知らずに違反しているかも?景品表示法違反事例と不当表示に関するルール

法令対策2022.08.23

知らずに違反しているかも?景品表示法違反事例と不当表示に関するルール

2022.08.23

知らずに違反しているかも?景品表示法違反事例と不当表示に関するルール

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インターネット上や街中の看板などで、「今ならキャンペーンで○○円」「1日限定〇食!」などの広告を誰しも見たことがあるだろう。このような広告の中には景品表示法に違反しているものもあり、最近では6月に大手回転寿司チェーンが措置命令の行政処分を受けた。この企業では8月の四半期決算説明で「景品表示法違反等の影響もあり、6月以降想定以上の客数減少が発生」と報告している。

SNSなどを使った商品PRも簡単にできる近年では、本部が気付かないうちに店舗が違反表示を出してしまう場合もある。法律を知らなかったでは済まされないため、大手や中小の企業規模に関係なく注意が必要だ。改めて2021年から2022年7月までに起きた違反事例を振り返っていこう。

目次

景品表示法の違反事例

景品表示法の違反事例は大きく分けて、品質や規格の不当表示に関わる「優良誤認」と販売価格や期間などの取引条件に関わる「有利誤認」の2種類ある。2021年から2022年7月までに起きた違反事例を紹介していく。

参考:消費者庁「景品表示法関連報道発表資料

優良誤認(品質や規格に関する不当表示)

商品・サービス表示内容実情行政処分
機能性表示食品・「認知症予防の救世主〇〇大学教授監修」
・「認知症は物忘れだけではありません!トイレで用を足せない、徘徊する、暴言を吐く、幻覚を見る、異性に抱きつく、暴力を振るう、不潔なままでいる、認知症の原因は 40 代から始まっている!」
・認知機能が改善できることを強調した誇大広告
・これさえ食べれば認知症や物忘れが予防・改善できるものと誤認されやすい
改善指導
加工食品・「主成分値 2カプセルあたり目安:ラクトフェリン濃縮物300mg」・2カプセル(500mg)当たりのラクトフェリンの含有量が300mgを下回るものが含まれていた措置命令
アルコール飲料・(誤)【産地】メキシコ
→(正)ドイツ連邦共和国
・(誤)【産地】フランス
→(正)メキシコ合衆国
・対象商品の原産国について一般消費者に誤認されるおそれがある措置命令
食品・「それは今までとは全く違う、“我慢しない”ボディメイク法で、『これだ!』と思って試してみることに」など・摂取するだけで、痩身効果が得られるかのように示す表示だが、裏付けとなる合理的な根拠がない措置命令
食品・「噴霧すれば、本件商品に含まれる珪素の作用により、血液をサラサラにする効果、血管を強くし、高血圧、高血糖及び糖尿病を改善する効果」などと表記・合理的な根拠を示す資料の提出を求めるも、期間内に資料を提出しなかった措置命令
健康食品・「柿渋でコロナ無害化」○○大学が発表
・柿タンニン×茶カテキンの抗ウイルス力に着目!実験で柿タンニンと茶カテキンが、それぞれ新型コロナウイルスを不活性化する効果を確認
・一部の大学の研究機関で新型コロナウイルスの不活化が実証されたが、試験管内での実験結果だった
・健康食品を摂取することで新型コロナウイルス感染の予防が実証されてはいない
改善要請
サプリメント・「絶妙なバランスで配合した安心・安全に配慮したサプリメントです」
・筋肉質な人物の写真を掲載
・健康的な食事や運動に加えて、毎日4粒を目安に摂取し続けると、筋肉が増加したり、痩身効果が得られるかのように示す表示だが、裏付けとなる根拠がない課徴金納付命令
(6627万円)
サプリメント・「バスト育ちすぎてヤバい!?」
・「巨乳になっちゃう!?」
・表示の裏付けとなる合理的な根拠がない措置命令
理美容家電・ウエスト(へそ周り)
○○ さん:-8.6cm 79.3cm→70.7cm
・○○さん:-15.4cm 93.4cm→78.0cm
・根拠なく4週間で腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた課徴金納付命令
(1431万円)
除菌商品・「新型ウイルス対応・空間除菌」
・「アルコールの10万倍の除菌力」
・「インフルエンザやノロウイルス等のあらゆる細菌・ウイルスに対応」
・表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料がない課徴金納付命令
(693万円)

 

有利誤認(販売価格や期間など、取引条件に関する不当表示)

商品・サービス表示内容実情行政処分
食品(寿司)・「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り 480円(税込528円)」
・「9月8日(水)~10月3日(日)まで 売切御免!」
・期間限定の商品だが、途中で材料が足りなくなる可能性があったため、実施期間中に提供を中止した措置命令
食品・「通常ですね、10,600円相当のお品ですが、今回は35%オフの6,980円で販売いたします」(音声)・実際の販売価格が、通常販売している価格を足し上げた価格になっていた措置命令
資格講座・令和2年10月16日から同年11月19日までの間、「通常受講料 ¥64,500(税別)」
・「11/19お申込み分まで げき得キャンペーン 教室限定 キャンペーン価格¥44,500(税別)」などと表示
・割引前の金額が販売実績のないものだった措置命令

 

景品表示法の概要と措置命令・課徴金納付命令の違い

景品表示法とは、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という。商品を過剰に良く見せようとする表示を禁止して、消費者の選択を保護することを目的としている法律だ。違反した場合、「措置命令」または「課徴金納付命令」の行政処分を受けることになる。

措置命令では、「一般消費者へ誤認させたことをHPやSNSなどで周知すること」「再発防止策を策定すること」「今後、違反行為を繰り返さないこと」が命じられる。

課徴金納付命令では、景品表示法に違反した商品の売上額×3%の課徴金が求められる。ただし、課徴金額が150万円未満の場合は納付が免除される。

また、どちらの行政処分でも消費者庁のウェブサイトに企業名が公開されるとともに違法行為に関しても詳細にわたって掲載されるため、企業の信頼を大きく落とすことにつながる。

次に、不当表示の種類となる「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認されるおそれがある表示」の3つについて解説していく。

参考:消費者庁「事例でわかる景品表示法不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック

優良誤認表示による違反

「優良誤認表示」は、ブランド銘柄、原産地、鮮度、製造方法、有機・無農薬などの効果や効能などを実際よりも誇張して商品をよく見せることである。文字だけではなく、写真やイラストなどの印象で消費者に誤認させる場合も不当表示であると認定される事例もある。

優良誤認表示の事例

・ブランド牛ではないにも関わらず、メニューにそのブランドの銘柄をイメージする写真を添付する

・メニューブックの表紙に「地鶏」と表示して、続くページに地鶏の味や血統、育成から商品になるまでの流通過程について解説した図を表示しているにも関わらず、実際の料理はブロイラーを使用している

 

有利誤認表示による違反

「有利誤認表示」とは、価格や期間、数量、支払い条件、アフターサービスなどのメリットなどを見せて、商品をお得に見せることである。

有利誤認表示の事例

・「平均価格から値引きする」と表示しながら、その平均価格は実際よりも高い価格に設定

・本当は制限なく購入できる商品を「限定○食」などと表示

 

その他の誤認となるおそれがある表示

上記の「優良誤認表示」、「優良誤認表示」以外にも禁止されているものがある。

5%以下の清涼飲料水などで「無果汁」もしくは「果汁○%」と表記せずに果実名だけが書かれた商品や、消費者を誘発するために、取引できない不動産物件を表示して集客することなどがその例だ。

その他誤認されるおそれがある表示の事例

・飲食店のメニューで松阪牛使用の料理だと表示しておきながら、メニューの一番うしろのページに小さく「一部の商品は国産牛を使っています」と記載

・「飲み放題1,000円※平日限定」のような条件のほか、健康食品に多い「※効果には個人差があります」といった例外などの注釈についても取り締まりが強化されている

 

消費者を第一に考え、偽りのない情報提供を

景品表示法に違反しないのはもちろん、消費者へ正しい情報を伝えるためにも商品をPRする際はまず自分が消費者の立場に立って、商品やサービスの情報を正しく伝えることが必要となる。

また景品表示法違反をすると、自社の信頼や利益にもマイナスの影響が出てくる。まずは景表法について本部、店舗の従業員に正しく理解してもらい、企業と消費者が安全に商品を提供・購入できるよう備えていきたい。

対策方法は景表法違反事例の関連記事にも記載しているため、参考にしていただきたい。

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