飲食店の仕入れコストを平均15%削減する、共同購買プラットフォーム~DDプラス

飲食・宿泊2023.01.18

飲食店の仕入れコストを平均15%削減する、共同購買プラットフォーム~DDプラス

2023.01.18

飲食店の仕入れコストを平均15%削減する、共同購買プラットフォーム~DDプラス

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全国主要都市を中心に約340店舗を運営する株式会社DDホールディングスは、関東を中心とした複数業態のドミナント展開を背景に、仕入れの購買力と物流効率の高さを強みとしてきた。そうした圧倒的な仕入れ力を活かしたサービスが、他社の飲食店でも利用料ゼロで利用できる『食材の共同購買プラットフォーム』だ。

このサービスを運営するのは、同社の連結子会社である株式会社DDプラス。同社はなぜ、自社だけでなく他社を巻き込んだ仕入れの仕組みを構築したのか。その狙いとメリット、飲食業界と生産者、流通事業者をつなげる思いを取締役 伊藤龍太郎氏に伺った。

目次

株式会社DDホールディングスの規模が可能にした新しい仕入れの形

【Q】御社が展開する共同購買プラットフォームの概要について教えてください。

株式会社DDプラス
取締役 伊藤 龍太郎 氏

株式会社DDホールディングス(以下、DDHD)では、全国主要都市を中心に約340店舗を運営しています。特に関東一都三県でドミナント展開しており、センターを活用した購買力と物流効率が高いのが特徴です。

当社の『共同購買プラットフォーム』は、DDHDの持つ仕入れのマスメリットを最大限に活かした仕入れ支援サービスです。当社だけでなく他の飲食店の方々にも利用料0円でお使いいただけます。多くの飲食店の皆さまにご参加いただくことで、さらにマスメリットを高めてコストダウンを図り、同時に天候不順や食材価格の高騰などのリスクを最小限に抑えられると考えています。

【Q】このサービスを始めようと思ったのは、なぜでしょうか?

私はもともと料理人でした。料理人はだれでも、鮮度のよい野菜を旬の時期に旬の場所から安く仕入れたいと考えます。一方で、八百屋さんは時期や場所より安定供給と価格を優先します。

もちろんそれも大事ですが、飲食業の我々にとっては、どこで誰がどのように作ったかが大事になります。おいしい野菜は糖度や水分が多い反面、日持ちしにくく旬が短い傾向にあります。そうなると八百屋さんでは扱いづらいのです。そのため、どうしても飲食店と八百屋さんの思いにはズレが生じてしまいます。

そこで、当社の約340店舗分の購買力を活かそうと考えました。例えば、胡瓜であれば月間40,000本仕入れております。

これだけの量があれば、おいしい時期においしい産地でおいしく作ってくれる生産者から直接購入して、毎日、鮮度のいいものを提供できると考えました。いわゆる産直契約をして、店舗へ物流をつなぎ、生産者の思いも一緒にお店に届けるようにしたのです。

産地契約で大切なのは、取引ではなく、取組みを行うことだと考えます。契約したら終了ではなく、継続的な取引をお約束し、生産者に野菜の状況を確認することと同様、店舗からお店の状況や野菜の良し悪しなど品質の連絡をするなど、コミュニケーションを取りながらお互いに感謝することが最も重要な事だと考えます。より関係性を深める事で、「DDさんのためにがんばっておいしい野菜を作るよ!」と言っていただける生産者がずいぶん増えました。

食材価格の変動にも振り回されない仕入れ網の構築

【Q】DDHDが構築した仕入れの仕組みを、他社の飲食店も利用できるようにしたのはなぜでしょうか?

当社のマスメリットといっても、約340店舗です。2,000店舗、3,000店舗を展開するチェーンと比較したら、購買力もたかが知れています。そのため、マスメリットが拡大すればもっと魅力的な食材が安く仕入れられるので、どうすればよいかを考えてきました。

そうした中コロナ禍になり、いろいろな飲食店で人件費や燃料費が大幅に高騰したうえ、店舗への配送回数が減ったという話を耳にする機会が増えました。

いくらおいしい食材でも、高かったり新鮮な状態で店舗まで運ばれなかったりだと意味がありません。鮮度のよい商品をいかに毎日届けるかが重要です。「DDはどうやって食材を購入しているのか?」というご相談をたくさんいただいていたので、それならば、生産者から直接購入している我々の仕入れインフラに他の飲食店の方々もご利用いただいて、気候変動や原材料高騰、人件費増といった飲食店に押し寄せる課題を皆さんと一緒に乗り越えようということになったのです。

サービスを発表してから1年半、コロナ禍で飲食店の皆さんが厳しい状況にあったなかで、300店舗ほどの飲食店様にご支持いただき、ご参加いただいています。

平均約15%の仕入れ価格の削減が可能

【Q】共同購買した仕入れ品の強みは何でしょうか?

一番の強みは、顔の見える産地契約の野菜です。その他にも、商社と契約して仕入れた輸入フルーツや輸入野菜、カット野菜、魚、肉、グロッサリー、飲料、リネンまで、取扱いアイテムは1500を超えます。

どの業態でも取り扱うような汎用性の高い野菜60品目については、固定単価で年間ご提供しています。真夏でも真冬でも、正月でも台風でも価格は変わりません。仕入れコストは平均で約15%は下がっています。

また、品質と規格がしっかりしたものが週6回配送されるというのもポイントです。現在、配送回数を365日配送にするよう調整中です。

これまでご利用いただく飲食店が中華、スペインバル、お好み焼き屋など、DDHDが積極的に展開してこなかった業態も増えてきました。このため、仕入れ品や料理ジャンルの幅が広がっています。様々な飲食店が増えているため、価格交渉もしやすくなります。今の時代、アイテムの種類を増やすことは他社と差別化する意味でとても重要だと感じます。

【Q】共同購買サービスの利用条件はあるのでしょうか?

野菜の仕入れ価格が、1店舗あたり月額10万円以上取引していただければご利用いただけます。手数料などの費用は一切かかりません。DDHDと同じ八百屋が食材を配送するので、八百屋の切り替えが必須となります。そうすることで、1500品以上の中から気に入った商品をご利用いただけます。

ご利用エリアは、東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県主要エリアと、名古屋、大阪もカバーしています。実は、このサービスの課題として、効率のいい物流が前提になるので、各エリアで最低500店舗の配送先がないと、魅力的な商品価値のご提供が難しいのです。幸いにも、名古屋と大阪は同エリアの大手外食チェーン様にご参加いただきましたので配送可能となりました。

一次産業・生産者を守るのは、飲食店の使命

【Q】サービスの拡大では、どのような課題があるのでしょうか?

サービスを拡大するためには、第一に便利さが大事だと思っています。利用を始めるまでのハードルが高かったり、強制されるようなことが多かったりすると使いづらくなってしまいますから。一方で、便利でもどこにでもあるサービスでは価値がなくなってしまいます。

私達は”コンビニエンス&ラグジュアリー”という言葉を使っています。いかに便利でいかに唯一無二なのか、これが大事だと考えます。使用していただく皆様に、価格、品質、便利さ、ワクワク感を届けたいと考えます。

コロナ禍で飲食業界はもちろん、一次産業の方々も大変な苦労をされました。同じく問屋など物流事業者の方々も大変な思いをされています。このサービスでは、飲食業、一次産業、物流事業者の三方良しとなることを目指しています。

特に自分自身がもともと料理人だったからこそ思うのは、飲食店の使命は、魅力的な一次生産者を守ることです。飲食店だからこそ、食材の価値をお客様に伝えることができると考えます。魅力的な生産者を守るため、生産者が安心して取引できるように、その商品の価値を理解して、継続取引と安定取引をする事が大事なのです。

それは個では成し得ません。物流や量、規格の問題などのこまかな調整を飲食企業がバラバラに行っていては、ムリ・ムダが増えるばかりで、目指す形にはなりえません。企業が垣根を越えて・お互いに納得した上で仕入れを共有し未来に向かっていくことが、結果として、安定・高品質・安価を生み出す事ができると考えます。

そしてマスメリットが大幅に拡大し、皆様と共に大きなメリットを生み出した後には環境問題(CO2削減)、フードロスの問題に真剣に取組んでいきたいと考えます。

株式会社DDプラス

所在地:東京都港区芝4-1-23三田NNビル18階
事業内容:DDホールディングスのインフラを活用した他社飲食店のサポート
代表者:代表取締役 鹿中 一志
共同購買プラットフォーム

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