【本年の主な開示概要】
■複数の開示フレームワーク(TCFD提言・TNFD提言)に基づいた統合的な環境経営情報の開示
2023年9月に開示されたTNFD提言v1.0を反映し、TCFD提言への準拠、循環型社会構築への貢献なども可能な範囲で組み込み、異なる環境課題や社会課題に統合的にアプローチする環境経営情報の開示を試行しました。
生物資源では、TNFD提言v1.0のLEAPアプローチにおけるスコーピングのフェーズで、優先地域と特定したスリランカの紅茶農園にて分析・評価を行いました。分析の結果、小規模農園に対して再生型農業を支援する「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」の実証取り組み※1が有効であることを開示しています。
移行計画では、キリングループの環境課題の相互関連性とトレードオフを考慮し、生物資源における「ネイチャー・ポジティブ※2」、容器包装における「サーキュラー・エコノミー」、気候変動における「脱炭素社会」を統合的に捉えたアプローチを検討し、開示しています。例えば、「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」にて気候変動の緩和策である炭素貯留効果を評価する共同研究を農研機構と開始した事例※3が統合的な取り組みに該当します。
■GHG排出量削減・投資計画・資金調達計画を連動させた気候変動の移行計画
Scope1+2では、キリングループの事業会社ごとにGHG排出量削減計画を策定し、投資計画と資金調達計画を開示しています。Scope3では、当社が中期目標として掲げる「2030年までに2019年比でグループ全体のGHG Scope3排出量を30%削減」の目標達成に向け、排出量の大きいサプライチェーン上流への対策として、「キリンサプライチェーン環境プログラム」を開始※4しました。当プログラムは、当社のGHG Scope3排出量削減に向けた中期目標のうち、3分の1に当たる10%の削減に寄与する取り組みです。
今後もキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し、次世代に引き継ぎます。またこの思いをバリューチェーンに関わる全ての人と共有し、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。※1 再生型農業の実践をサポートする「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」をレインフォレスト・アライアンスと共同で開発開始
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2023/1004_03.html
※2 「G7 2030年 自然協約」で合意された、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるという目標
※3 「シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤード」にて農研機構との新たな共同研究を開始
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0327_03.html
※4 「キリンサプライチェーン環境プログラム」をスタート
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0424_01.html
■キリングループ「環境報告書2024」
https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/env_report/
<参考>
・「キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画」改訂
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2021/0903_02.html
・「キリングループ環境ビジョン 2050」
https://www.kirinholdings.com/jp/impact/env/mission/