アレルギー低減卵の臨床的安全性の検証研究が日本医療研究開発機構(AMED)事業に採択

更新日: 2024年01月21日 /提供:キユーピー

応用研究は重症鶏卵アレルギー患者の臨床試験へ

キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:高宮 満、以下キユーピー)は、2013年から国立大学法人広島大学(学長:越智 光夫、以下広島大学)とともに、アレルギー低減卵※1の共同研究を進めており、2022年から応用研究フェーズに移っています※2。この度、臨床研究の共同研究パートナーである独立行政法人国立病院機構相模原病院(以下相模原病院)が提案した「重症鶏卵アレルギー患者におけるアレルギー低減卵の臨床的安全性の検証」が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した令和5年度「免疫アレルギー疾患実用化研究事業」※3に採択されました。
※1 鶏卵中に含まれる熱に強いタンパク質(オボムコイド)を除去することで、アレルギーを低減できる鶏卵のこと。
※2 キユーピーアヲハタニュース 2022 No.35参照
※3 令和5年度「免疫アレルギー疾患実用化研究事業」(二次公募)の採択課題について

<採択された研究開発課題>


▼分担研究開発課題
(1)アレルギー低減卵の安定供給 :広島大学・大学院 統合生命科学研究科
(2)負荷試験食の作成 :キユーピー 研究開発本部 技術ソリューション研究所 機能素材研究部
(3)重症鶏卵アレルギー児の段階的なアレルギー低減卵負荷試験 :相模原病院 臨床研究センター

<本研究の目的>

鶏卵に重度のアレルギーを発症する小児における、オボムコイドを含まないアレルギー低減卵の摂取可否を食物経口負荷試験で明らかにする。(ゲノム編集により開発されたオボムコイドを含まないアレルギー低減卵の臨床的検討は世界初)

<本研究の背景と経緯>

食物アレルギーの症状を持つ人は小児に多く、また原因食物で最も多いのが鶏卵です。キユーピーは2013年から広島大学とアレルギー低減卵の基礎研究をスタートしました。2020年にゲノム編集技術を用いて、鶏卵の主要なアレルゲンであるオボムコイドを含まないアレルギー低減卵の作出にラボレベルで成功しています。現在は応用研究フェーズに進み、2023年には、作出したアレルギー低減卵の安全性※4と、十分な調理・製菓適性を確認しました※5。さらに有効性評価においては、鶏卵アレルギー児の血清を用いた試験で、アレルギー低減卵の十分な加熱により、血清中の抗体が反応しなくなることを確認できました。

一方、鶏卵アレルギーはオボムコイドだけが原因ではないことから、専門医による臨床試験が必要です。長年にわたり食物アレルギーの研究および治療に携わる相模原病院にて臨床試験を予定しており、今回の採択はその大きな後押しとなります。本研究では、広島大学がアレルギー低減卵の供給を行い、キユーピーがそのアレルギー低減卵を加熱処理し粉末化した試験食を調製し、相模原病院にて重症鶏卵アレルギー児を対象とした段階的な経口負荷試験を行います。安全性を第一に、広島大学・相模原病院・キユーピーが連携して研究を推進し、研究成果も公表していく予定です。
※4 キユーピーアヲハタニュース 2023 No.38参照
※5 キユーピーアヲハタニュース 2023 No.71参照

キユーピーグループは、卵を使った商品を数多く取り扱い、国内の鶏卵生産量の約1割を使用しています。栄養価に富む卵の有用性を発信し続ける一方で、卵を食べたくても食べられない人のニーズや実態に向き合い、卵アレルギーで苦しむ人を「ゼロ」にしたいという思いでさまざまな取り組みを進めてきました。あらゆる方法で食の選択肢を広げることは、食品メーカーとして向き合うべき重要なテーマと考え、今後もアレルギー低減卵の研究に真摯に取り組んでいきます。

図 アレルギー低減卵の社会実装に向けたロードマップ

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