保健所による「指導」と「処分」の違い
店舗に食中毒の原因が認められた場合、営業の禁停止処分などは管轄の保健所が判断する。立入調査のあと、通常は数日~約1ヶ月以内に処分が決まる。店舗における食中毒事故というと、営業停止や損害賠償を連想するが、すべてのケースが即座に営業停止となるわけではない。
■保健所による「指導」と「処分」の違い
・口頭指導…加工時、調理時の衛生面の改善を目的とした指導が行われる。
具体的には、設備不備や食材の衛生管理、交差汚染などの可能性があるものについて自主的な改善や営業自粛を求められる。
・書面指導…口頭による指導に従わない場合、書面による行政指導が行われる。
さらに各自治体のHP 等で事業者名、処分内容、食中毒事件の概要、指導内容、等が公表される。
・行政処分…営業停止、営業禁止、営業許可取り消し等の処分が課せられる。さらに各自治体のHP 等で事業者名、処分内容、食中毒事件の概要、指導内容、等が公表される。営業停止は処分時に期間が決まっているが、営業禁止には期間がない。さらに改善の見込みがない場合は、営業許可取り消しとなる場合がある。
信頼回復のためには再発防止の徹底を
もし、自店で食中毒を起こしてしまった場合、店は一時的に顧客の信用を失うかもしれない。しかし信用の失墜を恐れて事故発生時に非を認めず、保健所への対応を先延ばしにしたり、行政処分の責任を納入業者など外部に転嫁するような態度は、企業イメージも悪くなり逆効果だ。失った信頼を1日も早く取り戻すためには、どんな対応が必要になるのだろうか。
「行政処分後に保健所は、食中毒の原因が何だったのか、事業者に説明や講習会を行います。なぜ食中毒が起きてしまったのか、起こさないためには何が必要だったか、従業員全体で共有して、納得していただくことが最も大事です。意識を変えていただかないと、また同じ原因で繰り返してしまうことになります。
食中毒が起こる1番の原因は、一般衛生管理ができていないことにあります。手洗いをちゃんとするとか、基本的なところから、納品の際の品質をみたり、温度の管理をしていただくのが飲食店の基本だと思っています。普段からお店で出すものに関心を持っていただきたいですね」
飲食に携わる上で最も起こしてはならないのが食の安心・安全をおびやかす事件・事故。その代表が食中毒だ。客の命と、店の信用を守るためにも、万が一疑いがある場合は速やかに保健所と連携し、事態の収束をはかってほしい。
取材協力:港区みなと保健所
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