もちろん、扱っている料理全てが手づくりでというわけではありませんが、そういう声が現場から上がってくるのは嬉しいですね。

【Q】『手作り』を大切にする一方で、業務の『効率化』にも取り組まれています

整理が足りなくて物を探す時間や、発注業務などの日々の事務作業にかかる時間は、少しでも減らしたほうがいい。ただ効率化や無駄を無くすというお題目を唱えるのではなく、その先に何があるのか、何のための効率化なのかをきちんと伝えるべきです。

例えば『この無駄をなくせば、もっと手厚い接客ができるよ』とか、『もっと料理と向き合える時間が増えるよ』とか。それさえ伝われば、スタッフの動きも自ずと効率的になると考えています。

【Q】今後の展開を教えてください

スタッフ全員のモチベーションも高いですし、店の売上も好調なのですが、私はこういう時が一番危ないと考えています。もちろん、店の成功はスタッフの頑張りなしには、成し得ません。しかし一方で、大阪の大繁華街である梅田という立地の恩恵を受けているのも事実です。

2016年3月にオープンした「molto!!」の新店は、あえて梅田を外してひと駅隣の、福島駅に出店しています。「自分たちの力ではなく、立地のおかげだったんだ」と、気づいてもらうためです。厳しいようですが、私はこの店を通じて、皆にもっと苦戦して欲しいと思っています。

この場所で成功するためには何が必要か？もう一回原点に立ち返り、自分たちの人間力や店の魅力でお客さんを呼べるよう考え抜いて、そのアイデアを実践してもらっています。遠回りかもしれませんが、いまは店舗数を増やすよりも、そうしたスタッフひとりひとりの自主性や責任感を伸ばす取り組みを続けながら、会社も着実に成長させて行きたいですね。