青森県つがる市(市長:倉光 弘昭/以下、つがる市)と県、地元生産団体らでつくる「つがるブランド推進会議」は、2020年7月から同市内のガラス温室で、メロンの通年栽培を目指し水耕栽培の実証試験を行っています。2020年度は「試験栽培」に取り組み、2021年度は「栽培方法の改良・品種による比較」、2022年度以降は「実用化・栽培の普及」を目指しています。
実証試験の背景
つがる市産のメロンは、「令和元年 市町村別農業産出額(推計)データベース」で鉾田市・熊本市に次ぐ全国3位(約26億円)。国内有数のメロン生産地ですが、農業従事者の高齢化や後継者不足により生産量も減少傾向にあります。また、メロンの栽培期間が夏期に限られることから、収益性が課題になっています。
新しい栽培方法に挑戦!試行錯誤を重ね、高品質メロンをつくる
◆「冬場の日照不足・ハウスの熱源・安定した品質と量の確保・継続可能なコスト管理」など、水耕栽培メロンの普及には多くの課題があります。
◆現時点で実施した首都圏の食味アンケートでは、見た目・味・食感・香り共に上々の評価を得ていることから、試験栽培~分析・評価~試験栽培のサイクルを続け、一歩一歩着実に品質の安定化・商品化に向けて進んでいます。
水耕栽培メロンの将来
◆冬場のメロンは付加価値が高く、高値での取り引きが期待されます。
◆実証試験の結果をもとに、安定した品質のメロンを一定量供給できる栽培マニュアルを確立させ、冬期間における農業者の所得向上と新規就農の機会創出を図ります。また、試験栽培場所は、「農業研修」に活用するほか、「観光農園」や「カフェ」など多くの方々に「見て」「触って」「味わって」もらえる場所として活用していきたいと思います。
◆メロンの一大産地であることの有利性を活かして、いつでもメロンが楽しめる街を目指します。
◆試験で収穫されたメロンは、糖度も高く香りもよく上々の仕上がりで、首都圏の情報発信拠点として位置付けている東京・神楽坂のアンテナショップ「果房メロンとロマン」へは、一年を通して供給する予定です。そして、「青森県つがる市産のメロン」をもっと知ってもらい、少しでも多くの若者に素晴らしい農作物や新しい農業に触れていただけたらと考えています。
つがる市が目指す農業の将来
◆今回のプロジェクトは、スマート農業や新しい栽培技術などを通じて効率化と省力化を確立し、若い世代や農業未経験者にもチャレンジしやすい農業経営環境の構築を進めていくものです。
◆基幹産業である農業の持続的発展と産地間での競争力強化のためには、儲かる農業の実現が重要であり、高収益作物の生産拡大への取組を今後益々推進します。
◆同時に、消費者の皆様に安心して選び続けていただけるよう、関係者が一丸となって安全と環境に配慮した産地づくりを進めて参ります。