売上が改善したら、社員へ還元する
吉原:昨対同月の売上が100%を超えたら、インセンティブを出そうと提案した企業では、昨対同月の売上が150%を超えて店長に50万円ほど支給したケースもあります。
現在関わっている企業でも、売り上げに応じてポジションを上げたり、インセンティブを出したりしています。社員だけでなくアルバイトにも適応しようとしていて、当日の売上が見込み額より上回った場合、その日の時給を100円上げることを考えています。
仕込みを外注することでコストダウン
吉原:グローバルダイニングで勤務していた時には、イタリアン業態のCafe La Bohemeではペペロンチーノ以外のパスタソースをすべて工場で作るようにしました。そうしないと仕込みに時間がかかり、ランチタイムが回せなくなったり、ディナー時の売り上げが低迷したりするからです。
エスニック料理のMonsoon CafeのソースもすべてOEM化しました。そうすることで回転率を上げ、フードロスを減らし、在庫の管理もしやすくなります。あとは、提供する食事の量を何グラムにするか決めておくことも大事です。量が多すぎると、一品でお腹がいっぱいになってしまい、客単価が上がらなくなってしまいます。適正なポーション量をお客様の反応を見ながら探っていくことが、売上アップにとって大切です。
外食企業視点から見た今後の展望
ある飲食店の売上・利益改善例
吉原:これは、とある地方の飲食店の売上と利益の推移です。グラフの青い部分は売り上げで、6月は354万円ほどでしたが9月は1485万円にまで回復しました。
特に、緑色の営業利益を見ると、マイナス206万円からスタートして、9月には132万円まで上がっています。何を売りにするか明確にし、メニューを削減し、今まで従業員がやっていた仕事をシステム導入などによってオートメーション化して人件費も削減していきました。
10月には固定費に関わっていた事務所を撤去したので、もう少し負担が減るかと思います。危機的な状況の中で頑張るためには、メニューもオペレーションも大切ですが、最も大切だと思ったのは、覚悟です。
山崎:覚悟ですか。たしかにそうですね。わたしは以前、覚悟ばかりを言いすぎて数字が伴わず、先輩経営者からロマンだけでなくそろばんも大切だという言葉をいただきました(笑)
それくらい店舗では正しい売り上げデータの見方を学ぶことが大切です。売上やオペレーションを見直して、トータルの数字から事業全体を見渡せた時に、始めてお客様と自社のコンセプトが一致したと実感しました。
今後コロナに関連した融資の返済が始まります。その中で我々飲食業は覚悟をもって再生していかなければなりません。そして今まで以上の収益を出していく必要があります。
アフターコロナの厳しい状況が続くかと思いますが、しっかりと貢献していたけたらと思っています。
■会社名:スパイスコード株式会社
公式サイト:https://spicescode.co.jp/
執行役員 Food Manager 吉原弘
大学卒業後、すかいらーく入社。2001年10月グローバルダイニング取締役、2008年8月日本マクドナルド執行役員店舗開発本部長、2013年4月フレッシュネス常務執行役員、2014年3月ベイクルーズ取締役、2016年6月ホリイフードサービス取締役、2018年4月TBI Japan取締役など多くの外食企業の要職を歴任。外食産業の課題解決の為、スパイスコードに参画。
Sales Manager 久保貴洋
東京大学法学部卒業後、新卒でゴールドマン・サックス証券に入社。その後、営業代行・新規事業立上げ支援会社の起業、HR TechスタートアップのInstitution for a Global Societyにおける営業責任者兼事業責任者、AIベンチャーのPKSHA Technology(東証マザーズ上場)におけるプロジェクトマネージャーを経て現職。
■会社名:非営利活動法人居酒屋甲子園
公式サイト:https://izako.org/
理事長 山崎聡
1977年新潟市生まれ。調理師専門学校卒業後、飲食店での経験を経て2002年新潟市万代エリアで居酒屋Soiをオープン。現在3店舗を経営。地域に密着した経営スタンスと、スタッフの可能性を最大限に引き出す【ミッションリンク】を軸とした人財育成術は、業種の枠を超え第13回 居酒屋甲子園全国大会において日本一を獲得。2019年よりNPO法人居酒屋甲子園の7代目理事長に就任。