「こんなメニューもあるの」という、こだわりの給食を提供
【Q】給食サービスを展開されています。どのような利用者が多いのでしょうか?
企業から委託を受けた事務所や工場のほか、病院や学校など46の施設の食堂やカフェテリアで給食を調理・提供しています。
給食サービスをご利用される業種は様々ですが、ひとつの施設に多くの利用者を抱えているのが共通しており、だいたい100名から2000名ほどの規模まで幅広く給食を提供しています。
関西圏や東海地方の一部に出向しており、収支が成り立つなら少ない人数でもサービスをご提供させていただいています。(商品企画部長 森下浩文氏 以下、森下部長)
【Q】運営面で意識している点は何でしょう?
いくつかありますが、まず利用者を飽きさせないことです。給食は毎日利用されるものなので、似たメニューが続かないよう事業所ごとの献立のベースを6週間単位で決めて毎日変えています。
そのほか、工場勤務や学生といった利用者の属性も考慮し、カレーフェアやご当地ラーメン、有名店コラボなどのイベントメニューや季節メニューなども考えます。
社員食堂というものは、利用者にそれほどいいイメージを持たれていません。社食だしこの値段でこの味なら仕方ないか、という感覚です。
そうだとしても、利用者に「こんなメニューもあるんだ」というプラスアルファの部分を作っていきたいですね。
献立を作るのは商品企画部が担当しており、和・洋・中華の専門家が作ったオリジナルレシピで、栄養バランスを考え、手作り感をプラスして明日も食堂で食べようと思っていただけるものを心がけています。
また、給食サービスの運営コストは、食材費と人件費がほぼすべてになります。たとえば、ハンバーグのメニューでも事業所によって販売価格が300円、400円、500円と変わるので、コストと仕入れ品の味などの品質をみて、販売価格にあった内容に調整する必要があります。(森下部長)
コストと品質の管理にITツールを活用
【Q】仕入れ品の品質維持や価格は、どのように管理されていますか?
施設ごとに品質やコストの違いが出るのを防ぐため、献立は本社で専用ソフトを使用して作成します。
そして各施設の責任者がそれぞれのメニューの設定数をソフトに入力すると、仕入れに必要な数量が自動計算されます。
その数値をもとにCSVデータを作成し、本社サーバーにアップロードして、インフォマートの受発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注』に読み込ませて発注しています。(商品企画部 石本香織氏 以下、石本氏)
システムを使ういちばんの理由は、ペーパーレスにしたかったからです。
以前は仕入先ごとにFAX・電話で発注して、仕入れ伝票を各施設から本社へ送っていたのですが、これが膨大な量になっていました。
取引先からもFAX用紙の文字の読み間違いや言った言わない問題がどうしても発生します。
また、各施設でどんな食材を使用しているか分からず、エル・スエヒロとしての品質が保っているか不明だったのです。たとえば100円で一定のおいしさのハンバーグを提供してほしいのに、ある施設ではおいしくない80円のものや、おいしいけど150円のものを出しているところがあったとします。高いけどおいしいものは仕方ないとしても、おいしくないものを出すのは問題です。(森下部長)
【Q】発注業務をシステム化して、解決できたのでしょうか?
システムの発注に切り替えてからは、どの施設でどんな仕入れ品を使ったかが一覧で確認できるので、給食サービスの品質がしっかり維持できているか分かるようになりました。仕入れ品の欠品があった際も、どの施設でいつ納品予定があるのかが確認でき、商品の差し替えがスピーディーにできるようになりました。
原価計算をする際も、仕入れ品の価格が確認できることは大きなメリットだと思います。施設ごと、業者ごとの仕入金額が合算されてCSVデータで抽出できるため、電卓での間違いもなく、そもそも計算する必要がなくなって作業がスムーズになりました。以前は伝票の多い取引先の場合、毎日20~30枚計算していく必要があったのです。金額確認で取引先に都度見積依頼をしていたので、そのタイムロスもなくなりました。
ほかにも、仕入実績が出せるので価格交渉がしっかりできるようになったり、月次決算の金額確定も早まったり、紙の量も感覚的に半分くらいに削減できたりしていると思います。(石本氏)
【Q】請求書の発行・受け取りシステムをご利用されていますね。
『BtoBプラットフォーム 請求書』を使っています。はじめは使おうとは思っていなかったのですが、使ってみたら意外と便利でした。
すでにこの請求書発行・受け取りシステムを利用されている取引先が多かったことや料金面などから、総合的判断して使用を決めました。
利用施設に請求書を分割して発行する場合や、仕入先に支払通知書を発行する場合にシステムの機能を使っています。
支払い通知書を作成するのも、『BtoBプラットフォーム 受発注』で取引明細のCSVデータを作成して、請求書システムに読み込ませて取引先に送っています。(森下部長)
月次決算は翌月6営業日を目安に確定させているのですが、取引先からのFAXが4日目や5日目などに来ていつもたいへんでした。それが請求書のやりとりをシステム化してからは、月初2営業日くらいには出そろっています。まる1日ぐらいは浮いて、ずいぶん楽になりました。現在、請求書は8割ぐらい電子化していますね。(石本氏)
“美味しい食堂”を実現し、満足度を高めたい
【Q】コロナ禍できびしい状況ですが、給食サービスの展望をお聞かせください。
コロナ禍で当社でも食事の提供数が減り、メニューの種類を減らしています。その中でも、給食をご利用いただいている方は一定数いらっしゃいます。お客様からすると、以前のような豊富なメニュー数から選べなくなったと感じている方も多いでしょう。
当社も難しい状況なのですが、コロナ禍が明けてからは、いっそう満足度を高めていかなければなりません。たとえばフードコートのように据え置きのメニューで多少値段が高くてもおいしさを追求したものを、現在試運転としてご提供しています。今後さらにお客様がご満足いただけるものを展開していきたいと思っています。(森下部長)
株式会社エル・スエヒロフードサービス
本社所在地:大阪府大阪市中央区南船場4丁目11番12号
代表者 :代表取締役会長兼社長 山中 長一郎
事業内容 :社員食堂運営及び飲食店の経営等
企業サイト:http://www.el-suehiro.co.jp/