“カフェ以上レストラン未満”という言葉がわかりやすいのかもしれない。そのコンセプトは、店の中でより具体的な形となって客の前に披露される。
「例えば、テーブルの高さは一般的なレストランより5㎝ほど低くしてあります。というのも、カフェのソファー席ってテーブルもソファーと同じ高さだったりし て、食事をするには食べづらいんですよね。かといって、レストランほどカッチリしたくない。そこもカフェとレストランの間なんです」
このサイズのテーブルは、驚く事に家具市場にもほとんどないらしく、すべてフルオーダーで作っているという。
フォワードとディフェンスが織りなす接客
料理のラインナップにも、やはりマーサーカフェ的なコンセプトが色濃く現れている。
「料理について、うちの系列では『高級食材をカ ジュアルに』というメインテーマがあります。フォアグラやトリュフ、オマール海老といった食材を使っていますが、一番高いステーキでも2300円ほどで、 1500円前後というのがメインの価格帯です。また、女子会や合コンでも、使いやすいように、提供する際のスタイルとして、最初から料理がカットされてい て、取り分けてシェアしやすいようにしています」
とはいえ「料理が売り」「空間が売り」というような、何かを前面に押し出すようなことがないのである。
「表現として、トータルでやっています。だからといってそれぞれの質を落とすわけではありません。ライフスタイルのなかにマーサーカフェがあるというのが理想 的であり目指すべきところですね。ですから、食事が美味しいからまた来るというより、居心地がいいということも含めてトータルで提供できればと」
トータルということになると、欠かせないのが接客だ。
「オーダーを取る際に、ただお客様のところへ行ってオーダーを聞いて、それを通すということはありません。それはただの作業です。仕事としてやるからには、お客様の食事の進み具合を見て、会話をしながら提案をして、オーダーが決まって行く。今では、『○○君(スタッフの名前)に会いに、いついつ行くよ』と、スタッフの携帯電話に直接予約が入るようにもなっています。それはひとつの理想形ですよね」
こうした臨機応変なスタッフ対応の作り方もまた、独特なものだった。
「スタッフによって得意不得意がありますから、フォワードとディフェンスのような感じに分かれていますね。スタッフ全員でチームなんです。お客様のところに攻め込んで行って、次に繋がるように仲良くしているフォワードがいる。その間、そのスタッフは動けませんから、ディフェンスがフォローして店を回す。お互いが対等で、それぞれの役割を全うしているので、『今日、フォワード陣全然ダメだよ。俺たちは回してるのに』とか、逆に『こんなに攻めてるのに、全然回せてないじゃん』ということもありますね」
こうしたこと全てが居心地の良さに繋がっていく。カフェでもレストランでもない、新しい業態としての「マーサーカフェ」を見た気がする。
ちなみに、2014年7月上旬には、坂本さん曰く「うちの系列では、これまでで最もエッジの効いた店」を恵比寿にオープンさせるという。またひとつ、新しい飲食店のスタイルが生まれようとしている。
マーサーカフェ ダンロ(MERCER OFFICE株式会社)
住所:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-16-12 ABCMAMIES 2F
電話:03-3791-3551
定休日:無休
営業時間:月~金 ランチ11:30~15:30(LO15:00)、土日祝11:30~17:30(LO17:30)、月~木・日 ディナー17:30~24:00(LO23:00)、金土祝前日17:00~翌4:00(LO3:00)
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13117738/
お話:MERCER OFFICE株式会社 坂本様