【Q】それで、オープン当初から話題となったランチタイムの1枚500円の“ワンコインピッツァ”が生まれたわけですね。
そうです。まずは“ピッツァ1枚500円”というわかりやすさとインパクトのある数字にこだわりました。実は、店舗ですぐに反響があるかと思っていましたが、お客様にとってピッツァが500円というのは、「そんな安くて、大丈夫なの?」という価格だったようです。クオリティ面や、安全面に関するお問い合わせを多くいただき、浸透に2ヶ月ほどかかりました。その後、ニュース番組などで取り上げていただいたのをきっかけに、良くて月500万円の売上と言われていた立地で、1,000万円を超える売上を出しました。
ピザ窯のシステム化で、店舗の職人レスを狙う
【Q】そのヒットを背景にフランチャイズチェーン(FC)展開を考えられたのでしょうか。
店を始めた当初は、私自身がオーナーシェフとして店をやっていきたいと思っていたので、多店舗展開は全く考えていませんでした。ただ、何人かピッツァ職人を育てていくうちに、あることに気づいたんです。僕が職人として教えた技術や経験は、実はシステム化できるのではないかと。もし職人でなくても美味しいピッツァが焼ければ、料理の提供速度も上がり、たくさんのピッツァが売れる。そうすればフランチャイズ化もできるのではないか。そう考えるようになりました。
【Q】その思いが、独自に開発したオリジナル窯「EPシステム」へと繋がっていったと?
はい。通常のナポリピッツァは、薪を窯の中の左右どちらかに置いて燃やしながら、窯の温度のバランスを背中や手で感じ取ります。生地も動かしたり、傾けたりしながらムラなく焼いていく必要があるのです。それが結構大変で、まさに“職人技”なんです。結局、生地を伸ばす工程と、窯の温度の微妙な調整を職人並に細かくコントロールしてくれる技術を、それぞれの業者さんと時間を掛けて研究していきました。
でも最終的に出来上がった「EP-SYSTEM」(ENDOME:ピッツァを約60秒で焼ける窯、P-SLIDE:生地のノシが自動できる機械)の試作機で、ピッツァを焼いたことのないスタッフに、僕の言う通りに焼いてもらったら、2~3回練習しただけでレベルの高いマルゲリータが焼けたんです。しかもEPシステムなら生地伸ばしも含めて最短90秒でピッツァを焼き上げることができる。これでどんなに店舗が増えていっても1から職人を育てる必要がなくなったのです。