ケース4 既存物流がチャーター配送のみになっている場合
年に何回かある繁忙期は別として、平時のチャーター配送コースで、『積載効率が50%以下』であれば共同配送を検討する価値は高いと考えられます。
会社の創業時から順調に事業規模が拡大し、それに伴って物流量が増えている企業があります。
荷主企業様と物流会社が共に成長していく理想的な形です。
しかし、物流を任せきりにして、積載効率の悪化に気づけなかったり、既存の非効率的な物流手法から抜け出せなくなっていることも多いようです。
実はこのような場合には、取引している物流会社が、『チャーター配送のみ』というケースが多いのです。
昔はほとんどの物流がチャーター配送で構築されていました。
”積載効率が悪いのは荷主企業の責任”という時代でもありました。
しかし、月日の流れと荷主企業の得意先へのサービス強化などから、食品業界では小ロット多頻度納品化が進んでいます。
今では、“チャーター配送だけ”のように配送の選択肢が限られ、積載効率が上がらずに高い配送コストに甘んじている必要はないのです。
■共同配送とチャーター配送の併用で課題解決
共同配送の最大のメリットは、『運ぶ量に見合った配送費』です。
荷物が少ないから、2トン車のチャーターを軽貨物車のチャーターに変えるような必要はありません。
少ない取引量のうちは、共同配送で配送費を抑え、やがて取引量が多くなったらチャーター配送を併用していく。
このような形を基本にしておくことが必要です。
現在はすでに、『積載効率が悪いのは物流会社の責任』という時代です。
日頃から情報交換を行い、効率の悪い部分についての対応策を物流会社と一緒に話し合っていくことが問題解決への近道です。
ですから、物流会社を選ぶ際にも共同配送に限らず、チャーター配送、路線便、宅配便、帰り便配送など様々な配送の選択肢を手配できる物流会社と取引することが理想と言えます。
最後に共同配送の注意点
その都度注意点を書き添えさせていただきましたが、最後に改めて注意点をお話ししたいと思います。
・納品時間は帯で考える
共同配送は言わば乗合バスと一緒です。
様々な製品を日々変動する物量に対応しながら様々なところに配送しますから、納品時間をピンポイントに何時と指定しての配送は難しいと考えましょう。
例えば08:00~12:00のようにできるだけ広い帯で納品許可を取ってください。
・同じ製品でも配送距離や納品条件などで単価は変わる
共同配送は『ケース単価』や『訪問件数単価』などの運賃設定が多いのですが、ベースになるのはあくまで時間と距離です。
遠方になれば高くなりますし、陳列など時間が掛かる納品方法を依頼すれば当然通常より高い単価になります。
また、基準より重い・大きい場合も割増の可能性があります。
参考までに茨城乳配㈱の基準は、1才7kgが1ケースの上限になっています。
・匂いに注意
乳製品やお茶など移り香に弱い製品は要注意です。
配送コストが下がるからと共同配送にした結果、他の食品の匂いが移ってしまい全量返品というケースも稀にあります。
混載される可能性のある製品の確認や、場合によっては『共同配送をあきらめる』ことも必要です。
・主導権は物流会社にある
チャーター配送はそのお客様の専属ですから、ルートや時間などのアレンジが自由にできますが、共同配送では他の製品を混載する性格上、主導権は物流会社になります。
各物流会社のルールや規則に合わせる必要がありますので、事前に確認をしておく必要があります。
・必ずしも物流コストが安くなるわけではない
共同配送はケース単価や件数単価の為、物量に応じた配送費にできるメリットがある手段ですが、物量が増えてくるとかえって高くついてしまうこともあり得ます。
適正な配送費を考えるなら、共同配送に偏らずチャーター配送や路線便など他の手段も検討する必要があります。
上記の注意点は一部ですが、結局のところ最も大切なことは物流会社との信頼関係をいかに築けるかに掛かっていると思います。
そのためには、お互いの立場を考えて情報交換を密にしていく必要があると言えるでしょう。
今後、共同配送の導入を検討する際に参考にしていただければ幸いです。
それでは、また次回お会いしましょう。