“遊びに行けるくらいの職場”がスタッフを育てる
【Q】飲食店経営を始めてから、これまでの道のりは順調でしたか?
経営自体は順調です。ただ、もともとお金がほしいから商売するというタイプではなく、ボクシングを引退して「さあ、次何しようか」と始めたのが飲食業でした。だから僕の給料は2007年くらいまでずっと20万円だけ。(笑)
会社化する際に、税理士さんから「せめて給与を30万円にしませんか?」と苦笑いされて…。これまで会社もずっと無借金でやってきましたし、他の経営者の方のように何千万円も借りて一気に事業拡大するというタイプでもありません。どちらかというと経営については臆病な方だと思います。
【Q】会社全体を通じて大切にされていることは?
スタッフ、立地、コンセプト、仕掛け。この4つを大事にしています。特に大事なのは、やはりスタッフですね。お客様は最終的に、人と人とのつながりで増えるものだと思っています。そのためにはまず接客です。
うちでは“接客芸”と呼んでいますが、私はスタッフにお客様を引き付ける攻めの接客を求めています。“接客芸”と言っても具体的に何をしてくださいということではないので、説明が難しいのですが、例えば常連さんが、「今日はこの料理を食べよう」ではなく、「○○くん、今日はどの店にいる?」という感じで来てくれるようになればいいと思います。いうなれば店ではなく人にお客様が付くような接客が理想です。
【Q】社員への想いには、どのようなものがありますか?
「会社全体を、ひとつのファミリーにしたい」という気持ちがあります。年に一度の社内旅行とスタッフの結婚式も、店を全部閉めることに決めています。以前は、「1日閉めると売り上げがこれだけ落ちる」と考えていたこともありました。しかし、ファミリーなら結婚式を優先しないと(笑)