おひとり様専用店、焼肉・鍋業態で浸透のきざし。店舗運営のメリットと今後の可能性

業界ニュース2020.02.12

おひとり様専用店、焼肉・鍋業態で浸透のきざし。店舗運営のメリットと今後の可能性

2020.02.12

おひとり様専用店、焼肉・鍋業態で浸透のきざし。店舗運営のメリットと今後の可能性

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これまで単身利用には向かないと思われていた焼肉、鍋料理で近年、おひとりさま向けをコンセプトとする店が増えている。飲食店でもともと単身客のことを呼んでいた「おひとりさま」は、今では単身で外食やカラオケなどのレジャーを楽しむライフスタイルそのものを現すようになり、定着している。

共働きや単身世帯の増加といった社会的な変化もあり、今後、おひとりさま向けの飲食店需要はよりいっそう高まるだろう。他の業態でも「一人専用○○」は可能なのか。飲食店がおひとりさまを取り込むメリットを見てみよう。

目次

焼肉・しゃぶしゃぶで増えるおひとりさま事情

以下に、主なおひとりさま向けをコンセプトとする焼肉としゃぶしゃぶの店舗をあげてみた。どちらも、多くの店がここ数年でオープンしている。おひとりさま需要の高まりに加え、肉業態ブームが追い風になった様子もうかがえる。

おひとりさまをコンセプトにした業態

業態店名特徴開業年・店舗数
焼肉焼肉どんどんカウンター中心で一人用コンロを用意2001年/7店舗
焼肉炭火焼肉一丁目一人焼肉対応のカウンター席を用意2012年/1店舗
焼肉焼肉 おおにしカウンター焼肉専門2014年/3店舗
焼肉房家上野六丁目点1Fは一人用コンロで立ち食いスタイル2015年/1店舗
焼肉ひとり焼肉 美そ乃一人用コンロで立ち食いスタイル2016年/1店舗
焼肉焼肉ライク一人用無煙ロースター2018年/21店舗
しゃぶしゃぶしゃぶせん 銀座B2店一人一鍋のカウンター席1971年/1店舗
しゃぶしゃぶSHAVU SHAVU(シェイブシェイブ)一人鍋スタイルがメイン2013年/1店舗
しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ 山笑ふ一人一鍋のカウンター席2016年/3店舗
しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ れたす一人一鍋のしゃぶしゃぶ食べ放題2017年/6店舗
しゃぶしゃぶひとりしゃぶしゃぶ 「いち」一人一鍋のカウンター席2019年/1店舗

※店舗数は2019年12月現在。同ブランド名でひとり向け業態でない店舗は含めていない。
※「しゃぶしゃぶ・すき焼き」を掲げる店舗も便宜上、しゃぶしゃぶで統一。

ひとりで利用するには心理的なハードルが高い焼肉業態に、これまでもおひとりさま歓迎の業態がまったくなかったわけではない。だが、近年目立つのは、より特化した“おひとりさま専門業態”だ。

2018年8月、「1人焼肉が楽しめる新型ファストフード」というキャッチフレーズで登場したのが『焼肉ライク』(株式会社焼肉ライク:ダイニングイノベーションより分社化)。カウンター席にひとり専用無煙ロースターが備えられ、様々な種類の肉を50グラムから選ぶことができる。

従来の焼肉店がもつ“ひとりでは利用しづらい雰囲気・理由”をひとつずつ潰した、盲点をつく業態で開業から1年4ヶ月で21店舗を展開している。

一方、鍋もまた、通常2人以上で注文するのが慣例のメニューだ。ひとり用の専用鍋が用意され、取り分ける気兼ねもなく楽しめる店が、女性客を中心に人気を集めている。

飲食店がおひとりさまを取り込むメリット

おひとりさまが社会的に認知されてきたとはいえ、ひとりで外食するのは苦手だという声は相変わらず多い。専門店化とまではいかないまでも、店側がおひとりさま歓迎を示すことで、客は自分のペースで食事ができる。では、飲食店にとって、おひとりさまを呼び込むメリットとは何だろうか。

まずあげられるのが、回転率の良さだ。食事の合間の会話がなく、食べ終われば席を立つため滞在時間が短い。それに、ちょっと贅沢を楽しみたいという来店動機なら、高単価なメニューを選ぶ可能性も高まるだろう。また、席の調整が可能なので効率よく客を案内できる点もポイントといえる。4人掛けテーブルに2人客を通すより、仕切りを作れば4人を通すことができる。

■まとめ
・消費者のライフスタイルの多様化で、外食のおひとりさま需要は高まっている
・ひとりで利用しづらい業態ほど、心理的ハードルをさげると高い需要がある
・おひとりさま専用業態でなくとも、メニューやサービスでおひとりさまは呼び込める

おひとりさま向けにサービスを考えると、既存の他業態と比べ、設備面で多少費用がかかるかもしれない。だが、新業態を何もないところから開発する場合、それ以上に多大な費用と、長い準備期間が必要になる。おひとりさまへの工夫は、これまでリーチできていない顧客ニーズの掘り起こしにつながるだろう。たとえば女性客がひとりで入りづらい大衆酒場、男性客がひとりで入りづらいお洒落なイタリアンといった固定概念を取り払うヒントにもなりえる。

おひとりさまへ目を向けたアイデアが、新たなブームを生むかもしれない。ぜひ検討していただきたい。


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