国内最大級のシェア別荘サービス「SANU 2nd Home」を展開する株式会社Sanu(本社:東京都目黒区/代表取締役 CEO:福島 弦)は、自然共生型の木造モジュール建築を手がける株式会社ADX(本社:福島県二本松市/代表:安齋好太郎)を子会社化し、建築の設計・製造・運営を統合する新体制に移行します。
あわせて、自社建築拠点「SANU FACTORY」の開設・拡張を進め、設計から加工、組立、施工までを一貫して行う体制を構築。BIM設計やロボティクスによる一部自動化などのテクノロジーを活用し、2028年には年間300棟の木造モジュール建築を生産する体制の確立を目指します。
*建築構成の大部分を工場内で加工した部材を組み立てて完成させ、現場の建築期間を短くする建築技術のこと

1) 建築業界が直面する構造課題とSANUの挑戦
日本の建築・住宅業界は今、大きな転換点にあります。
20年間で建設技能者が約200万人減少し、建築現場の高齢化が進む中、資材価格は過去最高水準に達し、建設業の労働生産性は主要産業の中で最も低い水準にとどまっています(※McKinsey & Company調査より)。また、建設業はCO2排出全体の約3割を占めるとされ、環境負荷の観点からも産業構造の再設計が求められています。
一方で、日本は国土の約7割が森林でありながら、その豊富な資源が十分に活用されていないという現状があります。持続可能性の観点で木造建築への注目が高まる中、日本国内の資源を活かし、かつ産業としてスケールできる建築モデルの構築が急務となっています。
2) 株式会社ADXとの経営統合(子会社化)について
株式会社ADXは、SANU創業期より「SANU CABIN BEE」や「SANU CABIN MOSS」などの建築において協業してきた、設計・施工一体型の建築パートナーです。環境配慮型のデザインや国産材の活用に強みを持ち、ウッドデザイン賞2022〈最優秀賞・環境大臣賞〉、iF DESIGN AWARD 2024など、国内外のデザイン賞でも高い評価を受けています。
「森と生きる。」というフィロソフィーを掲げるADXは、建築を通じて森の価値を次世代へ引き継ぐ思想を体現してきました。その姿勢は、SANUが掲げる「Live with nature./自然と共に生きる」という理念とも深く共鳴しており、両者の思想的親和性が、今回の経営統合における重要な背景となっています。
SANU 2nd Homeではこれまでに延べ23,000人以上の都市生活者が、自然の中での滞在を通じて“都市と自然を行き来する暮らし”を体験してきました。一定のユーザーベースと運営ノウハウが蓄積された今、2028年には国内100拠点、2035年には世界500拠点への展開を見据えています。これを実現するには、従来の分業的な建築生産体制では限界があり、建築そのものの供給モデルを再構築する必要があります。
今回のADXとの統合を通じて、SANUは設計・製造・販売・運営の全工程をテクノロジーとデジタルマネジメントで一貫して担う垂直統合型の体制を構築します。これにより、建築業界の分業構造を再定義し、“住宅をプロダクトとして量産・運用する”という新たな供給モデルを実装する、世界でも稀有な建築スタートアップとしての次フェーズへと進化していきます。
3) SANU FACTORYが描く“未来の建て方”

現在のFACTORYの様子。今後はロボティクスを活用した自動化や生産行程のデジタル化・効率化を推進
国内100拠点という供給体制を実現するために、SANUが次に着手するのが、建築そのものの「つくり方」の再定義です。従来の現場施工中心のモデルではなく、設計から加工・組立・施工に至るまでを一貫して工場で担うことで、高品質・省人化・短工期を両立する体制の構築を目指します。
その中核を担うのが自社建築生産拠点 「SANU FACTORY」です。SANU FACTORYは、木造モジュール建築のプロダクト化と量産化を担う次世代型の生産拠点であり、建築の「企画・設計・製造・運用」までを垂直統合で管理するSANUの思想と戦略を体現する存在です。
モジュール建築は現在、短工期・低コスト・高品質を実現する建築手法として、世界的に注目を集めており、グローバル市場では今後数年で約1.1兆円規模の成長が見込まれています*。日本はこの分野の技術的先進国であり、SANUとADXはその最前線で、建築×テクノロジーによる住宅生産の革新に挑戦します。
SANU FACTORYでは、単なるスピードや効率だけでなく、日本の木造建築が持つ美意識と性能を両立したプロダクト住宅の量産を可能にします。主な特長は以下のとおりです:
- 木造建築ならではの高い意匠性
- 環境負荷を最小限に抑える設計思想
- 優れたエネルギー効率による持続可能性
- 地球の多様な厳しい自然環境にも適応可能
“日本の森から生まれ、森に包まれるような建築空間”を、テクノロジーの力で誰もが手にできるかたちにすること。それが、SANU FACTORYが描く「未来の建て方」であり、日本発の建築プロダクトを世界に届けるための第一歩です。
(*)「McKinsey Global InstituteーThe next big arenas of competition(https://www.mckinsey.com/mgi/our-research/the-next-big-arenas-of-competition#modular-construction)」より
3-1)住宅を“プロダクト”として再設計する
SANU FACTORYでは、木造建築を単なるクラフトマンシップの集合体としてではなく、再現性とスケーラビリティを備えた“暮らしのプロダクト”として再設計することに挑戦しています。目指すのは、住宅づくりを工業製品のように設計・管理する、新たな建築アプローチの確立です。- ”車をつくるように”、住宅をプロダクトとしてつくるこれまで進めてきた設計・製造のデジタル化に加え、今後は設計から生産までを完全にデジタルで統合。「BIM設計 × 自動レビュー・検知」によって、建築を“ソフトウェアのように”アップデート可能な状態で管理し、品質の標準化と継続的な改善を可能にします。
- ロボティクスによる“木のモジュール”の精密生産高精度ロボティクスを導入し、工場の半無人化を推進。1mm単位での精密な木材加工・組立を実現し、“建てる”から“組み立てる”への転換を図ります。同一品質の住宅を、短期間で、多品種小ロットでも生産可能にします。
- 性能と意匠を両立させる統合設計構造・断熱・空調・電気・ソーラー設備に至るまでを一体設計・製造。自然と調和した美しい空間と、高性能な住環境を同時に実現します。
3-2) 建築をデジタルで輸出する ― JAPANプロダクトの世界展開
木造建築そのものを輸出することは、輸送コストや建築基準の差異から現実的ではありません。一方、十分なデジタル化・自動化が伴わない海外生産では、品質担保が困難であり、これまでの建築業界ではグローバル展開に限界がありました。SANUはこれに対し、「建築のデジタル輸出」という新たなアプローチで課題を突破します。
BIMベースで構築された設計データを各国の小規模建築工場へ送信し、日本で運用している生産管理・工程管理システムをそのまま展開。これにより、世界中の地域で、日本と同水準の木造建築を安定供給できる体制を構築します。
3-3) 世界をつなぐ“暮らしの中枢” ― 「SANU 2nd Home OS」
さらに、世界各地のSANU FACTORYで生産される住宅プロダクトには、統一されたオペレーティングシステム「SANU 2nd Home OS」が導入され、すべての拠点を効率的かつスマートに運営可能とします。予定されている主な機能は以下のとおりです:
- 鍵・照明・空調などの住宅周辺機器をソフトウェアでリモート制御
- 建物の状態を常時モニタリングし、メンテナンスを自動最適化
- スマートロック・エンターテイメント機器・温度/湿度コントロールなど顧客体験に置けるソフトウェアの活用
このOSによって、建築と運営、さらに体験が一体化された“住サービス”としての木造住宅が完成します。“建てて終わり”ではなく、暮らしごと届けるプロダクトとして、日本発の建築は世界に展開されていきます。私たちは、自動車や家電に続く、日本発の新たな輸出産業としての建築プロダクトの確立を目指し、グローバルなライフスタイルの革新に挑戦していきます。

建築をデジタルで輸出し、SANU 2nd Home OSで運営・管理
4) ロードマップ
2026年 : プロトタイプ建築モデルの発表
2028年 : 年間300棟生産体制の構築へ
2030年 : 海外展開の本格化
5) 代表コメント
SANU 代表取締役CEO 福島 弦
日本が得意とするモノづくりに、デジタルとロボットの力を組み合わせる。日本発の木造建築プロダクトが世界中に広がっていく。車が、電子機器が、かつてJAPAN BRANDが世界に展開し世界中の人々の暮らしを豊かにしたように、我々は建築で世界を目指し、そして世界中の自然を豊かにして行きます。
ADX 代表取締役 安齋 好太郎
自然は僕らを必要としていない。けれど僕らは、どうしようもなく自然を必要としている。だからこそ、本当の意味で自然と向き合い、共に暮らす方法を探したい。SANUとなら、それが実現できると信じています。
SANU 2nd Home
個々のライフスタイルに最適な形で、日本の美しい自然の中に独自に建築したシェア別荘―「自然の中のもう一つの家」を提供するサービスです。「Live with nature. / 自然と共に生きる。」をコンセプトに、都市と自然を行き来する新しいライフスタイルを提案します。
▼ライフスタイルに合わせて自然の中での暮らし方を選択できます。
1)ゲスト宿泊
自然の中の暮らしを1泊から体験できるゲスト宿泊
2)サブスクリプション|個人向け
気軽に自然の中での暮らしを始められるサブスクリプションプラン
3)サブスクリプション|法人向け
福利厚生として導入し、社員のウェルビーイング向上を目指す企業様向けの法人契約プラン
4)共同オーナー型セカンドホームサービス|個人・法人向け
自然の中での暮らしを必要な分だけ所有する、共同オーナープラン
5)1棟所有・運用型セカンドホームサービス|個人・法人向け
自然の中の暮らしと資産運用を両立する、運用型別荘プラン
また、環境に配慮した開発・建築・運営を特徴とし、拠点が広がるほど日本の森が豊かになるリジェネラティブな仕組みを育みながら、現在31拠点・189室を運営(2025年5月時点)。2028年には、国内外100拠点以上へと広がります。
株式会社Sanu
「Live with nature. / 自然と共に生きる」を掲げるSANU<サヌ>は、人と自然が共生する社会の実現を目指すライフスタイルブランドです。人が自然と調和し、楽しく健康的にこの地球で暮らし続けるために必要なことを、新しい生活様式の提案を通じて人々に発信していきます。真面目に、未来の生き方を考える。 明るく、私たちのライフスタイルを変えていく。
会社名:株式会社Sanu
代表者:福島 弦
所在地:〒153-0061 東京都目黒区中目黒3-23-16
会社ページ https://corp.sa-nu.com/
公式Facebook : https://www.facebook.com/sanuofficial/
公式Instagram:https://www.instagram.com/sanu_2ndhome/
公式LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/sanuofficial/
公式X:https://x.com/sanu2ndhome