「黒瀬ぶり」は、親魚から採卵・孵化させた人工種苗を成魚に育て、さらに産卵させるという一連のサイクルを人為的に行う完全養殖で生産されています。漁獲した天然の稚魚を使用しない、サステナブルなブリ養殖として近年注目を集めています。
宮崎県・鹿児島県の同社のいけすで育てられたブリは、水揚げ後高鮮度のうちに速やかに同社の加工場でフィレー(三枚おろし)に加工、1年を通して国内外に出荷しています。この加工工程で発生する頭や骨・皮・尾などは、現在肥料などに活用しています。
その皮をなめして革にアップサイクルしたフィッシュレザーが、「namino leather」です。高品質な「魚の革」をつくる国内のタンナー(革なめし会社)の協力のもと生産をしています。

namino leather 「白波」

namino leather 「黒瀬」
近年アパレル業界では、動物の皮の使用に関して倫理的・環境的な配慮が求められるようになり、代替素材への関心が高まっています。
また、石油由来の素材の使用量を削減し、環境負荷を軽減するため、リサイクルやアップサイクルされた原材料を活用した製品開発が進んでいます。
ニッスイは「namino leather」の開発を通じて、資源の有効活用を促進しながら、アパレル・ファッション業界に新たな選択肢を提供します。
<商品特長>
●型押しでは出せない、ブリ皮ならではの細かなうろこが描き出す繊細で上品な模様や、ブリ皮特有の滑らかな質感が特徴です。うろこ一鱗の大きさが小さく繊細な表情をもつことから、さまざまな服飾小物への加工に適性があります。
●天然の稚魚に依存しない人工種苗によるサステナブルな養殖ブリの皮を使用しています。
●「黒瀬ぶり」は、採卵・養殖から加工・製品までのトレーサビリティが100%担保されています。
●革・馬革など一般的な皮革と同様に、幅広く加工・使用できます。
●本品の目安のサイズは、横幅35~45cm、縦は頭側で15~20cm、尾側で5~10cmです。
●自然由来のタンニンでなめしてウレタン加工した「黒瀬」、クロームフリーの合成タンニンでなめしてウレタン加工した「白波」、同じくメタリック加工した「煌波(きらなみ)」、同じく箔押しした「金波」「銀波」の4ラインを揃え、用途に応じたオリジナル加工にも対応します。
「namino leather」ブランドサイト https://www.naminoleather.com/
ニッスイグループでは、長期ビジョン「Good Foods 2030」(2022年度着手)で進めているサステナビリティ経営におけるマテリアリティ(重要課題)のひとつに「脱炭素・循環型社会への貢献」を掲げています。事業活動を通じたCO2排出量の削減やプラスチック問題への対応、フードロス削減に取り組むなかで、これまで活用が限られていた水産資源の有効活用にも注力しています。
「namino leather」の取り組みは、これまで活用されてこなかった黒瀬ぶりの皮に新たな価値を見出し、既存事業との相乗効果を期待できる新規事業として、社内公募から選出されました。
*「namino leather」は、株式会社ニッスイの登録商標です。