた め、後継者が育ちにくい状況でした。さらに原発事故後は、兼業・専業農家ともに、放射能を含む生産物しか作れず県外の人に認めてもらえないというショック から、農業を辞めた方が多くいらっしゃいます。しかし、こんな厳しい状況でも農業をやろうという若者は少ないながらもいます。「専業農家だった父親を尊敬 しているから、続けたい」「農産物から放射能も検出されていない。自分はここで育ってきたから、作り続けたい」という若いキュウリ農家さん、コメ農家さん の言葉を聞いたら、やっぱり「助けたい、手伝いたい」と思いますよね。福島の農業はまったく希望がないわけではありません。

福島産のコメ

-●現在、風評被害はどうでしょうか。
県内のコメに限らず農産物は全品検査を実施しており、セシウムが検出されたものは県外に出ることはないので安全だといえるのですが、そういったことはなかなか知られていません。

正直なところ、マスコミは福島農産物反対デモの中継や原発賛成反対の討論番組よりも、もっと建設的な情報を伝えてほしいですね。福島県の生産者が安全な農産物を目指している様子などをドキュメンタリー番組などでアピールしてほしいと思っています。もちろん、自分たちも草の根レベルで宣伝していくつもりです。福島復興物産展という形で他県のデパートなどに出品しておりますが、お買い求めいただいた方がチャリティ感覚ではなく、きちんと召し上がっていただけるととてもありがたいです。きちんとした商品として売り、ビジネスとして今後に繋げられるようにしてきたいです。

-●震災後、県内向けに開発したという商品について語ってください。
原発事故後、放射性物質や放射能の影響に関する勉強会などで「発酵食品が放射能に負けない体を作る」という話を聞き、福島の人が簡単に摂取できる発酵食品の開発をしました。それが、こちらの「レディウコン」です。私自身、ウコンが体調改善に役立つと感じていること、亜鉛の含有量が多いという点で発酵ウコンを選び、飲みやすさを重視して開発しました。ウコン、タウリン、オルニチンという肝機能を強化する3つ成分が入っていながらも苦味がなく飲みやすいという点、体内の放射性物質を排出する働きを手助けするというカルシウムや亜鉛を多く含んでいる点がポイントです。

-●「レディウコン」のほか、どんな発酵食品を扱っていますか??
塩麹のドレッシングなどいろいろありますが、おすすめは「高麗屋(こまや)のキムチ」ですね。完全無添加で、野菜は旬の国産、ニンニクは青森田子産、だしと 唐辛子は韓国産というように、材料にこだわっています。「体質的にキムチが合わないという方でも食べられた」、「食べた後にニンニク臭さが残らない」と好 評で、居酒屋さんなどにも卸しています。「発酵食品を最も必要だと感じている福島県民が提案する商品」としてこちらも全国に紹介していきたいです。

株式会社笹重

お話:代表取締役 笹島重美様
【郵便番号】〒963-8876
【住所】福島県郡山市麓山2-9-20-202
【TEL】024-927-0517
【事業内容】食品卸

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