飲食業というのは、俗に“水もの”といわれるように、不安定な要素が多いのも事実です。どんなにしっかりした店でもそれなりに忙しいし、キツい部分も多いです。
しかし、だからこそ“ちゃんとした企業”として成長し、社員の家族を安心させないといけない。と強く思うわけです。
仕事に忙殺されるのではなく、プライベートで暖かい家庭が築けているとか、仕事に思い切りチャレンジしながらも、それを支える『家庭』が円満に回っている。そういう集団を目指しています。
「ちゃんとした企業」になるための具体的な取り組み
【Q】飲食業経営において、西川社長が大切にされている事はなんでしょうか?
最も基本的なことですが、安心して仕事に打ち込める環境づくりです。そのためには、まず出店した店を、絶対に潰さないということです。働く場所がなくなってしまうことが、スタッフにとって一番不安な事だと思うからです。
経営者によっては、「とりあえず1年やってみて、ダメだったら閉める」とか「3年持てばいい」という考えの方が、少なからずいらっしゃるのも事実です。色々な意見があっていいと思いますが、私にとってはかなりショックでした。「そこで働いていた人はどうなるの?」と考えてしまいます。
【Q】では、現場での具体的な取り組みはありますか?
何をするにも、僕からのトップダウンではなく、スタッフ達に自分で考えてもらうようにしています。飲食業の面白さは、頭の中にあるアイデアやイメージを、ゼロからカタチにできて、しかもお客様からダイレクトに反応をもらえることです。
実は、今主軸に据えている「molto!!」のクラフトビールも、スタッフのアイデアから生まれた業態です。「molto!!」は、ただクラフトビールを提供する店ではなく、クラフトビールを中心に置いてメニューの構成を考え、さらに空間やサービスの提供方法まで、スタッフ達がアイデアを持ち寄って作りあげました。クラフト(手作りに)にこだわるということで、内装も木の風合いを生かしながら明るく仕上げています。
そういうチャレンジ性のあるアイデアも、積極的に採用していきますので、スタッフの自主性や責任感はおのずと生まれています。
新店は、スタッフの過信を戒めるための教材
【Q】「molto!!」は、提供する料理にも、手作りへのこだわりが伺えます
それは、創業した頃から変わらず大事にしています。実は、スタッフの負担を少しでも軽減できればいいなと思って、私から冷凍のピザ生地を提案したことがあるんですが、スタッフから「粉から手づくりさせて欲しい」と反対されました(笑)。