こうした情報は、これまで店の台帳や個人の記憶によって管理されていました。しかし、どんなにスタッフが優秀でも、仮にお客様が100人来店されたとして、その特徴や好みをすべて記憶することはできません。ですからITを活用して、それらをもれなく記録する、それをまた次の来店時にリマインドすることによって、もっとお客様を喜ばせることはできるのではないかと。
さらに、IT化することによって、お客様の情報を社内で共有できるようにもなります。そうすることで、今度はお客様が業態の異なる系列店に訪れたり、あるいは受付で対応する人間が替わったりしても、元の店と同程度のホスピタリティを発揮できるようになるのです。
【Q】IT化といえば発注のシステム開発にも、力を入れられていましたね
発注に関してはもともと、社内で独自の発注システムを作っていました。しかし自社開発の場合、システムを運用・管理を維持するだけでなく、機能を新しくしたり、改善したりする度に費用が発生していました。トータルで考えると数千万円、場合によっては億単位のお金がかかったこともあります。
その点、クラウドのシステムであれば、たくさんの企業が日々同じ仕組みを運用しているわけですから、常に試行錯誤と、改良が繰り返されているわけです。弊社では、インフォマートの『BtoBプラットフォーム受発注』を利用しているので、そういった維持費や開発費の負担は必要なくなりました。
あとは、やはりデータの蓄積ですね。店舗ごとの戦略を立てようにも、店長の感覚論では困ってしまうわけです。もちろん感覚は大事ですが、その感覚の裏にキチンとそれを支えるデータがあって、スタッフにもそれを説明できるようにしておきたい。いまはこのメニューが売れているから、次はこういう商品を入れてもっとお客様に来てもらおう、とか。そのためにどういう販促を打とうかとか、そういう戦略を店ごとに考える。それを支えるのがIT化かなと思います。
国内は身の丈の成長で、海外へは積極的に展開
【Q】今後の展開について、教えていただけますか?
国内においては、身の丈に合った成長でいいと思っています。なぜなら今後、長い期間で見た時に人口減少で外食全体の市場は落ちていくと考えるからです。その中においても我々は状況に合わせた、私たちらしいブランドを1軒1軒丁寧に作っていきたいと考えています。
一方で、海外はいまアジアを中心にGDPが上がり続け、外食市場も急速に大きくなっています。すでに弊社での展開も国内より海外の店舗のほうが多く(2017年7月現在、世界7カ国で59店舗を展開)海外店は今後も積極的に増やしていく予定です。今後の目標としては、2020年までに、海外10カ国で100店舗。これを目指して展開しています。
特に今、海外では日本食が一番求められていると言っていいでしょう。現在、世界には約9万軒の日本食のお店がありますが、そのうち日本人が関わっているのは約1割、9,000軒ほどだそうです。その他は、日本食をやれば儲かると考えている外国人のお店のようです。
だからこそ、日本人が日本の仕組みで本当の日本食を世界に展開していくことは、とても大切なことだと思います。だからこそ我々も海外展開に注力し、『本物の日本食』を海外で広めていきたいですね。
株式会社ワンダーテーブル
代表者:秋元巳智雄
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー22階
事業内容:飲食店の経営、フランチャイズチェーンシステムによる飲食店の募集・加盟店の指導
公式HP:http://www.wondertable.com/