知事臨時記者会見(令和4年3月11日金曜日)
防災新館401,402会議室 16時00分から 発表事項
発表事項以外の質問事項
<資料> |
新型コロナ感染症への当面の対応について
知事
本県の感染状況ですが、今月5日から本日までの1週間当たりの新規感染者数1489人で、前週と比較しまして86人の減となっており、減少傾向が継続しております。ただし、減少のペースは依然として緩やかでありまして、引き続き状況を注視する必要があります。
しかし、最近の病床使用率の推移ですが、去る5日に50%を切る46.3%となって以来、6日間連続で50%を下回っている状況にございます。
これは、高齢者施設や学校など子どもに関係する施設でのクラスター対策に重点的に取り組んでいることに加えまして、県民の皆さまのワクチン接種が相当程度進展している、その効果の現れであると認識をしております。
すなわち、高齢者施設におきましては、施設職員及び入所者ともワクチン接種が可能な方への追加接種を概ね完了させました結果、1日当たりのクラスター発生件数ですが、2月に入って中旬までの0.6件から、それ以降は約0.3件と減少をしております。
また、学校など子どもに関係する施設につきましては、検査範囲の拡大により感染の連鎖を防ぐ「新山梨方式」を採用した結果、公立学校の感染者数は、最も多い時期には1日に100人程度に達していたものが、直近では20人台から30人台で推移し、比較的落ち着きを取り戻しているほか、クラスター発生の抑止にも寄与していると認識しております。
このような状況に至ることができましたのも、医療従事者の皆さまの昼夜を分かたぬ献身的な御尽力があったればこそであり、おかげさまをもちまして経済回復に目を向ける環境が整ったと言えると思います。
こうした皆さまの御協力・御尽力の成果を基盤といたしまして、経済回復に向けて段階的にアクセルを踏み込んでいく時期が到来したと考えております。以下、理由として3点を申し述べます。
まず初めに病床使用率の観点ですが、先週の会見の場におきまして、経済回復へと舵を切るための一つの目安といたしまして、「病床使用率50%以内」をお示しいたしましたが、申し上げましたとおり、現時点におきましてはこの目標は達成しています。
感染者の絶対数は比較的高い水準にはございますが、その中でも病床使用率50%以内が実現できておりますのは、ホームケア及び退所後ケアの活用による本県の対応能力が格段に向上した成果ではなかろうかと考えております。
これらの対応に携わってくださいました、山梨大学、そして県医師会、各地域の医師会の先生はじめ、すべての関係者の皆さまに、この場をお借りいたしまして心から感謝を申し上げる次第であります。
その上で重要なことは、この状態が今後も維持、さらに言えばさらなる改善をしていけるかどうかの見通しでありますが、これまでの状況を分析いたしますと、ワクチン接種者数と接種後1週間経過の新規陽性者数・入院者数との間には、負の相関関係を見いだすことができます。
ここに資料がありますが(画面の資料)、接種により県民の皆さまに抗体価を高めていただくことによりまして、発症あるいは入院が必要となるような症状の悪化を防ぎ、病床の圧迫要因を取り除くことができるというエビデンスが、社会全体のマクロの視点で見ましても明らかになっているということだろうと思います。
現在、ワクチンの3回接種を終えられた方は約254000人と、1週間で約43000人増加し、対象の36%に達しておりますが、今のペースで推移した場合、今月末までには、接種を終えた方が対象の約50%まで増加するものと見込んでおります。
このため、今後におきましても、継続的に「病床使用率50%」を下回る状態を維持できる見通しが立っていると考える次第であります。
次に、県民の皆さまの日常生活の回復を実現するという観点であります。
何度もこの場で申し上げておりますが、私は、県民の皆さまの行動に対する制約というものは、必要最小限であるべきだと固く信ずるものであります。
県民の皆さまの命と健康を守るという1点においてのみ、この行動制約は正当化されると考えまして、これまで協力要請に関しましても留意して参りました。
それゆえに、県民の皆さまに一刻も早く、可能なところから日常を取り戻していただくため、感染状況や医療提供体制の確保の状況に目配りをしながら、臨機応変に対処すべきと考えております。
そして3点目は事業活動の維持の観点であります。
つい先ほどでありますが、飲食業関係団体の皆さまが私の下にお越しになり、経営上の苦境を訴えられますとともに、県による消費喚起策を切望する声をお寄せになりました。
飲食業の皆さまにおかれましては、これまで「感染拡大防止」という公的な要請に応えて事業活動のあり方を自発的に見直していただき、グリーン・ゾーン認証を取得されるとともに、多大な努力を払って認証基準に沿った営業活動を維持していただいております。
この感染状況が許す限り、こうした御尽力に報い、地域経済の貴重な基盤である事業活動を守って参りたいと考える次第であります。
また飲食業に加えまして、第6波の影響が著しい宿泊業につきましても、併せて需要喚起策の第一歩を踏み出し、経済回復への流れに確かな勢いを与えていきたいと考えております。
以上の考えに基づきまして、この度の状況の好転をとらえて、以下3点実行に移したいと思います。
1点目は協力要請の改訂による会食の人数制限のお願いの解除、2点目は「グリーン・ゾーン宿泊割り」の再開、3点目は「無尽でお助けキャンペーン」の拡充であります。
まず、協力要請の改訂についてですが、現在、県民あるいは事業者の皆さまにお願いをしている協力要請におきまして、時限的に13日までを要請期間としている2つの項目、県民の皆さまに外出や他の市町村への移動にあたって慎重な判断と行動をお願いするもの、同一グループ、同一テーブルでの5人以上の会食の自粛をお願いするもの、これらにつきましては、期限どおり13日をもちまして要請を解除いたします。
なお、学校の部活動の原則自粛をお願いしている要請につきましても合わせて見直しを行い、春休みに入るまでの間の時限的な要請とすることといたします。
また、現在、保護者の皆さまや学校の先生方、保育現場の皆様方の多大なる御理解・御協力の下に実施をしております、いわゆる「新山梨方式」による検査につきましては、これも感染状況などを見極めながらではありますが、今月末までには緩和をし、その後は通常の検査体制に戻すべく検討をして参りたいと考えております。
次に、2点目「やまなしグリーン・ゾーン宿泊割り」についてです。
グリーン・ゾーン認証を受けた宿泊施設を対象に、宿泊料金の割引を支援いたします「グリーン・ゾーン宿泊割り」につきましては、今月14日から31日までの間、対象を県民に限定して再開することといたします。
3点目、「無尽でお助けキャンペーン」の拡充についてです。
本県特有の無尽の精神で飲食店を応援する「無尽でお助けキャンペーン」につきましては、年度末に行われる送別会などの機会をとらえまして、飲食店の利用を強力に後押ししていくため、今月14日から31日まで、要は今年度内におきまして、上乗せ率を現行の5%から30%に引き上げて実施することといたします。
先ほども申し上げましたとおり、今回、経済回復に向けまして段階的にアクセルを踏むことといたしましたのは、今後においても、継続的に「病床使用率50%」を下回る水準を維持できるとの見通しがあればこそです。
しかし、仮に感染が再拡大し、病床使用率が圧迫されるような事態になった場合には、再びブレーキを踏まなければならないような状況も十分想定されるところであります。従いまして、このような局面になることを防ぎ、私たちの社会がさらに日常を取り戻していくために、1人でも多くの方々になるべく早くワクチン接種を受けていただきたいと思います。
前回の会見でも申し上げましたとおり、親しい人たちが集まるこれからの時期、歓送迎会あるいはお花見など、様々春のイベントがあります。これをぜひ多くの県民の皆さまとしっかり楽しんでいただき、またこれまで本当に薄まってしまった人間関係を取り戻して豊かな時間を過ごしていただく上でも、ぜひ、引き続き基本的な感染防止対策はじめ、感染防止対策に重々気をつけていただき、またワクチン接種を受けられる接種券をお持ちの方は、なるべく早くワクチンを打っていただき、皆さんと力合わせて、この春の歓送迎会、そしてお花見のシーズンを心安らかに、あるいは心朗らかに楽しんでいければと考えております。
重ねて、皆さまの御理解・御協力を切にお願いをする次第であります。
記者
「新山梨方式」の関連でいくつか伺わせてください。
月末で終わる方向で考えたいということですけれども、月末に区切る理由と、これまでの効果について先ほどもおっしゃっていましたが、改めてここまでの効果をどういうふうに考えているのでしょうか。
もう1点、先生方にちょっと負担だというような声もあるのですが、今後の期間の間で何がしかの措置を考えているかどうかお願いします。
知事
まず、この「新山梨方式」の効果ですけれども、感染者数、それからクラスター発生数、明らかに減少をしております。これはもう間違いなく効果があっただろうと思います。
その上で月内で終わるということですが、まずこれから春休みがやって参ります。春休みになるとクラスというものがなくなるわけですので、クラス内において感染した子が連鎖する、こういう事態ではなくなるわけです。授業がなくて一緒の部屋に物理的にいる機会がなくなるものですから。そういうことで、自ずと「新山梨方式」の出番はなくなってくるだろうということで、まず春休みまではこれを続けたいと思っています。これは小中学校だけじゃなくて保育所等もありますので、これと併せて保育所は春休みもないわけですので、一応区切りとしては月内ということにしたいと考えております。
学校、保護者の皆さん、あるいは先生方に対して大変大きな負担をかけてはおりますが、これは後でCDCからお話しをしていただこうと思いますけれども、今の感染者の構成割合を見ると、10代以下が圧倒的な大きな部分となっています。そして、その10代以下の皆さんの次に大きいのは親御さんの世代。ですので、この10代以下の子どもたちをどうやって守っていくのか、私たちもいろいろ議論をして知恵を巡らす中で、例えば鳥取県なんかは、全国知事会でも紹介されていますけれども、クラスの閉鎖ではなくて、感染者が出たら学校全体を一時臨時休校する。こういうようなやり方をとって、これも成果が上がっていますという報告もありました。
私たちとしては保護者、そして先生方に様々ご負担をかけるのは大変心苦しい限りではあるんですけれども、やはり子どもを守ってくことが何よりも重要だと、コロナに感染した後に後遺症が残るというような報道に接するにつれ、とにかく子どもをまず我々としては守りたい。そのために大変ご負担はおかけすることはするんですけれども、ここは何とか春休みまでは、我々も様々できる限りのことをやりますが、ぜひ学校の先生方、そしてお父さんお母さん方に、ご協力・ご理解をいただきたいと思います。
とにかく子どもを守って、まかり間違っても後遺症とか、これから長引くようなことはなるべく少なくしたい、できる限り少なくしたい、こういう思いでありますので、ぜひ、この点に関しましては、大変恐縮でありますがご理解を賜りたいと思っています。
広報監
数字的な部分で教育委員会ありますか。
課長
まず、学校におけるクラスターについてでありますけども、公立中学校のみの数値ですが、2月には7ケースがございましたが、3月は1ケース1校のみという形になっております。
推進監
先ほど知事からありましたけれども、感染者の年齢割合のところでございます。先ほどの本部会議でもご説明申し上げましたが、直近の3月4日から3月10日の週で、感染者年齢割合で一番多いのはやはり10歳未満というところになっており18.5%。次いで多いのが10代の16.7%ということで、やはり、10歳未満、10代というところが、感染者が多い状況が見て取れます。
加えて言いますと、その親世代思われる30代40代というところがこの世代に続いて多いということがございますので、やはり学校現場における対策というところをしっかり続けていく。それが先ほど言いました少し効果が出てきているという状況かと考えております。
記者
根本的な新型コロナウイルスに対する考え方を伺いたいのですが、やはり経済再開に向けてというところで、判断理由として、病床使用率が50%を切って今後も維持できるという見通しがあるということを理解した上で、やはりオミクロン株が出てきてからかなり感染者数が多く、目を引くような数字が続いていますけれども、今後コロナにつき合っていく上で、ある程度経済再開をしつつ、ある程度感染が所与のものとしてつき合っていかなければいけない、そういう考えがあるのかどうか改めて伺いたいと思います。
知事
まさにご指摘のとおりであります。
特にオミクロン株においては、デルタ株と違って、感染が急上昇した後に減少してもその減少のスピードは緩やかです。これは本県だけではなく他の都道府県、あるいは全世界的な状況もそうだろうと思います。
他方、特に若い人に対して重症化の危険性は比較的低いという特色も踏まえれば、ゼロコロナになることを想定することはもはやナンセンスであり、そこまで我々は待っていられないわけですし、待つ必要もないのではないだろうかと考えます。
まさに今お話いただきましたように、本格的にウィズコロナというものを前提として、その中での医療提供体制のあり方、あるいは経済活動のあり方、ここを構築していく必要があるだろうと考える次第であります。
そういう意味で、病床使用率が50%を下回っていれば、いざ何か問題があった時に、確実にその方に対して医療を提供することができる体制があると言えると思いますので、その限りにおいて、経済活動というものは通常の水準になるべく近づけていきたいと考える次第です。
記者
経済再開に向けた取り組みについて、「グリーン・ゾーン宿泊割り」と「無尽でお助けキャンペーン」は、それぞれ今月末を期限としていると思いますが、これはどういった理由でしょうか。
知事
一つには予算上の問題があるわけですけれども、これから送別会のシーズン、あるいは春休みがやって参りますので、そこに向けて経済の立ち上がりを支えていく、そういう観点から、まず今年度内での実施をしようということで行っていきたいと考えております。
記者
ここまではずっと抑制の政策であったと思いますが、知事としては、一つの転換点を迎えたという認識でいいでしょうか。
知事
私はそう考えています。おっかなびっくりではありますけれども、ただ本当に様々な努力の積み重ね、それからワクチンの進展によって、病床使用率の50%未満というものが実現できておりますので、ここは経済回復に舵を切るべき転換点だろうと、こう認識しています。
記者
協力要請の改定内容を見ますと、今知事から説明がありました時限的項目だけじゃなくて、もともと臨時特別要請だったワクチン2回未接種者への外出自粛要請もこのタイミングでなくすということですね。一方事業者に対して、ワクチン接種をしていない人への配慮については残しています。このことについて、もう一度知事から、その意味を教えてください。
知事
ワクチン未接種者に対する慎重な外出判断のお願いというものは、そもそも全体の移動の慎重な判断という要請を取っ払いますので、それと連動して当然そこもなくなるということであります。
他方で、もう一つの事業者に対するお願いというものは、ワクチンを打てる打てない、特に打たない方の理由というのも様々、健康上や医学的な理由から何からあるわけですが、そこの是非は問わない中で、いずれにしても打ってない方は感染リスクが高いというのは引き続き残る事実であります。
そういう方々が、自らの職場において、多くの人と接することに対して不安を覚えるような場合、不安を覚えてその方が事業者に対して、大勢のお客さんと接するような場ではなくて、例えばバックオフィスの仕事をやらせていただけませんかというようなお願いをされる、希望を伝えられるということは十分想定できるわけでありまして、そういう場合には、そこは温かく受け入れて、その方の健康を守るための配慮というものを、職場全体でぜひ考えてください、またそういう希望を申し出たことに対して、決して不利益な取り扱いをしないでくださいと。この要請は、ワクチン接種者と未接種者の間での感染のリスクというものに違いがある以上は、私は維持すべきだろうと考える次第です。
記者
今のご説明ですと、接種してない人へ、決して不利益な取り扱いをしないでくださいということも含めての、県としてのお願いだと。
知事
もちろん。読んでいただきますと、その方の申し出により、こういうことがあった場合には配慮してくださいってことですよね。そう書いてありますでしょ。
当たり前のことですけど、そういう申し出があっても不利益な取り扱いはしないでくださいと、この二つはやはり今においては必要なことだろうと思います。
県政功績者表彰について
知事
この度、東京2020オリンピック・パラリンピックの運営におきまして、特にご尽力をいただきました個人及び団体を、県政功績者として表彰させていただくことといたしました。
受賞者は、28団体及び1名でございます。自転車ロードレースや聖火関係の式典の運営に特にご尽力をいただいた皆様方でございます。
今回のオリンピック・パラリンピックは、県内におきまして様々な行事、あるいは聖火リレーなどが行われ、大会を大いに盛り上げたところでございます。
とりわけ自転車ロードレースですが、道志村と山中湖村が競技コースとして選ばれ、史上初めて本県がオリンピックの開催地となり素晴らしいレースが行われ、まさに後世に語り継がれるものとなったと思います。
本県の様々な魅力を世界にアピールし、また競技や式典を成功させることができたのは、何よりもご尽力をいただきました皆様方のご努力によるものです。
これに対しまして、県として感謝の気持ちを捧げたいと考えまして、特別に表彰をさせていただくことといたしました。
受賞者の名称及び主な功績につきましては、お配りをいたしました県政功績者一覧表のとおりであります。
表彰式は3月24日に実施をしたいと考えております。
令和3年度学校給食における地場産物等の使用状況調査について
知事
この度、文部科学省から「令和3年度学校給食における地場産物・国産食材の使用状況調査」の結果が公表されました。
本県の学校給食における金額ベースでの県産地場産物の使用割合は、令和元年度35.5%だったものが、令和3年度56.2%となりまして、上昇幅・伸び率ともに全国第一位となりました。
かつ、この数値ですが、令和7年度までを計画期間といたします「第4次やまなし食育推進計画」において定める目標値52.7%を、既に現在の段階で上回ることができたものであります。
これは、本年度から「やまなし学校給食地場産物利用促進月間」を設定し、学校給食における県産地場産物の積極的な活用を働きかけたことを始めといたしまして、関係部局・関係者の皆さまの連携によって、地場産物の利用促進に向けた様々な取り組みを進めてきたことによる成果の現れだろうと考えます。
これまでの関係者の皆さまの取り組みに厚く感謝を申し上げますとともに、引き続き、更なる高みを目指してご協力を賜りたいと考えております。
今後、この食育推進計画の目標数値については改定を行い、全国トップ10入りを目指して、関係部局の連携強化を図りながら取り組んでいくこととしたいと考えております。
以上